世の中「平成最後の~」ブーム 「昭和最後」「平成最初」のエンタメは何が人気だった!?
日本タレント名鑑 / 2019年3月11日 11時30分
平成の世も残りあと1ヶ月あまり。
エンタメの世界でも「平成最後の~」ブームですが、では30年前、「昭和最後の」「平成最初の」エンタメシーンではどんなヒト、作品が話題になっていたのか。
女性アイドル、ジャニーズ、アーティスト、お笑い、ドラマ、映画、CM…さまざまなジャンルで振り返りたいと思います。
■ジャニーズでは光GENJIが一世を風靡
天皇陛下が生前退位されることを表明され平成は31年4月までということが決まり、昨年後半あたりからは“平成最後の夏”“平成最後のクリスマス”など、さまざまな場面で“平成最後の~”のフレーズが使われる機会が増えました。それはエンタメ界でも。アーティストが「今回のシングルは平成最後のシングルで~」といった感じで、インタビューや記者会見で語っているのを聞くようになりました。
それでは30年前は「昭和最後の~」と言われていたのでしょうか。それはもちろん否。昭和が終わったのは、昭和天皇の御崩御によってで、今回のような風潮は、天皇陛下が生前退位を表明されたからこそのことです。
昭和が終わる前年の昭和63年(1988年)は天皇陛下の病状が悪化し、特に後半はエンタメ界でも自粛ムードが高まっていきました。
たとえば、当時は各局でその年活躍したアーティストを表彰する音楽賞が開催されていましたが、その年の音楽賞は軒並み自粛され中止に。現在も唯一続いている、TBS系で放送の『輝く!日本レコード大賞』のみ開催され、光GENJIが『パラダイス銀河』で大賞を受賞しました。
この時代のジャニーズアイドルはまさに光GENJIの全盛時代でした。昭和63年のオリコン年間ランキングでは『パラダイス銀河』『ガラスの十代』『Diamondハリケーン』でベスト3を独占。のちのSMAPや嵐にもひけをとらない、というか、“瞬間風速”ではそれ以上だったといえるかもしれません。
当時のジャニーズアイドルはグループとしての活動期間は10年以内がほとんど。SMAP以降メンバーが30代、40代になっても活動を続けるケースが主流になり、TOKIO、KinKi Kidsなどそれが平成ジャニーズのスタンダードになりました(光GENJIよりデビューが早い少年隊も解散はしていませんが、近年はグループ活動はほぼ行っていない状態)。ちなみに光GENJIが平成元年に発売したアルバムに『Hey!Say!』がありましたが、それはのちにデビューしたHey!Say!JUMPのネーミングにも繋がっているのかもしれません。
■大人数女性アイドルグループ人気が始まった時代
一方女性アイドルの世界に目を移すと、フジテレビの人気番組『夕やけニャンニャン』から生まれた、女子高生を中心としたアイドルグループ・おニャン子クラブが解散したのが昭和62年で、昭和の終わりはさん、さんといったグループの卒業メンバーがソロとして人気者になっていました。ちなみに、このおニャン子クラブの楽曲でほとんどの作詞を手掛けていたのが、現在AKB48グループの総合プロデューサーを務める秋元康さん。昭和の最後、そしてまた平成でも、時代を代表するアイドルのプロデュースを成功させている秋元さん、その若者文化を創る感性が持続していることには改めて感心させられます。
平成元年4月には、おニャン子クラブを引き継ぐように同じくフジテレビでアイドル育成番組『パラダイスGoGo!!』が始まり、CoCoやribbonといった人気アイドルグループを輩出しました。ribbonには、現在女優として活躍、最近ではNHKドラマ『みかづき』での活躍も記憶に新しい永作博美さんが在籍していました。おニャン子クラブから始まった、昭和~平成をまたいだこれらのムーブメントが、現在も人気が続く大人数グループアイドルの始まりといっていいでしょう。最近のアイドルのライブやイベント会場では、40代、50代のファンも少なくありませんが、そういったファンの中には昭和最後のこの頃からアイドルの応援を続けている人もいることでしょう。
おニャン子の解散後、昭和最後にブレイクしたアイドルが二人組のWink。昭和63年に『愛が止まらない』でブレイクした彼女たちは、キャピキャピとしたアイドルが当たり前だった中で、“無表情”“笑わないアイドル”として注目されました。平成元年には『淋しい熱帯魚』で“平成最初”の『日本レコード大賞』を受賞しました。
ですが、この時代を最後に、1990年代前半は“アイドル冬の時代”といわれ、歌手活動メインのアイドルの存在がシーンから少なくなっていきます。
■CDバブル前夜 ドリカムやB‘zらがデビューしブレイク
この時代はもちろんアイドル以外のアーティストも元気。CDバブルといわれ、ミリオン、ダブルミリオン連発だった1990年代に向けて“前夜”ともいえる時代です。
現在は音楽配信やストリーミングサービスで聴くのが主流になりつつあり、CDがミリオンセールスを記録するのは、握手券付きなどイベントと連動したものなど一部に限られるようになりました。
現在も一線で活躍するDREAMS COME TRUEやB‘zがデビュー、ブレイクしたのがこの時代。ドリカムは平成元年にデビューし、翌年5thシングル『笑顔の行方』でブレイク、B’zは昭和63年にデビューし翌年ブレイク。その後平成初期にCDのメガヒットを飛ばしていきます。
