吉高由里子の輝きに心惹かれ、愛する女性を前にキョドる横浜流星に萌える――映画『きみの瞳(め)が問いかけている』

Suits-woman.jp / 2020年10月23日 10時30分

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吉高由里子と横浜流星による恋愛映画『きみの瞳(め)が問いかけている』が、10月23日から公開されます。事故によって視力を失いつつある明香里と、罪を犯してキックボクサーとしての道を絶たれた塁。二人の出会いに始まるこの物語は、恋愛モノを盛り上げる要素がテンコ盛り。なのに美しい映像と丁寧な演出、俳優陣のナチュラルな熱演によってしっかりと物語に酔える、そんな、なかなかないラブストーリーなのです。

『きみの瞳(め)が問いかけている』

『きみの瞳(め)が問いかけている』
(配給:ギャガ)
●監督:三木孝浩 ●出演:吉高由里子、横浜流星、やべきょうすけ、田山涼成、野間口徹、岡田義徳/町田啓太/風吹ジュン
●全国公開中

(c)2020「きみの瞳が問いかけている」製作委員会
(c)2020 Gaga Corporation / AMUSE Inc. / Lawson Entertainment,Inc.

【あらすじ】
視力を失いつつある明香里(吉高由里子)と、キックボクサーのチャンピオンを目指すという夢を失った塁(横浜流星)。二人は偶然に出会い、やがて惹かれ合う。しかし塁は過去の話を拒絶し、明香里を傷つけてしまう。そんなころ、かつて世話になったジムの会長から、「戻ってこい」と説得される。人生を見つめ直した塁は、想いを決し、明香里の元へ。彼女の身に危険が迫っていた……。

目の不自由な女の子と、孤独な元キックボクサーの出会い

薄汚い部屋で丸くなって眠り、酒屋のバイトで日銭を稼ぐ男が、新しいバイト先に遅刻して駆け込む。住み込みで働く、駐車場の管理人。前任者はゴミ屋敷のような部屋に大量の私物をそのまま残し、夜逃げのように出て行ったらしい。その部屋を、じっと見つめる男――。映画の冒頭、横浜流星演じる篠崎塁が登場し、彼がどんな暮らしをしている人間かが語られます。いまどき携帯も持ってなくて友達もいなくて夢なんてなくてたぶんお金もなくて、これからこの駐車場の一角にある部屋に住み、日がな一日管理人室に座って窓の外をぼんやり眺めるだけの日々を過ごすのか、たまらんな……。観る側は男の心情に共鳴し、どんよりとした気分に陥ります。

そこに、吉高由里子演じる柏木明香里がサッと現れるのです。管理人室にやってきて「はいコレ、おまんじゅうとみかん」とか言いながら持参した差し入れを塁に渡し、ものすごくこなれた感じで隣の椅子に座ります。この瞬間。本当に一瞬で、世界がカラフルな色に染まって明るくなるようでハッとするのです。真っ暗な孤独の底に沈んでいた塁の人生が、いっぺんに色を変える。それが運命的な恋の始まりであることを瞬時に納得させてしまう。ラブストーリーのヒロインとして、映画の中心でナチュラルに輝いてみせる、吉高由里子の凄味を感じさせるスタートです。

え?みたいに驚く塁は彼女が視力に問題を抱えていて、自分を前に管理人だったおじさんと勘違いしていることにすぐ気づきます。どうやら明香里はお気に入りの連ドラを観るため、放送日には管理人室にお邪魔するのが習慣だったとわかるのですが、ここからはしばらくは連ドラを観ることに前のめりな明香里と、突然現れた女の子を前にドギマギする塁とのやりとりが続きます。

そこでの見ものは横浜流星です。声を出せば、自分がおじさんではないことに彼女が気づいてしまう。でもなんだか彼女には心惹かれるし、え、どう反応すれば!?みたいな心情の変化が、表情だけでびんびん伝わってくるのです。決して大げさではないのに、ときにはそのシーンがコミカルにもなったりして、彼の表現力に驚かされます。

これは面白そう!そんな予感を抱かせるスタートです。

明香里(吉高由里子)は目が不自由なので、塁(横浜流星)とは目を合わせることなく愛を語る、そこが切ない!

これぞ“三木ワールド”

目の不自由な女の子と、謎めいた過去を持つ孤独な男。ものすごくいろんなエピソードを盛れそうな設定です。そして実際に、コレでもか!と盛られて行きます。

まず明香里は視力の問題を抱えながらも仕事を持ち、一人暮らしをして自立して生きようとする、ポジティブで軽やかな心を持つ女の子です。けれど実はある心の傷も抱えているし、目が不自由なことからくる不幸な出来事が新たに彼女を襲います。一方で塁はかつて将来を嘱望されたキックボクサーでしたが、ある事件を起こして夢を絶たれ、欝々とした日々を過ごしていました。しかも幼いころに母親を亡くし、修道院の児童養護施設で育ったという生い立ちまで抱えています。

いわばそれぞれに逆境だらけ。ふつうなら、いやそれ盛り過ぎだろう!と思うところですが、そうならないのが不思議です。そもそもチャップリンの映画『街の灯』をモチーフにした韓国映画『ただ君だけ』のリメイクなので、盛り盛りな理由をそこに見出すこともできそうですが、もはやそんなことは関係ない感じ。なぜなのでしょう?

まず三木孝浩監督はこのストーリーを完全に自分のモノにして、揺るぎなく“三木ワールド”を構築していきます。光に溢れた美しい映像、それぞれの心情を丹念にすくいとっていく演出。ひとつひとつに説得力があるので、観る側が「え~?」とか思う瞬間を与える隙をつくりません。

どんな役をやっても、ナチュラル!と思わせる本物の演技派。

そして吉高由里子と横浜流星です。二人には、実に8歳もの年齢差があります。でも本当に、それをまったく感じさせない。その違和感のなさは、吉高由里子の在り方による気がします。若い役だからとそれっぽい衣裳を着るでもなく、溌剌とした動きをするわけでもない。それでいて横浜流星と並んでラブストーリーを語るヒロインとして、“でも”も“もしも”も照れもなし。激動の日々を送る二人を体現するにも、ただただその運命を受け入れて、当たりまえのこととしてごく自然にカメラ前に存在してみせます。とても当たり前で簡単なことのようですが、その凄味がボディーブローのように腹にこたえ、映画が終わるころにはこてんぱんにヤラれてしまう……そんな感じ。

対する横浜流星も魅せます。既に述べた、冒頭から感じさせる繊細な心理描写はもちろんのこと。塁は元キックボクサーという設定です。そして過去、ワルだった時代に地下賭博格闘技のファイターをやっていたのですが、このシーンが超絶カッコいい!ご存知のように彼は極真空手をやっていて、中学時代に世界大会で優勝(!)した経験を持っています。この映画のために体重を10キロ増量、プロの手ほどきで丸2か月ものトレーニングをしたというその本気が、画面からびしばし伝わります。プロを相手にした試合のシーンも「とにかく楽しかったです。最高でした」とか言っちゃう、その本物感に惹き込まれるはずです。

エンディングに流れるBTSの曲を聴きながら、良質な作品を観た満足感でいっぱいに。ありそうでなかなかない、そんなラブストーリーなのです。

この肩の筋肉を見よ。

文・浅見祥子

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