テレビの中だけの話と思っていませんか?意外と身近なトラブル「遺産相続」問題!
日本タレント名鑑 / 2016年8月2日 9時55分
夏ドラマ「遺産相続弁護士 柿崎真一」が放送中です。少し(だいぶ?)おちゃらけた三上博史の演技や、ところどころに散りばめられた笑い、そして、遺産相続の絡んだ様々な事件。なかなか見応えのある展開に、筆者も毎週楽しませて頂いております。今までにも「遺産相続」をテーマにしたドラマがいくつもありました。向井理主演の「遺産争族」のような身内による泥沼展開。また、場合によっては愛人の登場など、これでもかというほどに醜く揉める、それこそが遺産相続ドラマの醍醐味でもあります。
ところで、この作品のテーマでもある「遺産相続」。私には関係ないけど?なんて、他人事として捉えている方も多いのではないでしょうか?しかし、実際のところはどうなのでしょう?今回は、遺産相続に関する相談内容や、良く起こる問題について、弁護士の先生に色々とお話を聞いてみました。今回“遺産相続”について教えて頂いたのは、アディーレ法律事務所の篠田恵里香先生です。
--記者
まず、遺産相続と聞くと我々庶民にはあまり縁のない話のようにも思えるのですが、実際に相談に来られる方というのは、やはり裕福な方が多いのでしょうか?
--篠田先生
遺産相続と聞くと「数千万や億単位の遺産を巡って大きく揉める」イメージがあるかもしれませんが、遺産の金額はあまり関係ありません。
実際に100万円や300万円といった遺産を巡って、親族同士で抗議文の送りつけ合いになる等、さほど多額の遺産でなくても泥沼の争いになることは少なくありません。ご相談に見える方も、例えば「数百万円の預金と500万円査定の不動産をどう分けるべきか」など、取り分としては十万円単位で争いになることも珍しくありません。
--記者
遺産相続に関する相談内容でもっとも多いもの、つまりもっとも良く起こる問題はどういったものでしょうか?逆に、珍しい相談内容などもありましたら併せて教えて頂けますでしょうか?
--篠田先生
やはり多いのは、「こんな遺言は無理やり書かされたものだ」等の遺言の効力を巡る争い、「お父さんの貯金はもっとあったはずなのに誰か隠したでしょ?」という遺産の存在を巡る争い、「生前の介護は私だけがしていたのだから取り分は多くなるはず」とか、「二男は家を建てるとき500万円援助してもらったじゃない」等といった、相続の割合に関する争いが多いと思います。
最近は、相続人でも何でもないのですが、相続人である長男・次男・三男のそれぞれの「妻」が話し合いに参加してきて、「うちの取り分はもっと多いはず」等と、妻の方がよく主張・発言をする・・・といった展開も見られるようになりました。
--記者
ちなみに、遺産相続が関わるドラマでは、家族間での露骨ないがみ合い、愛人の登場などがお決まりのパターンですが、実際にそのような泥沼な展開って良くあるものなのでしょうか?
--篠田先生
とにかく揉めます。相続争いは、これでもかというくらい「なじり合い、けなし合い」の泥沼闘争にもつれ込むことが少なくありません。
例えば、どんなに仲の良い兄弟であっても、「うちは大丈夫」という油断は禁物です。むしろ仲が良かったほど、「これまであんなに仲良くしてきたのに、金を巡って争うなんて許せない」という気持ちが爆発し、骨肉の争いに発展しがちです。ときには、49日や一回忌の列席者の面前で「暴言の吐きあい」になるケースもあります。争いが収束し、復縁できればよいのですが、相続トラブルを機に「一生涯の離別」に至ることも少なくありません。
また、「全く知らない人物(隠し子や愛人など)」が、いきなり相続の権利を主張してくることもあり、これまた厄介です。よそ者が何を言う!とこれまた感情のぶつかり合いになります。とにかく「故人を愛していた・故人に尽くしていた気持ち」が絡んでくるため、「裏切り者は許せない」「他人に足を踏み込まれたくない」という感情が炎上し、「憎くて仕方ない」争いになる。これが相続トラブルです。
--記者
いずれ自分の身に遺産相続問題が降りかかった時、スムーズに事を進めるために準備しておいた方が良い事や心がけなどはありますか?遺産を相続する側、させる側、両方の立場でお願いします。
--篠田先生
とにかく「遺産の問題は先のこと」「うちは揉めないだろう」の気持ちを捨てていただくことです。遺言や遺産目録の作成等、準備できることはしておくべきです。
遺産を受け継ぐ側としては、「故人の生前に相続の話など不謹慎」とばかりに相続の話を避けがちですが、いざ相続の場面になれば、「生前に聞いておくんだった」と後悔すること必至です。故人の生前に相続人全てを集め、「相続をどうするか」の話合いをすることをお勧めします。そして、遺産を残す側としても、相続開始後に遺族が路頭に迷わないような準備が必要です。例えば、「遺産として何があるか分からない」「故人が何を望んでいたのか真意が分からない」というのが遺族の悩みどころです。やはり、生前に皆で話し合い、「遺産目録」と「遺言」の作成をしっかり行い、遺言には「皆が争わずに円満に相続手続きを踏んでくれるようなメッセージ」も書き添えるとよいでしょう。
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というワケで、今回は“遺産相続”について、弁護士の篠田恵里香先生に色々とお話を伺いました。どうやら、ドラマのような大金持ちや資産家だけが巻き込まれる問題だけではなく、意外と身近に起こりうる問題でもあるようです。うちは大丈夫。そんな風に思っている方こそ特に、ドラマの中だけの世界と思わず、自分に置き換えて観てみると良いのかもしれません。仲の良かった家族や兄弟の絆が、一瞬で崩れ去る「遺産相続」問題。泥沼の揉め事になる前に、きちんと準備をしておきましょう。
・取材協力
篠田恵里香(しのだえりか)弁護士(東京弁護士会所属)
弁護士法人アディーレ法律事務所
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