ペットを傷つければ器物損壊罪!?迷子のペットを拾えば遺失物横領罪!?「ペット」について弁護士に聞いてみた!
日本タレント名鑑 / 2017年9月8日 11時25分
渡部篤郎さんのコミカルな演技、橋本環奈さんのチャーミングな笑顔、その愛くるしさで毎回視聴者をキュンキュンさせてくれる可愛い動物たち。そんな魅力満載の2017年夏ドラマ『警視庁いきもの係』。動物を飼う事、ペットを持つ事について、改めて考えさせられるという方も多いのではないでしょうか?
外来種の生態系破壊なども問題となっている昨今。ほとんどの人は最期までペットを愛し続けているでしょうし、ペットからもたくさんの愛情をもらっていると思います。しかし、飼いきれなくなった動物を身勝手にも捨ててしまう、そんな飼い主がいる事も確かです。今回はそんな「ペット」に関しての法律についての疑問を弁護士の先生にぶつけてみました。今回お答え頂いたのは、アディーレ法律事務所の時光祥大先生です。
--記者
改めて先生にお聞きします。ペットを遺棄する行為に関して法律的に何か罰則などは定められているのでしょうか?また、育成して自然に返す行為との差別化は明確にされているのでしょうか?
--時光先生
動物の虐待や遺棄(捨てること)防止を目的とする、動物愛護法(動物の愛護及び管理に関する法律)に違反する可能性があります。具体的には、この法律は愛護動物(犬、猫など多くの動物が指定されています。魚類は指定されていません。)を遺棄することを禁止し、刑罰を定めています。100万円以下の罰金です(同法44条3条、4条)。
なお、育成して自然に返す行為との差別化はあまり明確ではありません。総合的に判断されることになりますが、きちんとした目的が認められれば、禁止されている「遺棄」とは言えず、禁止はされないでしょう。
もっとも、それが特定外来生物(ウシガエル、ブルーギルなど)に指定された動物であれば、そもそも飼育自体が原則禁止されますし、放出・放流も禁止されています。違反すると刑罰もあります(1年以下の懲役、100万円以下の罰金など)(特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律4条、9条、33条など)。
--記者
ドラマ内でも一部そのような表現がありましたが、ペットが人を殺めたり傷つけてしまった場合、法的にペット自身に対してどのような処遇が考えられるのでしょうか?また、その場合、飼い主の責任というのはどうなるのでしょうか?
--時光先生
人を傷つけてしまったペットの取扱いに、明確な法律上のルールはないようです。傷の程度や傷つけてしまった理由、再び同じようなことを起こす危険性の程度などを考え、危険の高い場合には事実上殺処分されてしまうこともあるでしょう。もちろん、ペット自身は罰金を払うことはできませんし、刑務所で罪を償うこともできません。基本的には、飼い主の責任を考えていくことになります。
まず、刑事責任についてです。例えばペットをけしかけて故意に怪我を押させた場合、飼い主の傷害罪になります(刑法204条)。ペットを道具のように使ったことから、飼い主の行為と考えます。ナイフで傷つけても、ペットで傷つけても変わりはないということです。故意に人を殺めた場合は飼い主の殺人罪(刑法199条)になります。
故意ではなく、飼い主の不注意(過失)であった場合、過失傷害罪(刑法209条1項)や過失致死罪(刑法210条、211条)になる可能性があります。故意にしても、不注意にしても、民事上の損害賠償責任を飼い主が負います(民法709条、718条)。
--記者
逆に、他人のペットを殺めたり傷つけてしまった場合はどうでしょうか?きちんと法で裁けるような法律は定められているのでしょうか?
--時光先生
きちんと、法律で裁けるようになっています。他人のペットは、法律上は他人の「物」として扱われます。可愛いペットを物扱いはひどいように思いますが、法律上は致し方ないところです(「動物傷害罪」と言うこともあります。)このため、他人のペットを殺めたり、傷つけた場合は、器物損壊罪(刑法261条)になります。動物愛護法とは違い、魚類などの愛護動物以外も対象です。
だれかのペットではない愛護動物(野良猫など)を殺めたり、傷つけた場合は、動物愛護法違反となります(動物愛護法44条1項)。器物損壊罪は3年まで懲役を科すことができるのに対し、動物愛護法違反は2年までしか懲役を科すことができませんので、器物損壊罪の方が重い罪と考えられています。
--記者
最後に、上記以外にペットに関する相談や裁判事例などありましたら、その内容および判決について教えて頂けますでしょうか?
--時光先生
ペット禁止の賃貸マンションで、無断でペットを飼育した場合の相談は少なくありません。借り主側、貸し主側問わず相談があります。ペット禁止の賃貸マンションで大型犬を飼った場合など、明確な契約違反(用法違反)があれば強制解約を認める裁判例も多いです。
また、ペットを盗まれたという相談も少なからずあります。前にも説明した通り、ペットは物として扱われます。盗めば窃盗罪(刑法235条)ですし、迷子のペットを拾って自分のものにすれば遺失物横領罪(刑法254条)になり得ます。
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というワケで、今回はペットについて、弁護士の時光祥大先生に色々とお話を伺いました。まず何よりも、ペットは法的に物として扱われるという事実に衝撃を受けました。一方で、ペットや動物に対しての悪質な行為に対して、きちんと法的な罰則が定められている事には安心しました。
ペットも生き物ですからちゃんと成長します。最後までその成長を見守る覚悟がないのであれば、絶対に生き物を飼ってはいけません。飼い主にはペットを幸せにする義務があります。ペットを捨てるという行為が犯罪である事、何よりペットに対する最大の裏切り行為である事を改めて心に刻み、100%いや、120%の愛情をこめてペットと一緒に幸せに過ごしていきましょう。
・取材協力
時光祥大(ときみつしょうた)弁護士(東京弁護士会所属)
弁護士法人アディーレ法律事務所
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