母性内科・荒田尚子先生のプレコン講座1|「その月経痛、当たり前じゃありません」

Suits-woman.jp / 2019年11月11日 16時0分

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「プレコンセプションケア」という言葉を聞いたことがありますか? 

日本ではまだあまり知られていない言葉だと思います。

でもこれはみなさんにとって、とても大事なこと。

コンセプション(conception)は妊娠や受胎という意味。プレ(pre)はその前という意味です。将来、妊娠するかもしれない自分のために、今から心身をケアすること。これが「プレコンセプションケア」です。

日々の生活習慣や体調管理。「ちゃんとしてますよ!」という人も多いと思います。でもそこに「将来の妊娠」という視点を持っているかいないかで、日々の過ごし方や健康管理のやり方が違ってくるかもしれません。

プレコンセプションケアの専門医、荒田尚子先生(国立成育医療研究センター)に、働く堅実女子の抱える健康トラブルのアドバイスを伺います。

働く女性のもっともユーウツな健康問題は月経痛

はじめに、みなさんに身近な生理痛からお話を伺いました。なお、このシリーズでは生理を「月経」と呼びます。

「働く女性が抱える身体の悩みナンバーは月経困難症です。日常生活に支障をきたす生理痛です。20代~30代に限らず、女性は多少の差はあれ、閉経までずっと月経にまつわるややこしさとつき合っていかなければなりません。これ、本当に大変なことですよね」と、荒田尚子先生。

まず、「月経は大変なもの」と思っていい!ということですね。毎月のように訪れるものだから、「大変」なんて言っていられないという意識の女性が多いと思いますが、荒田先生から「月経は大変」と言われると、なんだかちょっとホッとします。

経済産業省の調査によると、月経のある女性の1/4から1/3の女性が月経困難症を有しています。たとえ月経痛がなくても、月経ってひと言で言えばメンドウですよね。「これ見てください」と、荒田先生が取り出したグラフがこれ。

働く女性の多くが勤務先で月経痛の悩みを経験している。(出典:経済産業省ヘルスケア産業課「健康経営における女性の健康の取り組みについて」H31年3月)

勤務先で困った経験があった人の、その理由の内訳は圧倒的に月経関連です。

・月経関連の症状や疾病(月経不順・月経痛など) 72%
・PMS(月経前症候群)等 43%

なぜ経産省がこんな調査をしているのかと言えば、それだけ仕事に影響が出るからです。企業目線からは、仕事効率が落ちるからなんです。

月経痛は「毎回当たり前に」あっていいものではない!

荒田先生に慢性的な月経痛について聞きました。

「まず気がついてほしいのは、痛いのは当たり前なことではないということ。以前からいつも月経痛だったとか、周りにも月経痛の子はたくさんいる……という状況だと、月経痛はあっても当たり前と思っている女性が少なくないんですね。特別なことじゃないと思っているから、ドラッグストアで売っている痛み止めで済ませてしまう。痛み止めはそれなりに効きますが、薬で抑えても、それは対症療法なので痛みは翌月もまた来ます。

いちばんこわいのは、薬で抑えることによって、そこに潜んでいるかもしれない病気を見逃してしまうかもしれないことです。その見逃しているかもしれない病気の中でもこわいのは子宮内膜症です。これについては後日あらためて説明しましょう」

月経痛について、私たちはあまり他の人と話したりしません。どれくらいの痛みまでが許容範囲で、どれくらいからが異常なのか、客観的な指標を持ちません。中には異常な状態なのに、それに気づかずに市販薬でガマンしている女性も多いです。

「月経痛が長く続いている人、薬を飲まないといられないほど痛い人は、まず、婦人科に行きましょう。きちんと診てもらう必要がありますよ。その上で、適切なお薬が処方されます。月経困難症にはLEP(低容量エストロゲン・プロゲスチン配合薬)が有効です。低容量ピルのことです」

日本にはまだピルが一般に普及していません。ピルというと避妊薬のことと思っている人も少なくありません。

「月経困難症に効くLEPと、避妊用のピルの成分は同じです。ですが、避妊薬としては医療保険が適用されない。だから、ピル=自費と思い込んでいる女性が少なくないんですね」

たしかに……。でも、同じものなのに保険が適用されたり、されなかったりするとはどういうことでしょうか?

→<第2回>「低容量ピルのことをもっと知って!」に続きます。

「私、昔から生理痛ひどくて」で済ませていてはいけません。

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 医師荒田尚子

国立研究開発法人 国立成育医療研究センター 周産期・母性診療センター 母性内科 診療部長、妊娠と薬情報センター兼務。次世代を担う健全な子どもの出生と成長も考慮した“女性医療”を内科の立場から提供している。専門は妊娠に関連した甲状腺疾患・糖代謝障害。2015年11月に成育医療研究センター内にプレコンセプションケアセンターを立ち上げた。
https://www.ncchd.go.jp/hospital/about/section/preconception/

構成/佐藤恵菜

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