ユニークな選曲や行進曲のイメージじゃない曲も!? センバツ高校野球 入場行進曲の歴史
日本タレント名鑑 / 2017年3月17日 8時55分
今年も春の選抜高等学校野球大会が開幕します。夏の甲子園と違う“センバツ”ならはの特色の一つとして、開会式の入場行進曲に前年のヒット曲が起用されることが挙げられます。この行進曲には、誰もが認める大ヒット曲や、選手の頑張りを後押しするような応援歌的な楽曲が目立ちますが、なかには意外な選曲も!? そんなセンバツ入場行進曲の歴史を振り返ります。
今年はアップテンポな星野源の『恋』が入場曲 スローバラードが起用されるケースも多数
今年の入場行進曲は星野源さんの『恋』。昨年ドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』の主題歌となり、“恋ダンス”でも大いに話題になりました。テンポが速いダンサブルな曲で、これが入場行進曲としてどういうアレンジになるのか楽しみです。
過去にも、杏里『キャッツアイ』(1984年、56回)、AKB48『Every day、カチューシャ』(2014年、86回)など、テンポが速く行進曲向けではないと思われる曲もありましたが、見事に行進曲として開会式を盛り上げています。
逆にスローバラードのKiroro『長い間』(1999年、71回)、宇多田ヒカル『First Love』(2000年、72回)、サザンオールスターズ『TSUNAMI』(2001年、73回)、コブクロ『蕾』(2008年、80回)なども新たに行進曲として歩きやすくアレンジされています。
流行歌の入場行進曲は1962年から その時代の世の中の動きを反映する選曲も
もともとセンバツの入場行進曲は第1回大会(1924年)の『星条旗よ永遠なれ』など既存の行進曲や大会歌が使われていましたが、1962年(34回)の『上を向いて歩こう』(坂本九)から流行歌が入場行進曲として使われるようになりました(大会歌が変更されて最初の1993年の65回大会は大会歌の『今ありて』が行進曲)。
大阪万博に湧いた1970年(42回)には『世界の国からこんにちは』(三波春夫)が起用されたり、阪神・淡路大震災が起こった1995年(67回)にはSMAPの『がんばりましょう』(起用決定は震災前)などその時代を象徴するような曲もあります。
ZARD『負けないで』(1994年、66回)や岡本真夜『Tomorrow』(1996年、68回)、SMAP『世界に一つだけの花』(2004年、76回)のような、選手への応援歌としてイメージが合う曲もありますが、ラブソングや、平井堅『大きな古時計』(2003年・75回)など応援歌っぽくない曲も実は多いです。
ちなみに2009年(81回)行進曲のGReeeeNの『キセキ』もラブソングですが、ドラマ『ROOKIES』の主題歌として大ヒットしたことから、すっかり“野球の曲”というイメージが定着していますね。
「あれ、この曲ヒットしてたっけ?」という曲も
行進曲に選ばれている曲では、古くは西城秀樹『YOUNGMAN(Y.M.C.A)』(1980年、53回)、寺尾聰『ルビーの指環』(1982年、54回)、B.B.クィーンズ『おどるポンポコリン』(1991年、63回)、サザンオールスターズ『TSUNAMI』など前年の賞レースを賑わせたり、ミリオン以上のヒットとなった、誰もが認める大ヒット曲が選ばれるケースもあれば、なかには「あれ?この曲って前年にヒットしたっけ?」という曲も。
1986年(58回)の岩崎良美さんの『青春』は、ヒットシングル『愛がひとりぼっち』のカップリングで、高校野球を扱ったアニメ『タッチ』のエンディングテーマとなっていました。1990年(62回)の相川恵里さんの『約束』はこの年大阪で開催された『国際花と緑の博覧会』のテーマソングでした。ちなみにこの曲は相川さんにとってのラストシングルでした。
ゴダイゴ、SPEED、嵐…意外と一度も選ばれていないアーティストたち
入場行進曲として選ばれていてもおかしくないのに、一度も選ばれていないアーティストもいます。1979年代後半からの音楽シーンを席巻したゴダイゴは「ポートピア'81」のテーマソングを歌ったり、各種イベントやキャンペーンのテーマに起用され、また楽曲も聴く人を元気付けるようなものが多かったのですが、一度も選ばれていません。
同じく主に70年代後半に活躍したアイドル、ピンク・レディーやキャンディーズの楽曲も選ばれていません。ピンク・レディーには『サウスポー』という野球を扱った大ヒット曲もありますが、この曲がヒットした1978年の翌春は松山千春さんの『季節の中で』が行進曲に選ばれています。
女性アイドルグループでいえば、AKB48は2回ありますが(前出『Everyday、カチューシャ』と2014年・86回『恋するフォーチュンクッキー』)、ハロプロやももいろクローバーZなどはありません。歴代でも女性アイドルグループではAKB48のみ(1997年・69回で『これが私の生きる道』が起用されたPUFFYもアイドルといえるかもしれませんが…)。90年代後半、10代を中心に大人気になったSPEEDも若者を応援するイメージの曲も多いですが、一度も採用されたことはありません。
ジャニーズアイドルでは、1989年(61回)の光GENJI『パラダイス銀河』が初で、田原俊彦さん、近藤真彦さん、シブがき隊、少年隊などの曲は採用されていません。その後、SMAP(前出)、KinKi Kids(1998年・70回『硝子の少年』)、修二と彰(2006年・78回『青春アミーゴ』)、TOKIO(2007年・79回『宙船』)が起用されていますが、意外なことに大人気の嵐の曲は一度も採用されていません。特に嵐の楽曲は、10代の若者の頑張りを後押しするような歌詞の楽曲も多いのですが一度も入場行進曲にはなっていません。
最近だとEXILEファミリーの曲もイメージに合う曲が多いですが一度も選ばれていません。また安室奈美恵さん、華原朋美さん、globeなど1990年代後半の音楽シーンを席巻した小室ファミリーも起用されていません。こちらはテンポの速い楽曲が多いイメージですが、意外と行進曲にも合うのではと思えるミディアムテンポのナンバーもあり、歌詞も、頑張っている人の背中を押すようなものも多いのですが…。
最後に、早くも来春のセンバツの入場行進曲を、もし現在までに発売された曲の中から選ぶとすると…。まだ2ヶ月半ですが、NHK朝ドラの主題歌にもなっているMr.Children『ヒカリノアトリエ』などはイメージにピッタリじゃないでしょうか。
文/田中裕幸
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