田中希実が1500mで標準記録突破V、パリ五輪代表に内定 東京五輪以外の自己最高の意味とは?【日本選手権2日目】
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年6月29日 17時28分
陸上競技の日本選手権(6月27~30日、新潟)で3種目に挑戦している田中希実(24、New Balance)が、大会2日目(6月28日)の女子1500m決勝に4分01秒44で優勝。4分02秒50のパリ五輪参加標準記録を突破し、5月に内定していた5000mに続き1500mでもパリ五輪代表に内定した。
田中は21年の東京五輪準決勝で3分59秒19、8位に入賞した決勝で3分59秒95と、2回3分台で走っている。今回の4分01秒44は自己3番目で、東京五輪以外では最高記録。その記録の意味を考察してみた。
東京五輪で出した記録を更新できなかった背景は?
レース後の感想を問われた田中は次のように話し始めた。
「東京五輪の時は4分2秒からいきなり3分59秒まで行ったので、その間の感じを飛ばして出した部分がありました。だから壁が分厚いと感じてしまったと思うのですが、今日で3分台までの壁はちょっと薄くなった感覚はつかめました。けど、それでも根強くあるっていう部分も感じていて・・・」
田中希実は自己3番目までの記録全てを、東京五輪で出していた(表参照)。予選で4分02秒33と自身が前月に出した日本記録を更新し、準決勝では3分59秒19と日本人初の3分台をマークして決勝進出を決めた。決勝でも3分59秒95で8位入賞を果たした。
田中は前年の20年に大きく成長した選手。1500mの日本記録を14年ぶりに更新(4分05秒27)した。21年も上り調子だったことに加え、地元五輪で集中力が高まった。ある意味、特殊な状況で出した記録だった。
その後の田中が、1500mでどんな記録を出してきたのか。そこを理解しやすくするために4分6秒未満の全記録を表にした。
【田中希実の4分6秒未満全記録】
◆2020年
8月23日 4分05秒27 ※ゴールデングランプリ
◆2021年
7月17日 4分04秒08 ※ホクレン千歳
8月2日 4分02秒33 ※東京五輪予選
8月4日 3分59秒19 ※東京五輪準決勝
8月6日 3分59秒95 ※東京五輪決勝
◆2022年
7月15日 4分05秒30 ※世界陸上オレゴン予選
7月16日 4分05秒79 ※世界陸上オレゴン準決勝
◆2023年
8月19日 4分04秒36 ※世界陸上ブダペスト予選
◆2024年
6月2日 4分02秒98 ※ダイヤモンドリーグ・ストックホルム
6月28日 4分01秒44 ※日本選手権決勝
田中自身は東京五輪の記録を更新できないことを、どう考えていたのか。
「高校生の頃は4分20秒がなかなか切れなかったところから、一気に4分15秒まで行ったことがありましたが、“もう高校生じゃないんだから”と自分で蓋をしてしまっていたところがありました。一度4分を切ったのだから日常的に切ると設定すればいいのに、そこは最大限に調子が整う(五輪&世界陸上など)本番の目標であって、それ以外のレースはそこに向かうための目標という感じで分けてしまっていました」
トレーニングや体調面の理由もあったと思われるが、田中はメンタル面の理由が一番大きかったと考えている。
気持ちのコントロールに成功した日本選手権の1500m
田中はレースに多く出場する選手。以前の日本人なら好記録だった4分10秒以内は数限りなく出している。だが4分6秒未満となると簡単には出すことができない。21年以降は集中力が高まる五輪か、世界陸上でしか出すことができなかった。
それを今年は五輪前に2レースで出している。データだけを見ればパリ五輪で大きく記録を更新できる予兆と言っていい。さらにレースの連戦パターンだけでなく、気持ちをコントロールする部分でも今回は収穫が大きかった。
田中は直前の気持ちの持ち方で、走りが変わる選手と自他ともに認めている。日本選手権の予選は「(今日失敗したら)明日がない」くらいの気持ちで臨んだ。4分08秒16と、4~5月には1本の試合で全力でしか出せなかったタイムで走った。日本選手権予選の最高記録でもあった。そのときの気持ちの持って行き方がよかった。決勝も「昨日をなぞるだけでよかったので、気持ちの部分で迷うことがありませんでした。目の前のことに集中できた1日だった」という。それをパリ五輪に応用できれば、地元五輪で気持ちを高められた部分を、今度は意図的に作ることができる。
「いつもほどフラストレーションはたまりませんでしたが、まだ自分の中で会心の走りではなかった。ただ最低限今やるべきことや、1歩を踏み出すための地固めができたかな、という思いはあります」
慎重に言葉を選ぶ田中がここまでコメントした。そのくらい、手応え十分の記録だった。
(TEXT by 寺田辰朗 /フリーライター)
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