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「南海トラフ地震」戦慄のXデー【画像】「マグニチュード9級巨大地震」危険マップ

日刊大衆 / 2024年5月23日 12時0分

写真はイメージです

 最大震度7の揺れに、太平洋沿岸部に10メートル、一部地域では30メートルを超える巨大な津波が押し寄せる。

 我々の背後に迫りつつある、巨大地震の不気味な足音。今、日本列島に何が起きているのか、徹底取材!

豊後水道で初となる「震度6弱」の衝撃!愛媛・高知地震が示す予兆

「ついに南海トラフ地震が来た! そう思ったよ」

 こう言うのは愛媛県宇和島市内に住む60代の男性。同地を襲った震度5強の激しい揺れに、寝入りばなの布団から跳び起きたという。

 さる4月17 日の23時14分頃、豊後水道を震源とする最大震度6弱の地震が発生し、愛媛・高知両県各地で強い揺れが観測された。

「詳しい統計が残る1919年以降、両県で震度6弱以上が観測されたのは初めてのこと。1月の能登半島沖地震の記憶も鮮明な中、多くの県民が南海トラフ地震を想起し、恐怖を覚えました」(地元紙記者)

 地震に関する調査研究を行う政府の特別機関、地震調査研究推進本部(地震本部)は、駿する河が トラフを含めた南海トラフ(最終ページの地図参照)沿いに起きるM8〜9級の巨大地震の発生確率を「30年内に70〜80%」と想定している。今回の震源地は、その巨大地震の想定震源域内に位置していた。

 だが、気象庁は同地震発生後の会見で、「南海トラフ地震には、ただちに影響しない」と、直接の関連性を否定した。地震学が専門の京都大学名誉教授・梅田康弘氏は、その点について、こう解説する。

「南海トラフ地震に関係するフィリピン海プレートは、西日本の陸地が乗るユーラシアプレートの下に年間5〜6センチの速度で沈み込んでいます。それに耐えられなくなると、ユーラシアプレートが跳ね返って、巨大な海溝型地震が発生します」

 南海トラフ地震は、両プレートの境界で発生する。

 一方、今回の震源は、その境界より約10キロ深い海側のプレート内部で起きた単独の地震と判明している。

「したがって、発生メカニズムが違うため、これが南海トラフ地震の直接の引き金になることはありません。

 ただし、南海トラフ地震が近づくと、プレートの内部に歪みが溜まり、プレート内の岩盤が割れて地震が増えてきます。その意味では、この地震と南海トラフ地震との関連性はゼロではなく、長期的な意味での予兆、とも言えるでしょう」(前同)

 注目すべきは、活発度を増すフィリピン海プレートの動きだ。南海トラフ同様、フィリピン海プレートが陸側に沈み込んでいる台湾東部では、4月4日のM7・7を皮切りに、同23日にM6&M6・3と、大きな地震が頻発している。

「南海トラフ地震が起きる前は、プレートの運動による歪みがプレート内部にも溜まり、そこで岩盤が割れて地震が発生します。

 今回の豊後水道の地震も、その一つと考えられるので、“南海地震が近づいている証拠”とも表現できます」(同)

 南海トラフの地震は過去、90〜150年間隔で起きている。前回の昭和南海地震から約80年を迎える今、危機が迫っていることは紛れもない事実だ。

「現在の日本は、地震の活動期です。46年に発生した昭和南海地震の約50年後、95年に起きた兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災)を皮切りに、西日本でも次々に大きな地震が発生しています」(同)

「流体」の存在

 同じく地震学を専門とする東京工業大学教授の中島淳一氏も、こう指摘する。

「すべての事例ではありませんが、過去の南海トラフ地震をさかのぼると、発生の10年から20年前に、内陸部で地震活動が活発になっているんです」

 阪神・淡路大震災を起点にすれば、すでに30年弱が経過しており、日本列島は長きにわたる地震の活動期にさらされている状態だ。

 不気味なことに、今年は元旦に起きた能登半島地震を皮切りに、すでに「震度5弱」以上の地震が20回以上も発生している。

 その能登半島地震では「流体」の存在が注目された。流体とは、地下の岩盤内にある高温の水を指す言葉だ。

「地下10キロで300度の高温となる流体が膨張し、地表近くまで上昇して断層に入り込むと、潤滑油の働きをして断層を浮かせます。すると強度が低下して、地盤が滑りやすくなるんです」(全国紙科学部記者)

 流体の存在は、地震波の伝わる速度で推定できるという。流体の状況を測定している前出の中島氏は言う。

「四国の中央構造線(日本最大級の活断層)西側の下あたりで流体が上昇しているのではないかと考えて、注目しているところです」

 中央構造線は、淡路島の南方海域を経て、徳島県鳴門市から愛媛県伊予市まで四国北部をほぼ東西に横断し、伊予灘に至る。そのエリアは、南海トラフ地震の想定震源域とも重なる。

 その中央構造線の断層帯が動けば、最大M8級(最大震度7)の活断層型地震が起きると想定されている。

「仮に、それが震度4程度の規模に終わったとしても、南海トラフ地震の予兆と捉えることもできる。危機感を持って、注視しておくべきでしょう」(前出の科学部記者)

