「イパネマの娘」からマドンナ、ザ・ローリング・ストーンズまで・・・世界を席巻した音楽の舞台になり、芸術の源泉として世界遺産になった都市・リオデジャネイロ【世界遺産/リオデジャネイロ(ブラジル)】
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年6月30日 10時0分
ブラジル第二の都市・リオデジャネイロは、2012年に世界遺産になりました。世界遺産としての正式名称は「リオデジャネイロ:山と海の間のカリオカの景観」。カリオカとはリオデジャネイロ生まれの人のことで、「リオっ子」みたいな意味です(ちなみにサッカーのラモス瑠偉さんの愛称が「カリオカ」なのは、彼がリオデジャネイロ出身だからです)。
奇岩と海に囲まれた大都市
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リオデジャネイロは元々、海岸沿いに湿地と山が連なる地形で、入植したポルトガル人が海と湿地を埋め立てて都市を作っていきました。世界遺産になっているのはこの100年くらいの間に作られた比較的新しい都市部で、ポルトガル人ではなくネイティブのリオっ子たちが山の間の湿地と海を埋め立てて作った都市景観・・・といった意味が世界遺産の名称に込められています。
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今年、番組「世界遺産」でも撮影したのですが、海からすぐに奇岩の山々がそびえ、その間を縫うようにビルが林立するという不思議な景観でした。この自然と都市が融合しているところが評価され、世界遺産になったわけです。
サンバからボサノバが生まれた街
そしてもうひとつ、この都市が世界遺産になった理由が、文学、音楽、建築など多くの芸術においてアーティストにインスピレーションを与えてきたことです。
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誰もが聴きなじみのあるボサノバの名曲「イパネマの娘」は、1960年代にリオデジャネイロで生まれました。作曲はアントニオ・カルロス・ジョビン、作詞はヴィニシウス・ヂ・モライス。二人ともリオデジャネイロの裕福な家庭の出身で、都会的で洗練された新しい音楽=ボサノバを生み出しました。
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ボサノバとはポルトガル語で「新しい傾向」といった意味で、それまでの大衆音楽サンバから生まれたニューウェーブだったことが分かります。日本で言えば、フォークから松任谷由実に代表される都会的ニューミュージックが生まれたようなものでしょうか。
「イパネマの娘」は、アメリカでも大ヒット。フランスでもフレンチ・ボサというスタイルのボサノバが流行し、クロード・ルルーシュの大ヒット映画「男と女」の劇中歌でもモライスやジョビンの名前をあげてその偉大さを讃えています。ジョビンとモライスの二人が主導したボサノバという音楽ムーブメントは、日本も含め世界を席巻したのです。
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歌の舞台になったリオデジャネイロのイパネマ海岸には、ギターを担いだジョビンの銅像が建っています。
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またジョビンとモライスと若いミュージシャンが夜な夜な集まって曲を作った店も残っていて、その名も「イパネマの娘」というレストランになっています。
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この店は番組でも撮影したのですが、手書きの「イパネマの娘」の楽譜を拡大して壁いっぱいに飾ってあり、ボサノバの「聖地」みたいな感じになっていました。
マドンナやザ・ローリング・ストーンズが巨大コンサートを開催
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このイパネマ海岸の隣にあるビーチが、世界遺産の構成資産になっているコパカバーナ海岸。
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今年5月、この海岸でマドンナがデビュー40周年を記念して大規模な無料コンサートを開きました。集まった観衆、公称160万人!コパカバーナでは2006年に、ザ・ローリング・ストーンズも無料コンサートを開き、「伝説のライブ」と言われています。こちらは150万人を集めたとされてきたので、マドンナは10万人、ストーンズを上回ったことになります。
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このように数多のミュージシャンの、活躍の舞台となってきたリオデジャネイロ。世界遺産に登録されるための基準のひとつに、芸術の源泉であること・・・というのがあります。日本の富士山も浮世絵など多くの芸術作品に描かれ、アーティストにインスピレーションを与えたとして「富士山-信仰の対象と芸術の源泉」という世界遺産になりました。リオデジャネイロも、まさに世界的な芸術の源泉として世界遺産になったわけです。
執筆者:TBSテレビ「世界遺産」プロデューサー 堤 慶太
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