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豊田兼が400mハードル史上3人目の47秒台でパリ五輪代表に内定 通過タイムからわかる47秒99までのプロセス【日本選手権2日目】

TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年6月29日 20時26分

TBS NEWS DIG

日本人初のハードル2種目代表を狙う豊田兼(21、慶大4年)が、陸上競技日本選手権(6月27~30日、新潟)の2日目、男子400mハードルに優勝し、今大会のパリ五輪代表内定第1号になった。優勝記録の47秒99は日本歴代3位の快記録で、五輪&世界陸上でも決勝進出が期待できる。豊田と慶大短距離ブロックの高野大樹コーチが、取り組んできたプロセスが結果につながった。そのことでパリ五輪に向けてやるべきことが明確になった。

47秒台は想定内の記録だが、優先順位的には一番ではなかった

フィニッシュ脇のタイマーは48秒01で止まった。このタイマーはセンサーが反応して止まる仕組みだが、写真判定の記録装置とは連動していない非公式タイム。正式記録は47秒99と発表された。

「48秒01を見た瞬間に変わってくれないかと期待したのですが、その通り47秒99に変わって本当に嬉しかったですね。昨日の予選は余力があったので、決勝は前半から飛ばすレースをした上で優勝する。上手くいったときには好タイムが出るだろうと予想はしていたので、レースプランの想定内の走りができたな、という感想です」

想定内ではあったが、そのタイムを出すこと自体が目的ではなかった。

「やりたかったのは前半を飛ばすことと、勝負に勝つことでした。記録は48秒1から48秒2が出せればいいと考えていて、47秒台まで来るとは正直思っていませんでしたね。やりたいレースをすれば記録も付いてくる。優先順位としてはそういった感じでした」

それでも47秒台の価値は大きい。為末大が01年に出した47秒89の日本記録(世界陸上エドモントン大会決勝)、成迫健児が06年にマークした47秒93の日本国内最高記録(国際グランプリ大阪)に次ぐ日本歴代3位。18年ぶりの快記録だった。このタイムを五輪&世界陸上の準決勝で出せば、決勝に行くことができる。


高野コーチが説明する予選と決勝のハードル通過タイム

高野コーチは予選と決勝の違いを、次のように説明する。

「昨日の予選のあと、決勝のハードル毎の通過タイムを豊田とやりとりしながら出したのが、(日本記録を上回る)47秒82でした。予選はゆとりがありましたし、練習で5台、8台くらいまでは日本記録を出すくらいのタイムではやっていました」

レース当日の練習では、ハードル間を3秒67で3台目まで走った。だがそのタイムは、想定した通過タイムより少し速かった。

「(3秒67は)ちょっと速すぎる、と言いました。速度出しすぎ注意だけど、昨日のようなゆっくりすぎ(予選は2台目までが3秒73で3台目までが3秒87)も注意だよ、と。ちょうど中間くらいだと僕が言って、豊田が『じゃあ、このくらいの出力で行きます』みたいなやり取りをして送り出しました」

この日の豊田は1~2台目こそ3秒67と、やりたかったタイムより速く入ってしまったが、2~3台目は3秒77で前日より速く、しかしアップ時よりは遅く走った。中・長期的に積み上げてきた練習と、直前の練習をしっかりと噛み合わせて、最適の試合ペースを作る。選手とコーチの息が合っているからこそ、出すことができた47秒台だった。

パリ五輪に向けて明確になった練習でやるべきこと

今回の日本選手権は優勝すればパリ五輪代表に内定した。優勝だけを考えたら、ここまで前半から攻めるレースをしなくてもよかったかもしれない。その理由を問われた豊田は次のように答えた。

「(内定を決めて)パリ五輪に出場することになった場合、前半から飛ばすレースが必要になります。そういうレースを試す試合が今後ないので、日本選手権の決勝が絶好のタイミングでした」

昨年までは前半飛ばすレースをすると、終盤で失速することも多かった。今年5月3日の静岡国際でも5台目通過が21秒15と、日本選手権決勝に近い速さで前半を試したが、終盤の力がなく筒江海斗(25、スポーツテクノ和広)に0.04秒差で敗れた。5月19日のゴールデングランプリ(以下GGP)は48秒36で優勝したが、5台目通過は21秒64とスピードを抑えた。

日本選手権予選は5台目の入りが21秒57と、GGPと同じ前半の抑え方をした。そこで余裕が大きかったことを確認して、決勝は5台目通過を21秒00まで速めたが、今回は後半のペースダウンを最小限にとどめて47秒台を出してみせた。

パリ五輪では「決勝進出」が目標となる。そのために「このまま調子を崩さず、47秒を再現させる」ことを目指す。もちろん、47秒99でいい、ということとは少し違う。

「今日やったレースを再現する勢いで、47秒台後半や47秒5台まで、タイムを縮めていきたい」

高野コーチはそのための練習のイメージをすでに描いていた。「まずは今回の前半のタイムを楽に行く練習をして、後半に余力がある状態を作りたいですね。8台目からフィニッシュまでが14秒1になるイメージです」

次への課題を明確にした豊田は、決勝を見据え初の五輪に挑む。

(TEXT by 寺田辰朗 /フリーライター)
 

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