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世界を変える日本の新技術!貼って治す“心臓のばんそうこう”【THE TIME,】

TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年7月9日 7時30分

TBS NEWS DIG

「心臓病で死なない世界を作りたい」
そんな思いから生まれた“心臓のばんそうこう”をご存じでしょうか?
機能が低下した心臓にペタッと貼るだけで心臓病が治る!?
まるで夢のような話ですが、調べてみるとこの治療法を選択できる未来が、すぐそこまで来ていることがわかりました。

生き物のように拍動する“ばんそうこう”

“心臓のばんそうこう”を求め、THE TIME,マーケティング部が向かったのは大阪大学。

大阪大学 澤芳樹 名誉教授
「どうぞ、どんどん見て下さい」 

研究室を案内してくれたのは、“心臓のばんそうこう”の開発者で心臓医療の世界的権威である澤芳樹先生。冷蔵庫から取り出した物体に、取材スタッフは驚きました。

取材班:「ピクンピクンって動いてますけど…」
澤先生:「これがiPS細胞から作ったiPS心筋シートですね」

小さな容器の中で丸いシートが、心臓の鼓動を刻むように動いていたのです。
一体なぜ、シートが勝手に心臓のように動くのでしょうか?

大阪大学 澤芳樹 名誉教授
「これはみなさんの心臓と同じ構造の細胞をiPS細胞から作ってシート状に作り出している。(心臓と)同じ種類の細胞で同じメカニズムで動いている」 

心臓病で死なない世界を作りたい

“心臓のばんそうこう”心筋シートは、世界で初めてiPS細胞の作製に成功しノーベル医学生理学賞を受賞した山中伸弥教授と澤先生が協力し、10年以上の歳月をかけて作られました。

大阪大学 澤芳樹 名誉教授
「心臓病では死なない世界を作る、それが目標です。心不全はこれからパンデミックと言われていて、日本では死亡原因は2位ですけど、欧米諸国では1位が心疾患。世界の人を救うにはそれしかない」 

世界の人を救おうとする心筋シート。どんな技術が詰まっているのでしょうか?

山中教授が開発したiPS細胞は、からだの様々な部分になる能力を持つ細胞です。
まず、脚から取り出した細胞を使ってiPS細胞を作ります。
それを培養して増やし、心臓の筋肉細胞に変化させます。
最後に出来上がった心臓の細胞 3000万個をシート状に。

心筋シートは、心臓と同じはたらきをもつため体温に近い温度になると心臓のように自然と動き出すのです。

最新技術が詰まった心筋シート。どのように使うのでしょうか?

大阪大学 澤芳樹 名誉教授
「心臓には、心筋梗塞とかで弱っている部分があるんですね。胸を開いて心臓の上に貼り付ける」 

心臓に貼り付ける。
そこに“心臓のばんそうこう”とも呼ばれる理由がありました。

貼るだけ!“心臓のばんそうこう”

弱った心臓に心筋シートを移植する実際の手術映像があります。
心筋シートを容器から取り出し、動いている心臓にペタッと貼るだけ。
はがれてしまわないか心配になりますが、澤先生は次のように解説します。

大阪大学 澤芳樹 名誉教授
「ノリのようなタンパク質が発現して(心臓に)15分程度でくっつくんですね。
だいたい半日くらいすると(心臓からシートに)血管が生えてくるんですね。
その血管を通して、いろんな増殖因子とか、心臓が元気になる物質を分泌する。
そうすると、心臓の方が元気になってくる」 

手術からおよそ3か月で心臓は回復。はがす必要はありません。

2020年から治験がはじまり、これまで8人の患者を救った“心臓のばんそうこう”。
そのうちのひとりに話を聞くことができました。

心臓の左側の機能が低下した状態だったという男性。
手術前は、肩で息をするくらいつらい状態だったといいます。
治験に参加し心筋シート“心臓のばんそうこう”3枚を貼る手術を受けました。すると・・

心筋シートの移植手術を受けた男性
「今は趣味のゴルフを普通にフルで回っても問題ない。違和感は全くないです」

肩で息をするくらいつらい状態だった男性が、力強い言葉で語ってくれました。

大阪大学 澤芳樹 名誉教授
「薬を投与したり、バイパス手術をしたり、その治療が届かない部分をこれまでなかった方法で助ける。そういう治療法なんですね」

“心臓のばんそうこう”実用化は?費用は? 

iPS細胞を使った世界初の画期的な技術ですが、大事なのは広く届けるということです。しかし・・・

大阪大学 澤芳樹 名誉教授
「残念ながら日本は科学の力は強いんだけど、実用化というところでは劣ってますね」

そう話す澤先生は、実用化に向けても着々と動き出しています。
再生医療に関わる病院や企業を1か所に集めた大規模施設「中之島クロス」を理事長として6月末にオープンさせました。

世界的建築家の安藤忠雄氏をはじめ各界の権威が「澤先生のためなら」と協力を申し出てくれたといいます。

では、あの心筋シートは、いつ普及するのでしょうか?

大阪大学 澤芳樹 名誉教授
「年内にはなんとか(厚労省に)申請して、来年くらいには承認を得られれば。」

承認が得られたら場合、心筋シートの費用はどのくらいになるのでしょうか?

大阪大学 澤芳樹 名誉教授
「高額医療費制度とか色々制度があるので(心筋シートは)たぶん10万円程度。たくさんの人を救うことが出来るんじゃないか」

心筋シートのきっかけは1970年大阪万博

心筋シートの実用化を目前に控え、忙しい毎日を送る澤先生。
癒やしの存在となっているのが、50匹のメダカたち。かわいいペットです。
そして、部屋の中にはスターウォーズや、スラムダンクのフィギュアもたくさんあります。

これらは、澤先生がネットオークションで買い求めたコレクション。「つい買っちゃう」と少年のような笑顔で見せてくれました。

澤先生が、医学を志すきっかけとなった出来事がありあます。
それは、1970年の大阪万博。ボーイスカウトとして広場で手旗信号の演技をした澤少年が見たものは?

大阪大学 澤芳樹 名誉教授
「世界が変わる、時代が変わると感じましたね。やっぱり科学の力はすごいなと」

その少年が医師になり、世界を変える最新の技術で作り上げた心筋シート“心臓のばんそうこう”は、55年の時を経て来年の大阪・関西万博で展示される予定です。

(THE TIME,2024年7月5日放送より)

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