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「スタートアップ企業の給料は?」―変わりゆく“働く意義”に向き合う

TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年6月29日 9時0分

TBS NEWS DIG

働くことの価値観が変わる時代――Voicy CEO緒方憲太郎さんの視点

現代の就職市場はかつてないほど多様化している。安定した給料や福利厚生が重要視されていた時代から、最近では給料よりも働く意義や価値を重視する人が増え、自己成長や社会貢献、仕事のやりがいを求める動きが顕著になってきている。今回は、就職活動を進める学生たちが、音声プラットフォームを提供するスタートアップ株式会社Voicyの代表取締役CEO緒方憲太郎さんに、逆面接を行う形で働き方や経営理念などを聞き、これからの時代に向けた新たな視点を模索した。

起業の動機と働く意義

緒方さんも、働く意義を重視する起業家の一人だ。2016年に株式会社Voicyを創業し、現在は約60名の社員とともに、200万人以上のユーザーを持つサービスを運営している。

起業動機はシンプルかつ情熱的だ。

「元々自分がいろんな事業を見ていく中で、世の中を大きく変える事業というのがとても好きで、人の生活を変えるという事業を作ってみたかった。そして、スマートフォンでみんなの生活がすごく変わって、目で見ていろんな情報を取得している中で、次は『日常のちょっとした取り組みの時間を邪魔せずに耳で情報取得をして生活する時代』が来るんじゃないかと思ったので、耳の世界を全部取ってやるぞ!というつもりで会社を立ち上げました」と語る。

給料以上の価値を提供する環境作り

――社員の給料は高いですか?

学生の率直でストレートな質問に対しても、緒方さんは正面から受け止め、「初めはめっちゃ安かったんです。スタートアップって出資を受けて赤字を掘りながら作っていくので、なかなか給料を高く設定することは難しかった。ただ、現在は相場通りの給料を提供できるようになっている」と明かしたうえで、さらに、給料以上に大切なものがあると強調する。

「給料が高い方がいい人もいるが、私たちは面白い仕事をしたい人たちが働きやすい環境を作っている。仕事が面白いと感じる人たちだけが集まる職場が大きな福利厚生になっている」

給料の高さでなく、仕事自体の魅力やともに働く仲間の質が重要だという考え方だ。

「給料を高くしなくても、面白い仕事ができる環境を提供することで、良い人材が集まる。給料が高いから働くのではなく、仕事が楽しいから働く。そのような環境を作ることに注力しているし、そうなることが非常に幸せなことだと思っている」

緒方さんは自身が企業で働いた経験から、こう続ける。

「給料が高いってことは、それだけ高い給料払わないと人が取れないっていう意味でもある。そこで魅力を出さないといけないわけですよね。こんなこと言ったら、『どうせ払いたくないだけだろう』とか叩く人もいるかもしれないですけど、お金以外のところで魅力を出すことを努力して、伝えて、納得してもらって、たくさんいる人口の中の1%以下の限られた人たちが、来てくれたらいい話だと思う。やりがい搾取だっていう人もいるけど、やりがいをちゃんと届けられてる会社の方が少ないと思うんですよ」

入社面接でのスタンス

こうした信念から、入社面接についても独自のスタンスで、企業側が自分たちの価値観や働き方を明確に伝えることを大事にしているという。

「私たちはこんな価値観を持っている、こんな働き方をしていると正直に伝える。そうすることで、共感してくれる人だけが残る。逆に、隠して良い人材を集めようとするのは相性チェックができていない」

緒方さんは、会社は選ぶ立場ではなく選ばれる立場、という考えを基本としていて、面接はベストな恋人を見つけるのと似ていると語る。

「この質問してクリティカルに答えてくれたら採用、ということはなく、私はこういう付き合い方がしたい、こういう相手がいい私はこういうことが提供できる、私ってこんな価値観なんだということを伝え合って、それで強く共感し合えたら付き合っていいかなって向こうが来るんだと思ってます」

社会貢献と働く意義

「社員が自分の仕事に誇りを持ち、やりがいを感じられるようにサポートしています。例えば、定期的にキャリア面談を行い、個々の目標やキャリアパスについて話し合う機会を設けていて、社員が自分の成長を実感し、働く意義を見出せるようにしています」

また、働く意義の一つとして、社会に対してどのような貢献ができるかを常に考え、その実現に向けた取り組みを行うことを重要視しているという。

「Voicyのサービスを通じて、多くの人々に情報を届けることができるだけでなく、社会に対してポジティブな影響を与えることができます。社員もその一環として、自分たちの仕事が社会に貢献していることを実感できるようにしています」

そして、逆面接を行った学生たちに「働く意義を感じることの重要性」について、こう強調した。

「給料はもちろん重要ですが、それだけではなく、仕事に対する情熱ややりがいを持つことが大切です。自分が何をしたいのか、どのように社会に貢献できるのかを考えることで、働く意義を見つけることができます。そうすることで、長期的に見て大きな満足感を得られると思います」

価値観が多様化している今、企業も働く人も、それぞれが「働くことの意味や価値」を再考し、自分自身のキャリアを見つめ直すフェーズが来ている。

【株式会社Voicy】
2016年に創業した音声メディアプラットフォームVoicyを提供するスタートアップ企業。審査を経たパーソナリティによる音声コンテンツを聞くことができ、200万人以上のユーザーが利用。音声版YouTubeを目指して多様なビジネスモデルを展開している。

【代表取締役CEO 緒方憲太郎】
大阪大学卒業後、新日本監査法人で公認会計士としてキャリアをスタート。Ernst&Youngニューヨークでの現地勤務を経て、トーマツベンチャーサポートでスタートアップ支援に従事。2015年に医療ゲノム検査事業のテーラーメッド株式会社を創業し、3年後に事業売却。2016年にVoicy株式会社を創業。著書に『新時代の話す力』、『ボイステック革命 GAFAも狙う新市場争奪戦』。

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