 次項では、南海トラフ地震が日本に引き起こす混乱について、検証していこう。

「半割れ」で東京・大阪2大都市壊滅

 南海トラフ地震が起こった場合、日本各地に、どれほどの被害をもたらすのか。

「政府の有識者会議の試算によると、震度6弱〜7の強い揺れが、東海〜九州地方までの広範囲で、数分にわたって続きます。

 震源域に近い高知県黒潮町の沿岸に最大34メートルの巨大津波が、また、大阪府に5メートル、東京都にも3メートルの津波が到達する可能性があります」(全国紙科学部記者)

 最悪の場合、死者(行方不明者を含む)は全国で約23万人、約209万棟の建物が全壊もしくは焼失。発災直後は、中京圏と近畿圏で1000万人以上の帰宅困難者が出て、1週間後には約880万人の避難者が発生するとされている。

 また、日本の経済も大打撃を受けることになる。

「工業製品の出荷額が国内シェアの7割を占める工業地帯、太平洋ベルトが被災し、飛行場や新幹線などの交通網が寸断。

 経済的被害は最大で約220兆円と推計され、これは東日本大震災の被害の10倍以上、日本の国家予算の2倍超です」(経済ジャーナリスト)

 加えて、高層ビルやタワーマンションが立ち並ぶ近代都市では、新たな被害が想定される。その元凶となるのが「長周期地震動」だ。

「長周期地震動とは、大きな地震で生じる、長く、ゆっくりとした揺れのことを指します。高層ビルや橋などを揺らしてダメージを与えるだけでなく、埋め立て地の液状化も引き起こす。

 そのため、特に都市部に甚大な被害をもたらします」(前出の梅田氏)

 2011年の東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)で目撃された、ビルがしなるように揺れる光景は、長周期地震動によるものだ。

「日本の高層ビルは長周期地震動に耐えられるように設計されているので、倒壊する可能性は低い。だが、エレベーターが故障して閉じ込められる、ビル内部の家具が転倒して人が下敷きになる、ガラス窓を突き破って家具が外へ落下する、といったケースが考えられます」(前同)

プレートが時差で二度にわたって動く

 さらに、大地震発生の混乱に拍車をかけるものとして危惧されているのが、“半割れ”という現象だ。

「南海トラフ地震は、駿河湾から日向灘にかけての約700キロメートルのプレートの境界を震源とします。そのプレートすべてが一気にずれて動くケースを“全割れ”と言い、プレートが時間差で二度にわたって動くケースを“半割れ”と言います。

 半割れは、東西別々の地域で二度の大地震を引き起こすのが特徴で、全割れよりも広範囲に被害が及びます」(全国紙科学部記者)

 この半割れ現象は過去、南海トラフ沿いで起きた地震で何度も確認されている(最終ページの表内参照。「半」は半割れと思われる地震)。

「1854年には南海トラフの東側で安政東海地震が起きた31時間後に、西側で安政南海地震が発生。1944年に東側で昭和東南海地震が起き、その2年後に西側で昭和南海地震が発生しています」(梅田氏)

 また、南海トラフ地震が起これば、同じフィリピン海プレートで接する相模トラフで、地震が連動する可能性も指摘されている。

 これら過去の事例から、国や専門家は、きたる南海トラフ地震でも半割れ現象に危機感を募らせている。

「昨年、東北・京都・東京の3大学による研究チームが、南海トラフ地震が連続発生する確率を算出し、発表した。

 最初の地震から1日以内に最大64%、1週間以内に最大77%の確率で、後発の巨大地震が発生するという試算が出ています」(科学ジャーナリスト)

 では、そのとき、列島はどれほどの被害を受けるのか。

「現在、発表されている内閣府の南海トラフ地震の被害想定は、全割れの場合で、M9クラスの地震が起きたケースを想定しています。

 半割れの場合、想定されるマグニチュードは8クラスと少し下がりますが、被害は同等か、それ以上と予想されます」(梅田氏)

 そこにも、前述の長周期地震動が関係している。

「長周期地震動は遠くに伝わる性質があり、地震が発生した場所から数百キロメートル先でも大きく揺れることがあります。半割れが起きると、東京や大阪などのビル群が東西の2発の大地震でダメージを受けるので、被害はより深刻です」(前同)

 東西2大都市が機能不全に陥り、道路などの移動経路も破壊されれば、自衛隊や消防部隊による救援・救助活動もままならなくなる。

「もしも東京都と大阪府の2大都市が被災し、政府の機能が一部麻痺すれば、日本全体に影響が及びます。

 半割れ現象が起きた昭和東南海地震と南海地震のときは、戦中戦後だったこともあり、政府主導の避難や救助活動が十分に行えませんでした。次の南海トラフ地震でも、そういった事態を想定しておく必要があります」(同)

 来たるXデーに向け、命を守る備えをしておきたい。

【画像】「マグニチュード9級巨大地震」危険マップ

※地図内の矢印はプレートが沈み込む方向を示す

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