[コラム] なぜ、日本ドラマはSFコメディドラマがヒットしないのか
THE FACT JAPAN / 2016年10月10日 10時8分
『星から来たあなた』、『主君の太陽』、『宮-Love in Palace』、『僕の彼女は九狐尾』など、韓国でヒットとなったSFファンタジードラマは跡を絶たない。一方、韓国に比べ、日本でヒットしたSFファンタジードラマは数が少ないといえる。『JIN-仁-』や『BORDER』など、中にはヒットしたものもあるが、韓国に比べると、圧倒的に少数だ。今日は、なぜ、韓国ではSFファンタジードラマが受け入れられるのに、日本ではSFファンタジードラマが受け入れられないのか。その背景に迫ってみたいと思う。第一に考えらえるのは、日本人はSFファンタジーに対し、韓国人よりアレルギーを感じる人が多いような気がする。言ってしまえば、超現実的。だからこそ、逆に社会派の『半沢直樹』や『ドクターX~外科医・大門美知子』などが受け入れられるのではないだろうか。そして、一番致命的なのは、韓国と違い、日本のSFファンタジードラマは、ストーリー展開に面白みがない。韓国のドラマは、SFであることを忘れさせてくれるぐらい、ぐいぐいと引き込まれる面白さがドラマの要所要所に散りばめられているのに比べ、日本では、ストーリーが薄く、頭のどこかでSFが抜けきらず、どっぷりとドラマにはまりこめないのだ。日本のSFファンタジードラマ『流星ワゴン』と韓国で大ヒットした『星から来たあなた』を比較してみると、それは明らかだ。『流星ワゴン』は人気小説がベースになっているため、大ヒットとなるストーリーは約束されていたはずだった。しかし、初回の視聴率は、そこそこよかったものの、回を重ねるに連れ、低下していった。この要因は遅すぎるストーリー展開にあると思われる。流星ワゴン、いわゆる、タイムマシンに乗って過去の自分と対峙し、現実をやり直すというストーリーなのだが、小説では主人公が過去を振り返りながら更生していく姿を詳細に描き、その内容が面白かった。しかし、ドラマではそうはいかない。いくら主人公の成長を丁寧になぞったところで、視聴者はついてこない。しかし、ドラマでも小説同様に丁寧に描きすぎたため、絵替わりせず、この主人公はなぜ、タイムマシンに乗っているのか、という点に頭が行ってしまったため、視聴者が興ざめしてしまったのではないだろうか。一方、『星から来たあなた』だが、日本人である私は当初、宇宙人と地球人の恋愛!?と、バカにしてかかったのだが、次から次へと目まぐるしく変わるストーリー展開が秀逸すぎて、みるみるひきこまれてしまった。ストーリーは宇宙人と地球人の期間限定の恋愛といういたってシンプルな構成。しかし、それを肉付けするスパイスとアップテンポなストーリー展開で視聴者を飽きさせず、大ヒットの要因となったと思われる。全編を通し、ヒロインの命を狙う悪者からヒーローが救い出す作りなのだが、(それも王道といえば王道なのだが)、それが古臭くなく、かつ期待させる絶妙な作りのスリル感を演出し、ベタさと宇宙人と地球人の恋愛というぶっ飛んだ設定を忘れさせてくれるのだ。もはや、SFであろうが、なかろうが関係なくなるのである。同様に、日本でもヒットし、韓国でもリメイクされた医療ファンタジードラマ『JIN-仁-』を例にとって考察してみると、SFというメインではなく、現代の医療技術を江戸時代に置き換えると、どうなるかという医療の面白さがヒットの要因だったのではないだろうかと思う。そう考えると、結果、SFファンタジードラマが日本でヒットを出せない原因は稚拙すぎる脚本によるところが大きいといえる。THE FACT JAPAN|松庭直
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