【実録体験談】新聞の占いは当たるのか?1ヶ月毎日占いを見て検証してみた
TABIZINE / 2024年3月20日 20時0分
今も昔も根強い人気がある「占い」。12星座占いなどのなじみ深いものから、かつて流行した動物占いまで、あらゆるジャンルが存在します。時代と共にブームが去っていく中、昔から変わらず存在するのが新聞の占い。なぜ新聞の占いはなくならないのか? 実は的中率が高いのでは? 本記事では、新聞の占いがどれくらい当たるのか検証します。
新聞社のWeb版占いをスマホで読む様子
新聞の占いがなくならないのはなぜ?
朝のテレビ番組や雑誌の巻末ページなど、日常生活に身近な占い。自然と自分の運勢をチェックしている人は多いのではないでしょうか。
定期的に占いブームも訪れており、一昔前には「血液型占い」や「動物占い」が大流行。最近では「MBTI」や「ストレングス・ファインダー」などの診断テストが人気を集めており、自己分析やキャリアカウンセリングのツールとして使われることもあるそうです。
一方で、昔からあるのが新聞の占い。なぜ新聞の占いはなくならないのか? その理由は「当たるから」だと筆者は予想しました。本当に当たるとわかれば、毎朝見るだけで1日をよりよく過ごせるはず! ということで、新聞の占いの的中率を調べてみることにしました。
実録!毎日占いを見て的中率を検証してみた
新聞の占いが当たるかどうか調べるために、簡単な実験を行いました。
検証対象:新聞2紙(Web版)の12星座占い
検証期間:2024年2月1日〜2024年2月29日(29日間)
被験者:筆者・夫
検証方法:毎日、夕食後にその日を振り返って日記を書き、あわせて12星座ランキングの予想順位も記録する。その後占いを見て「当たった」と思ったら◯をつけ、◯の個数から的中率を算出する。予想順位と実際の順位の的中率も算出する。
この実験では、誰でもスマホで簡単にチェックできるWeb版で検証しました。また、的中率を比較できるよう、2紙ともランキング付きの12星座占いでそろえています。
そして今回は筆者と性格が正反対の夫にも参加してもらいました。占いへの関心度が全く異なる2人で実験すると、結果に差は出るのかについても検証します。
1ヶ月検証した結果・・・
この1ヶ月の奮闘記を簡単にご紹介します。
1日目。初日から好調な滑り出し
1日目。初日から好調な滑り出し。早速、筆者は当たった気がすると感じています。
2日目。占いを純粋に楽しんでいる
2日目。占いを純粋に楽しんでいる様子がうかがえます。
夫は3日目にして的中!
夫は3日目にして的中! ヨドバシで買った加湿器が現品限りで安く買えたようです。
占い生活も1週間を過ぎたところで徐々に変化が
しかし、現実は甘くありません。占い生活も1週間を過ぎたところで、徐々に変化が起こってきました。
15日の夫はイライラしている
当たらない日が続き、日記も少し投げやりになってきました。15日の夫はイライラしているようです。
26日の筆者はすっかり飽きた
占い生活もラストスパート。26日の筆者はすっかり飽きたようで、27日の夫は「仕事は前倒しで片付けるようにすると吉」という占いに対してイライラしていました。
1ヶ月の占い生活を終えた結果
1ヶ月の占い生活を終えた結果、的中率は以下のようになりました。
2人ともA紙の的中率は約3割で、B紙の的中率は1割という結果に。順位の予想はほとんど当たらず、筆者に至ってはA紙の予想順位の的中率がなんと0%! 結論、新聞の占いはほとんど当たらないということがわかってしまいました。
結果から見えた驚きの事実
しかし、データをよく見てみると、ある事実が判明しました。こちらはA紙・B紙の順位と我々の予想順位をグラフにしたものです。
ご覧の通り、A紙B紙ともに順位はバラバラで規則性はなさそうです。ただ、私たちの予想順位(オレンジ色の折れ線グラフ)に注目すると、筆者は3〜10位と開きがあるのに対し、夫は5〜7位とほぼ一定であることがわかりました。
なぜ筆者には開きがあり、夫は一定なのか。理由を聞いてみると、驚きの事実が判明しました。
