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「マンパワーが厳しい」深刻な人手不足の介護現場 外国人の訪問介護“対象拡大”へ 外国人材はどうすれば日本へ? トラウデン直美が取材【news23】

TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年6月20日 12時30分

TBS NEWS DIG

2040年度には「約280万人」が必要になるという介護職員。その人手として期待されているのが外国人の存在です。一定の条件を満たせば、資格のない技能実習などの外国人も訪問介護で働けるなど規制緩和の方針が示されましたが、人手不足解消の一歩となるのでしょうか?

人手不足で“存在はかかせない” 外国人の訪問介護“対象拡大”へ

都内の介護付き老人ホーム「ヴィラ ドゥ のぞみ」では、入所するお年寄りが塗り絵を楽しんでいました。

そばに寄り添うのは、ミャンマー出身のスエさん。特定技能という在留資格で来日して約1年。食事や入浴などの世話を中心に仕事をしています。

ミャンマー出身 スエさん
「お年寄りが好きなので、この仕事もできるかなと思って」

この施設で働く外国人の介護職員は9人。仕事内容は日本人の職員と変わりません。

入所者
「車いすで座りっきりなので、すべて皆さんにお世話になっています。何をお願いしても快く引き受けてくださって」

トラウデン直美さん
「これが大変だなというのはありますか?」

ベトナム出身 トゥイさん
「もちろん、どんな仕事も難しいと思いますが、介護の仕事も結構難しいですよ。病気とか人間関係とか色んなことを知ってないと困ります

いま介護の現場で期待されるのが、外国人の活躍です。そのなり手を増やそうと、厚生労働省は19日、介護分野で働く外国人の条件を緩和する案をまとめました。そのひとつが訪問介護です。

日本の文化が大好きなエルマさん。日本での介護の仕事の需要を知り、「介護福祉士」の資格を取得しました。

インドネシア人の介護福祉士 エルマさん
「最初は携帯で辞書を見たり、すぐに覚えられないのでメモしたり」

利用者と1対1で向き合う難しさなどから、外国人の訪問介護は「介護福祉士」の資格を持っている人に限定されています。

厚労省は、資格のない「特定技能」や「技能実習」などの外国人にも一定の条件のもとで訪問介護を解禁する方針を決定。早ければ来年度からの実施を目指すとしています。

人手不足の介護業界において、いまや“外国人の存在は欠かせない”といいます。

ヴィラ ドゥ のぞみ 石田貴世志 施設長
一人一人のマンパワーが1.5倍くらい動かないと厳しくなってきている。日本は他の国よりも高齢化が早く進んでいて技術的なノウハウはあると思う。その部分を勉強するためでもいいので来てほしい思いはある」

約15年で「65万人」確保できる?足りない介護職

藤森祥平キャスター:
日本は高齢化が進んでいるということもあり、厚労省によると、2040年度には約280万人の介護職員が必要になるということです。

2021年度の介護職員は約215万人で、約65万人足りていないということです。

これから期待されるのが外国からの介護人材ということで、厚労省は19日、介護分野で働く外国人の条件を緩和する案をまとめました。

小川彩佳キャスター:
実際に現場で働く外国人の介護職員を見て、どのように感じましたか。

トラウデン直美さん:
がんばって日本語の勉強をされていますが、どうしてもニュアンスが伝わらない瞬間もあるようです。そういうときはお互いに「こういうこと?」と確認したり、もう1回聞いたりというコミュニケーションをとっているため、利用者が「外国人だなんてそんなに気にならないよ」と話していたのは嬉しい驚きでした。

ただ外国人スタッフの方は、何かトラブルやアクシデントがあったときにその場では対応できても、ご家族に説明するときに、細かいニュアンスが伝わっているか、誤解が生まれていないかということに、不安がある、ハードルを感じているということでした。

藤森キャスター:
今、日本では各自治体が、何とか外国人の人材を確保しようと取り組んでいます。

福井県は、海外に出向いての人材育成に取り組んでいます。タイの教育機関と連携し、福井県から講師を現地に派遣、介護や日本語の講習を行っているということです。2022年以降、39人の介護人材がタイから福井にやってきているそうです。

2024年2月からは、ミャンマーで「福井クラス」というものを開講しているということです。現地にいる担当の講師が日本語や介護教育に加え、福井の風土や方言なども深く教えているといいます。

トラウデン直美さん:
高齢者とコミュニケーションをとるときに、方言や風土を知っておくというのは意外と必要なことですよね。

「待遇改善は必要」ドイツでは人材確保のため収入高める機運

藤森キャスター:
社会福祉学専門の淑徳大学・結城康博教授によると、実は日本だけではなく、「欧米も介護職員が不足している中、円安の影響で他の国よりも賃金が安い。日本人も外国人も待遇改善は必要」だということです。

日本の介護職員の平均月収は29万3000円、一方、介護職員の半数を海外人材にたよっているドイツの高齢者介護士の月収は約65万円(日本円換算)だということです。

現地メディアは、ドイツでも人材不足の職種であるため、より高い報酬が支払われることになったとしています。

トラウデン直美さん:
ドイツの介護施設に行ったことがありますが、設備も整っていて、人材も確保できているのだろうという雰囲気をすごく感じました。

取材した介護施設の職員に、日本で賃金を上げるためにはどうすればいいか聞いたところ、「利用者に負担をお願いすることになってしまうので、なかなかできない」と、「賃金を上げるのは難しいところがある」と話していました。

小川キャスター:
誰もが当事者になりうることで、誰もが頼ることになる介護職員ですから、賃金面をしっかりと見直して、外国人にとっても魅力的な働く現場でなければならないと思います。

トラウデン直美さん:
今、外国人がいないと回らない状況だということで、取材した現場はスタッフ40人中、9名ほどが外国人スタッフでした。

外国人人材が欠けると大きな負担になるということですが、取材した施設はうまく回っていて、良いほうなのではないかと思いました。それでも「足りない」ということなので、もっと人材が不足しているところはたくさんあるだろうと感じましたね。

「訪問介護」にも外国人材 どう思う?みんなの声は

NEWS DIGアプリでは『訪問介護への外国人材の活用』について「みんなの声」を募集しました。

Q.「訪問介護」にも外国人材 どう思う?

「賛成」…14.9%
「確保難のため早く実施を」…11.6%
「トラブル防止策をしてから実施すべき」…56.1%
「反対」…15.1%
「その他・わからない」…2.3%

※6月18日午後11時25分時点
※統計学的手法に基づく世論調査ではありません
※動画内で紹介したアンケートは20日午前8時で終了しました

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<プロフィール>

トラウデン直美さん
慶応大学法学部卒
環境問題やSDGsについて積極的に発信

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