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高まる海外旅行の機運。しかし止まない米国の「銃乱射事件」から見えるものとは【政治学者が見る世界の今】

TABIZINE / 2022年6月13日 7時30分

tabizine.jp

比較政治や国際政治経済を専門とする政治学者の筆者が、世界の情勢を考える人気シリーズ。今回は、徐々に戻りつつある海外旅行の機運と、その一方で止む気配のない米国での銃乱射事件が及ばす影響について考えてみる。※写真はすべてイメージです


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日常に戻る「海外旅行」と「新たな問題」

新型コロナウイルスの感染拡大が日本国内でも落ち着きを見せ始め、今後外国人観光客が戻ってくることが期待されている。そして、それに伴って日本人の海外渡航も今後再び日常を取り戻す様相だ。おそらく、米国本土へ渡航する人の数も今後増えてくるのではないかと思われる。しかし、昨今米国では銃乱射事件が続き、米社会に震撼を与えている。

たとえば、ニューヨーク州バッファローのスーパーマーケットでは2022年5月14日、18歳の白人の男がライフル銃を乱射し、黒人の買い物客や店員ら13人が撃たれ、10人が死亡、3人が負傷する事件が発生した。


男は軍服を身に着け、まず駐車場で警備員らを撃ち、その後店内に進入して買い物客らに向け50発近くを乱射したとされる。その後、男は警察に逮捕されたが、自らが白人至上主義者であることを自認し、地元の大陪審は6月1日、人種などを理由とした憎悪を動機とする国内テロ罪や第1級殺人罪など25件の罪状で男を起訴した。

また、6月に入ってからは、3日から6日の4日間だけでもバージニア州、テキサス州、ペンシルベニア州、サウスカロライナ州、ニューヨーク州、ミシガン州など全米各地で300件以上の発砲事件が発生し、120人以上が死亡、300人が負傷したことが判明した(非営利団体「Gun Violence Archive」の調査結果による)。


宗教問題・人種問題も浮き彫りに

これらの銃乱射事件は、ショッピングモールやクラブなど人が多く集まるところで発生しているが、近年はイスラム教徒やユダヤ教徒、ヒスパニックやアジア系、黒人など標的を特定した銃乱射事件も目立っており、アジア系になる日本人も注意が必要だ。


5月には、カリフォルニア州で台湾系の住民が集まる教会に男が押し入って銃を発砲し6人が死傷する事件があったが、犯人のメモには台湾は中国から独立するべきではないと書かれており、地元警察は近年緊張が高まる中台関係に由来するヘイトクライムとみている。



渡米時に気にかけたい「驚くべき調査結果」

こういった事件があれば当然のように銃規制を求める声が高まると想像される。しかし、驚くべき調査結果が明らかになった。

米国のCBSが2022年6月1日から3日間の日程で行った銃乱射に関する世論調査結果によると、「我々が本気で対処すれば銃乱射は防止することができる」と回答した人が7割に達した一方、「自由を共有する米国社会ではそれは生活の一部だ」と回答した人が3割近くにも達したことが分かった。


米国は自分を守るために銃が必要だとする考え方は根強く、日本人の考え方とは大きな乖離があり、一連の事件によって衝撃が全米を駆け巡っても銃規制の実現は非現実的なのが現状だ。米国渡航を考える際、ぜひともこれを気を付けるポイントと思って頂きたい。

 
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