【ドイツ現地取材特集5】南ドイツの修道院ビール!醸造所で見た歴史を紡ぐ「Ettaler(エタラー)」
TABIZINE / 2022年6月15日 12時0分
ドイツ観光局が主催するプレスツアーにTABIZINEライターが参加。首都ベルリンやドレスデンを巡り、バイエルン地方の小さな村オーバーアマガウへ。その後ミュンヘンも訪れました。各地の旅体験とともに、ドイツの今をレポートします。今回は、バイエルン州の小さな村「エタール」の修道院で、古くから製造されていた地ビールの醸造所へ。歴史を学び、おいしさの秘密を教えていただきました。
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オーバーバイエルン地区の小さな村の修道院ビール
ビールの生産量や消費量ともに、ヨーロッパでトップクラスを誇るドイツ。特に南ドイツのビール製造の歴史は深く、修道院が始めた醸造所も多くあります。オーバーバイエルン地区の小さな村「Ettal(エタール)」にある醸造所「Ettaler(エタラー)」もそのひとつ。現在もその伝統が継承されています。
14世紀に山間の奥地に設立された「エタール修道院」
「エタール修道院」が設立されたのは、1330年のこと。神聖ローマ帝国の皇帝ルートヴィヒ4世の命によるものだったそうですが、なぜこのような山々に囲まれた僻地に修道院が設立されたのか、確かな理由は今だ謎に包まれているといいます。一説にはドイツのアウグスブルクからイタリア・ヴェローナの交易路の中継地点だったからとの憶測も。
修道院の建物は1744年の火災にあい、その後バロック様式で再建されています。現在はビール醸造所のほかに、ホテルやレストラン、ウェディングなどのイベント会場も入っています。歴史ある建物での宿泊体験というのも特別感があっていいですよね。通常のホテルタイプの部屋のほか、キッチンが付いた長期滞在用の部屋などもあるそうですよ。
エタール修道院のビール醸造所に潜入
この修道院でビール醸造が始まったのは1609年。400年以上の歴史を誇ります。当初はワイン醸造の計画もあったそうなのですが、雨が多く寒冷地という土地柄ブドウの栽培に適さず、ビール醸造を始めたのだとか。
中庭に入ると早速「Ettaler(エタラー)」塗装のトラックを発見。ブラックにレッドのEttalerマークが目を引きます。半径100km以内の距離は、すべて自社で配送をしているそう。ちなみにこのビールが出荷されるのはほとんどが近隣エリアだそうなので、この地を訪れるビール好きの人はぜひ味わっておきたいところですね。
かつて使われていた道具の展示
エタール修道院でもっとも古い事業のひとつであり、文化的な発展に大きく貢献してきたというビール醸造。当初は修道院のコミュニティで消費するための自家醸造だったところ、酒場へ卸したり巡礼者に販売するなどの事業として拡大していったのだそうです。
醸造所の展示エリアには、大量生産用にボトリングできるような装置やビール樽の製造器具、さらに冬は雪深くなるこの地で運搬用に活用されていたソリも残っていましたよ。
最新技術が装備された現在の工場
現在使われている工場も案内していただきました。発酵や貯蔵用のセラーは数年前に全面改装され、最新技術が導入されているのだといいます。大麦やホップなどの原料はこの地域、もしくはバイエルン州産、醸造用の水はアマガウ・アルプス自然公園の水が使用されているのだそうです。
前日のアマガウ・アルプス自然公園でのウォーキング体験をふと思い出しました。水に恵まれたこの土地で、おいしいビールが造られ、ビール事業が発展してきたのですね。
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定番から個性的なビールまで多彩なラインナップ
こちらで製造されるビールは、古くからドイツ各地で飲まれていたという定番の褐色ビール「Dunkel(デュンケル)」や、バイエルン州でお馴染みの明るい色のビール「Hell(ヘレ)」、下面発酵でアルコール度数の高い「Bock(ボック)」のほか、ボックがさらに味わい深くなった「Curator(キュレーター)」など、定番ビールから個性的な味まで幅広いラインナップ。ほかにも白ビールで有名な「ヴァイスビア」などもありましたよ。
ミュンヘンの定番ビールといわれる淡い色のビール「ヘレ」は、 麦の風味が程よく爽やかで親しみを感じる味わい。さまざまな食事に合いそうな、ライトな飲み口でした。
ビールの本場ドイツで、古くから地域の人に親しまれてきた修道院ビールの魅力に触れる、貴重な体験となりました。
[all photos by minacono]
Please do not use the photos without permission.
[参照]
・Etteler(ドイツ語):https://ettaler.de/
・Kloster Ettal(ドイツ語): https://www.kloster-ettal.de/
取材協力:ドイツ観光局
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