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【石川県】隠れ名所も満載『加賀の國』~豪華タクシーで巡る「加賀市」の女子旅~

TABIZINE / 2022年5月8日 21時0分

tabizine.jp

コロナ禍での新しい旅のカタチとして浸透しているのが、人混みを避けた穴場スポットを巡る「ずらし旅」。公共交通機関ではアクセスしづらい場所へ訪れるなら、観光タクシーの利用がおすすめです。この特集では石川県のラグジュアリータクシー「観光グランキャブ」で駆け巡る加賀の國をご紹介。今回は加賀市の旅をお届けします。


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3つの温泉、海、山に囲まれた「加賀市」


石川県の南西部にあり、福井県と接する加賀市。山代、山中、片山津の3名湯から成る「加賀温泉郷」や、かつて十万石として栄えた「城下町」など、豊かな自然と趣深い歴史が息づく地域として知られています。さらに橋立港で水揚げされる魚介類、伝統猟法による鴨、四季折々の加賀野菜をはじめ山海の美味も盛りだくさん。訪れるべき理由は実に多彩です。

2023年度末には北陸新幹線「加賀温泉駅」の開業を予定し、ますます盛り上がること間違いなし。ここではそんな加賀市の、ちょっと通な必訪スポットをお伝えしましょう。

加賀棒茶 丸八製茶場


昭和天皇に献上されたほうじ茶として、その名を轟かせる「献上加賀棒茶」。今や石川県を代表するブランド茶を手掛けるのが創業1863年(文久3年)の「丸八製茶場」です。加賀市にある本社を訪ね、名茶の歴史や魅力に迫りました。



同施設には茶葉を扱う直営店や喫茶、ギャラリーを完備。隣接する工場では棒茶が焙煎される様子を見学することができます。ガラス窓で仕切られているものの、見学スペースは芳ばし香りに包まれていて、なんとも心地いいですよ。

棒茶とは茎を焙じたほうじ茶のこと。金沢が発祥と言われ、その手頃な価格から古くより石川県で普段使いのお茶として親しまれきました。



焙煎に使われる遠赤外線セラミックバーナー。原料のコンディションは日々異なるので、焙煎士がその日ごとの状態に合わせて火加減を調整するそう。



丸八製茶場では大正11年から棒茶の製造・販売をスタート。しかしなぜ、安価で日常的なお茶が献上茶となったのでしょうか? その背景を6代目の丸谷誠慶さんにお聞きしました。

「棒茶の原料はいわば余りもの。祖父が社長だった頃は200g198円という低価格で、各社いかに安く作るかで競っていました。しかし昭和50年代に入ると、マーケットは飽和状態となり売り上げも低迷してしまって。そんな中、祖父がその状況を打開しようと、とある食品の勉強会に参加したのが一つの転機となったんです」

4代目はその勉強会で、昔ながらの製法を一から学び直したそう。また、育てた農家がわかる原料のみを使用することを決めたといいます。さらに大きな転換点となったのが、1983年(昭和58年)の昭和天皇の石川県訪問。同社と取引のあった旅館に陛下が宿泊されることになり、お出しするお茶を用意してほしいという依頼があったとのこと。

「当時昭和天皇は82歳。刺激の強い飲み物を避けられていたため、ほうじ茶が求められたんです。とにかく最高の原料を使おうと、全国から取り寄せる中でたどり着いたのが鹿児島の一番摘みの茶の茎でした」

さらに試行錯誤を重ね、かつてない味わいの特製棒茶が完成。陛下もたいそうお気に召されて、なんと、お持ち帰りになられたとか!



昭和天皇への献上を機に、“安売りの丸八”から上質な棒茶を扱う茶屋へと転身を図ったという同社。翌年から「献上加賀棒茶」として商品化を開始します。しかし、またもや壁が……。

「当初はまったく売れませんでした。その理由は価格。原料が高級とはいえど、棒茶=安いという概念が定着している石川県では100g1,000円は到底受け入れられる価格ではなかったようです」

地元での勝負は難しいと判断し、首都圏での売り出しに踏み切った同社。それでも売上は伸びなかったとのこと。さらに社内に不協和音が生じ、ベテラン社員が次々と離職。人員もかなり減ってしまったのだとか。

「しばらく辛い状況が続く中、1988年(昭和63年)に雑誌『クロワッサン』に商品が掲載されて。これがきっかけとなり、1カ月で全国から400件の注文をいただいたんです。その時のお客さまが直販のベースとなり、おかげ様で現在では3万人にまで広がりました」

さらに付加価値を高めるよう、加賀棒茶のブランド化を地道に進めた同社。北陸新幹線の金沢駅開業(2015年)も全国に知られる契機になったといいます。



物販コーナーでは献上加賀棒茶をはじめとした日本茶が勢揃い。ティーバッグや水出し用ポットなどお茶をカジュアルに楽しめるアイテムも充実しています。九谷焼ブランド“KUTANI SEAL”のイラストがかわいい「加賀いろはテトラシリーズ」はお土産にもおすすめです。



喫茶では加賀献上棒茶、ほうじ茶、一番摘み煎茶、玉露などのお茶とお菓子のセットメニューを用意。お菓子は加賀棒茶のロールケーキと季節の和菓子から選べます。お茶は柔らかな旨味が印象的。懐かしくも洗練された味わいです。

かが 幡亭


さて、ズワイガニのおいしさでも有名な加賀市ですが、鴨も代表的な名物。網で捕らえた「坂網鴨(さかあみがも)」は古くから冬のご馳走として親しまれてきました。その伝統の味を守り続けているのが老舗割烹「かが 幡亭」です。



坂網鴨を使った「鴨治部煮膳」は、お造りと小鉢、デザートがついて2,750円とお気軽プライスで楽しめるのもうれしいところ。ちなみに治部煮とは鴨肉に小麦粉をまぶし、具ととも醤油や砂糖で煮込んだもの。石川県の郷土料理のひとつです。



「坂網猟」は江戸時代から受け継がれており、夕暮れ時にエサを求めて鴨が池を飛び立つ瞬間に、網を上空に投げて鴨を生け捕るという古式猟。空腹状態の鴨は内臓に何も残ってなく、さらに血を流さずに捕獲できることから、臭みが出ないのが特徴だそう。猟は11月から2月に限定され、年間200羽ほどしか捕獲できないため、実に貴重な食材なのです。

そんな伝統猟法による鴨は臭みがなく、驚くべき柔らかさ! "野生=硬い”という概念が見事覆されました。とろりとした甘辛いタレともよく馴染み、ご飯も進みます。



坂網鴨のおいしさをストレートに堪能するなら「鴨串焼き」(660円)もぜひ。その日によって肉の部位が異なり、この日はむね肉(左)ともも肉(右)。むね肉は繊細でしっとりした肉質が印象的。もも肉は口の中で広がる奥深いコクがたまりません。“カモネギ”とはよく言ったものと、白ねぎと鴨の相性の良さも実感できる一品です。

長き歴史の裏には常に挑戦があった老舗製茶場、土地の豊かさを知れる伝統鴨料理……。次の北陸は加賀市をお目当てに旅してみてはいかがでしょう?

丸八製茶場
住所 石川県加賀市動橋町タ1番地8
TEL 0120-42-4251
URL https://www.kagaboucha.co.jp


 

かが 幡亭
住所 〒922-0816 石川県加賀市大聖寺東町4丁目11番地
TEL 0761-73-0141
URL https://bantei.co.jp


 
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