どうやら夫の順位予想は、宝くじが当たったり雨に降られたりといった「自分の意思ではどうにもならないこと」が起きた場合にのみ変動するルールだったようです。反対に、筆者は幸運・不運に関係なくその日の気分で順位を予想していました。例として「仕事が進まない」状態を筆者は不運と感じ、夫はただの日常ととらえていたのです。
結論、夫は「12星座の中で自分はどの立ち位置にいるか相対的に判断していた」のに対し、筆者はただ単に「その日の気分を12段階で評価していた」だけ、ということがわかりました(私はなんて主観的なんだ・・・)。
占いが当たる人の傾向
さらに驚いたのは、占いが当たったかどうかの決め手です。夫が当たりと感じた日は「当たっていた」と断定表現を多用していたのに対し、筆者はことごとく「当たったかも!」「当たった気がする!」と曖昧表現を使っていました。極め付きは24日の筆者の日記です。
この日の占いは「学びの日にするのに適している。本を読んだりネットで勉強したいことを動画講習で学んだりしよう」という内容で、筆者は当たったと感じました。しかし実際はというと、筆者はこの日仕事のミスを指摘されて「大きな学びを得た」と感じただけで、特に読書や勉強などしていませんでした。
つまり、筆者は占いを朝に見ようが夜に見ようが、自分の行動を結果に寄せて「当たり」と感じる傾向が強かったのです。
なぜ占いは当たるのか
この問いについて先行研究を調べたところ『社会と人間関係の心理学(心理学入門コース5)』という文献が見つかりました。話をまとめると、占いが当たるのは「バーナム効果」という現象によるものなのだそうです。バーナム効果とは何か、本書より引用します。
<心理学では,多くの人にあてはまるような一般的な性格記述が自分だけにあてはまる正確な記述であると受け止めてしまう現象が知られており,この現象をバーナム効果(Barnum effect)と呼ぶ.占い師が発する蓋然性の高い情報は,バーナム効果を引き起こし,客に「当たった」と思わせるのである.>(松井豊・上瀬由美子『心理学入門コース5 社会と人間関係の心理学』/岩波書店 P27より引用)
24日の占いを振り返ると、筆者は「学びの日」という一部の記述だけを見てバーナム効果を引き起こし、占い全体が当たっていると錯覚したのです(ああ、なんて安易な私・・・)。
占い生活で起きた変化とは
占いが当たらない日々が続いたことで、筆者はすっかりやる気をなくし、バーナム効果も薄れていきました。(実際、2月下旬に「当たった」と感じたのは1回しかなかった)
しかし、驚くことに「占いは一切信じない」派の夫が、この実験で占いの時間を好意的にとらえるようになったのです!夫いわく、占いの時間が「1日を振り返る時間」に変わり、仕事の反省点やアイデアをメモするきっかけになったのだとか。
さらに筆者にも変化がありました。嫌なことがあると1日中怒りをため込むタイプだった筆者が、1日を客観的に振り返ることで「怒るべきこと」と「怒る必要のないこと」を切り離せるようになったのです!また、予想より実際の順位が高いと「今日は嫌なことがあったけど、ランキングは1位だったのか。じゃあいっか」と不必要に落ち込むことも減りました。
1ヶ月かけてたどり着いた意外な結論
当初、筆者は「新聞の占いは当たるか」というシンプルな問いを検証するはずでしたが、実際は驚きの連続でした。データだけを見ると「占いはよくても3割しか当たらない」という結果に終わってしまいます。しかし「占いを見る時間」そのものに価値を見いだせるという発見は、この実験の大きな収穫ではないでしょうか。
結論:新聞の占いは夜に見るとよい
皆さまも、夜に占いを見ると新たな発見があるかもしれませんよ。
[参考]
動物占い
一般社団法人日本MBTI協会
ストレングス・ファインダー2.0|Gullup
『社会と人間関係の心理学(心理学入門コース5)』松井豊・上瀬由美子(共著)/岩波書店
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