そのCD全盛時代、“小室ファミリー”作品のメガヒット連発で主役となった小室哲哉さんは、昭和最後の時代は自身のグループ・TM NETWORKでアーティストとして活躍する一方、渡辺美里さんらに楽曲を提供しており、のちのプロデューサーとしてのブレイクの礎を築いていました。
また“平成最後の”『NHK紅白歌合戦』を大いに盛り上げた。昭和53年にデビューして平成の時代も駆け抜けていきましたが、桑田佳祐さんが一時期のソロ活動や別動のKUWATA BANDを経てサザンを復活させたのが昭和63年でした。同じく“平成最後の”紅白を盛り上げた松任谷由実さんは、バブル絶頂期「クリスマスは恋人とオシャレに過ごすもの」というムードが加熱していた時代を背景に、毎年年末に恋愛をテーマにしたアルバムをリリースし話題を集めました。
■“お笑いビッグ3”“第3世代”は平成の30年を経ても第一線で活躍中
“昭和最後”に活躍していて今も現役バリバリといえば、お笑い界も同様です。当時は『オレたちひょうきん族』『笑っていいとも!』といったフジテレビのバラエティ番組が全盛でそのド真ん中にいた、タモリさん、さん、明石家さんまさんは“お笑いビッグ3”といわれていましたが、その“お笑いビッグ3”という呼び名が今も残っているほど、彼らの活躍は変わらずです。今や映画監督としても地位を築いているたけしさんですが、その監督一作目の『その男、凶暴につき』が公開されたのは平成元年のことでした。
その後の世代で人気者だったのが、“お笑い第3世代”といわれた、、ダウンタウン、らです。『とんねるずのみなさんのおかげです』や
『ねるとん紅鯨団』は昭和からの人気番組でしたし、『ねるとん~』は平成初期には番組内容を模倣したイベントが全国各地で開かれるなど、バブル期を象徴する番組の一つでした。ダウンタウンは関西でブレイクし、昭和と平成をまたぐ時期は、活動の軸足を大阪から東京に移すタイミングでした。そんなダウンタウンと、同じく人気上昇中だったウッチャンナンチャンらが出演した伝説のコント番組『夢で逢えたら』が開始したのが昭和63年でした。
■トレンディドラマ全盛時代 若手では宮沢りえらが台頭
一方ドラマの世界では、バブル真っ只中で、いわゆる“トレンディドラマ”がブームを迎えた時代。『抱きしめたい!』(昭和63年)でW主演した“W浅野”ことさんとさんがその代表的な存在で、若手では、アイドル歌手としても人気だったさんが主演女優に成長しており、映画『ビー・バップ・ハイスクール』のヒロイン役などで人気でした。平成最初のクール(平成元年1月~)では『君の瞳に恋してる!』で主演しました。
当時は中山さん同様、女優とアイドル歌手の“二刀流”で人気者になる人が多く、『スケバン刑事』やNHK連続テレビ小説『はね駒』でブレイクしたさん、その斉藤さんに次いで2代目『スケバン刑事』となりブレイクしたさんらも当時大人気でした。
さらにその下の世代では、昭和の最後に彗星のごとく現れた宮沢りえさん。『三井のリハウス』のCM(昭和62年)で一躍注目され、デビュー映画『ぼくらの七日間戦争』(昭和63年)で人気女優の仲間入りを果たしました。平成元年に歌手デビュー、その後、平成3年に出版したヌード写真集『Santa Fe』は社会現象になりました。この頃からCM美少女で注目された人が女優として人気になるケースが増え、宮沢さんは、平成に入って人気者になった観月ありささん、牧瀬里穂さんと併せ、“3M”と呼ばれ、平成初頭のドラマ、映画、雑誌、テレビCMなどを彩りました。
その牧瀬さんが一躍注目を浴びたのが、平成元年に放送されたJR東海の『クリスマス・エクスプレス』のCM。新幹線のホームでの恋人たちの温かなやりとりを描き、前年の昭和63年、深津絵里さんの出演でスタートした同シリーズは、CMソングに使われた山下達郎さんの『クリスマス・イブ』とともに平成初頭のクリスマスの風物詩になっていました。
またNHK朝の連続テレビ小説で昭和~平成をまたぐ作品となったのは山口智子さん主演の『純ちゃんの応援歌』でした。
■昭和とともに『ビー・バップ』が終わり『釣りバカ日誌』が始まった
映画に目を移すと、昭和最後のお正月映画としては、やはりお正月の定番となっていた“寅さん”。この年は『男はつらいよ 寅次郎サラダ記念日』が公開され、マドンナ役を三田佳子さんが演じました。
このお正月には、のちに寅さんと並んで定番となる、西田敏行さん主演『釣りバカ日誌』の第1作が公開されました。
その一方で、昭和末期の青春ヤンキー作の大人気作品『ビー・バップ・ハイスクール』のラスト『ビー・バップ・ハイスクール 高校与太郎 完結編』が公開されました。平成になってから復活したものの、清水宏次朗さんと仲村トオルさんの主演では最後の作品となりました。
さて、まもなく新しい時代を迎えますが、現在活躍中のスターで、次の時代のその最後の日まで一線で活躍している人は誰か、考えると楽しみですね。高齢化社会が進む中、意外と“お笑いビッグ3”が100歳を超えてまだ活躍してたり…なんてこともあるのかもしれません!?
文/田中裕幸
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