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元祖「タレント型」都知事選はここから始まった?(1967年)【TBSアーカイブ秘録】

TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年6月20日 6時30分

TBS NEWS DIG

告示前から盛り上がる(?)東京都知事選ですが、なんだか思い出す都知事選があります。それが1967年。物価高で庶民は右往左往、政治の透明さが疑われ、中東で戦争が起きていました。(アーカイブマネジメント部 疋田 智)

57年前の都知事選の勝者は?

57年前の首都東京は、選挙に沸いていました。
東京五輪の興奮はさすがに収まり、かわって盛り上がったのが学生運動…。そんな1967(昭和42)年に、東京都知事選が行われたのです。

医学者であり厚生官僚だった前職・東龍太郎氏が引退した後の、東京都知事選。この時期はある意味、時代背景が現在とちょっと似ていたといえるかもしれません。

時代の雰囲気がなぜか似てる

高度成長の末期、物価は上がり続けていました。中東では戦争が起き、世界情勢には不安感が押し寄せています。また「黒い霧」と呼ばれる政治腐敗の疑念が払拭されず、この年、政治資金規正法の改正が国会で取り沙汰されたことまで似ています。


時代には不透明感が漂っていました。

有力候補は3名。
美濃部亮吉氏(社会党、共産党)、松下正寿氏(自民党、民社党)、阿部憲一氏(公明党)の3名です。政党の離合が今と微妙に違うところが味わい深いところです。

大物が続々応援に

このうち、美濃部亮吉氏はリベラルな政策を前面に押し出しました。テレビで分かりやすい解説を行うマルクス経済学者としてお茶の間へも浸透していました。またリベラルな主張が、あの時代の感覚にマッチしていたともいえます。

迎え撃つ自民党・民社党推薦の松下氏については、自民党渾身の応援がつきました。松下氏は国際政治学者で弁護士です。現職の佐藤栄作総理がたびたび演台に立ち「都庁に赤旗を立てるな」を合い言葉に選挙戦を展開しました。

公明党の阿部氏は参議院議員で、後の創価学園理事長。公明党のメンツを賭けた戦いになりました。

スーパースターたちの支持表明

この選挙は、初めての「タレント型都知事選」といえるかもしれません。
たとえば美濃部氏の支持を表明した、多くの著名人たち。
手塚治虫さん、藤子不二雄さんという超メジャーマンガ家がキャラクターを描き、応援するのは吉永小百合さん、渥美清さんなどの人気俳優、丸山眞男さん、芥川也寸志さんなどの著名文化人…。もう驚くようなスーパースターだらけです。

一方の松下氏も負けてはいません。
長嶋茂雄選手、大松監督、北の富士関など、スポーツ界のスターたちと、三船敏郎さん、コロムビア・ローズさん、和泉雅子さんなどの著名芸能人…。こちらも驚くようなスーパースターが応援につきました。
これらの人を巻き込んでの派手な選挙戦が連日繰り広げられたのです。

美濃部氏当選

結局のところ美濃部氏は僅差で松下氏を振り切り、当選しました。
美濃部氏はフットワークの軽い都知事で、当選後も色々なところに顔を出しては、独特のパフォーマンスをしてみせました。

この後、美濃部氏は都知事を3期つとめ、高福祉・公共サービス無料化、公営ギャンブル廃止といった政策が一定の支持を集めました。一方「一連のバラマキ福祉で都財政が破綻した」といった批判もありました。
しかし、一貫していたのは、美濃部氏「けっこう出るのが好きな都知事」だったことです。

美濃部氏以後、東京都知事は、ある種のタレント性がないと通らない(?)というような状況になっていくのですが、そのきっかけはおそらくこの時代。
今から思うと、美濃部氏本人こそ元祖タレント教授であり、タレント都知事だったのでしょう。

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