駄菓子屋にカフェに御用聞き 重い知的障害がある人が通い、働く生活介護事業所「ITSUMO」
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年7月17日 13時30分
重い知的障害がある利用者が、食事やトイレの介助を受けながら、それぞれに仕事をしている生活介護事業所「ITSUMO(いつも)」。
利用者はそれぞれの特性にあった仕事を担当
千葉市若葉区の住宅街にある、生活介護事業所「ITSUMO(いつも)」。重い知的障害がある利用者が、食事やトイレの介助を受けながら、それぞれ仕事をしています。
取材した日は16人の利用者がいて、始業時間の午前10時、1人の利用者と職員が、外に出てきて、施設の前の道路沿いに「駄菓子屋」と書かれたのぼりを立てました。
「駄菓子屋ITSUMO」のオープンです。
![](https://newsdig.ismcdn.jp/mwimgs/4/d/-/img_4d3a8580bba44110d5bdcee949e42adb236204.jpg)
「ITSUMO」では利用者をスタッフと呼んでいますが、人と関わるのが好きなスタッフが職員と一緒に駄菓子屋でお客さんを迎えます。
「御用聞き」担当のスタッフもいます。
地域の住民からの依頼に応じて、庭の草取りとかポスティングといった仕事に出向きます。
ちょっと根気がいりそうな作業に自分のペースで取り組めるスタッフは、飲食店で廃棄処分になったカキの殻を細かく割る仕事の担当。最終的には粉末状の肥料として、地元の農家に販売しています。
このように、スタッフがそれぞれの特性にあった仕事を担当しています。
![](https://newsdig.ismcdn.jp/mwimgs/9/f/-/img_9fbaae3863e1ed9d5499e2cb375cd06b100897.jpg)
思い思いに過ごせるカフェも併設
ITSUMOにはカフェもあります。
職員とスタッフが前日の食器類を洗ったり、片づけたりと準備する様子を見ながら待っていると、お昼を過ぎてから、学校帰りの子供たちが次々と現れました。
![](https://newsdig.ismcdn.jp/mwimgs/d/4/-/img_d4c6bc5f1409d2ac6cad82e98e01b254280945.jpg)
暑い日だったので、みんなかき氷にクリームソーダなど冷たいものを注文します。
カフェの席は、ごろごろできる座敷や、エアコンの効いた個室など様々ですが、どの子供も勝手知ったるという感じで、思い思いに過ごしていました。
ソフトドリンクや、たこ焼きなどの軽食のほか、「缶詰バー mr.kanso」と提携して、スタッフが皿に移して温めるという簡単な作業でできる、様々な缶詰を取り揃えています。
![](https://newsdig.ismcdn.jp/mwimgs/3/b/-/img_3b82bf6b42d20fb9e62ef008757fe9f6167882.jpg)
また、ITSUMOを運営する「ベストサポート」が、近辺の貝塚でよく出土するイボキサゴという貝の出汁を使ったパスタソースや混ぜご飯の素の缶詰を開発、最近、売り出しました。
地域貢献の一角も担おうというものです。
お昼過ぎからは駄菓子屋にも、子供たちや、子や孫を連れた大人たちが次々と立ち寄ります。
孫を連れた女性は「母親が働いてるんで、学校や幼稚園が早く終わると、孫を迎えに行って、それで私の家まで帰るんですけど、その間にここはあるから、もう寄る寄るって、催促するんですよ」と話し、孫と一緒の買い物を楽しんでいました。
![](https://newsdig.ismcdn.jp/mwimgs/8/4/-/img_847808262f3f6a553de0982711f6d754194968.jpg)
接客のスタッフが、お客さんが選んだお菓子を新聞紙などを再利用した袋に詰め、職員が会計を担当します。その後ろでは、別のスタッフが黙々と袋を作っていました。
![](https://newsdig.ismcdn.jp/mwimgs/7/e/-/img_7e1c207548c6e7bf493678c1c2857963111587.jpg)
「ITSUMO」開設の経緯
「ITSUMO」がオープンしたのは4年前。
支援リーダーの上田志保さんによると開設のきっかけは、他の生活介護事業所で、人と関わることは好きだけど、パズルのようなことばかりしていた利用者が、たまたま他の利用者をたたいてしまったことだということです。職員が止めようとすると、その利用者は「自分のことを人がかまってくれるんだ」として余計そういう行動が増えてしまい、その事業所では対応できない、となって居られなくなったそうです。上田さんは、そういう人の受け皿を作ろうということでITSUMOの開設に至りました。
その利用者は、御用聞きの草刈りなどを担当していますが、仕事をして、地域の人に感謝されるといった体験を積み重ねているうちに、そういう行動はほとんどなくなったということです。
上田さんは、「ITSUMO」のスタッフ(利用者)との接し方について「同じ職場で働く同僚として接してるっていうのは、とても大きいかなって思ってます。その上で、同僚がもしこういう行動をしたら止めるであろうというところは、スタッフの場合も止めたりとか、ここは自分でできるであろうっていうところをどんどん伸ばせるようにする。もちろん、ちょっと手を出して手伝ってしまえば、簡単なところもあるんですけども、そこはあえて職員は手を出さずに見守って、スタッフにやってもらうっていうのをすごく大事にしています。そこで個々の力をどんどん伸ばしていっているっていうふうに思っていただけたら、嬉しいなと思います」と話していました。
通う日数によって違いはありますが、スタッフは平均でひと月9,000円ほどの給料をもらっています。
重い知的障害があり、周りに支えられながらも、一方で、地域を支える仕事を自分はしている、地域の人に必要とされている、と感じているのかもしれません。
![](https://newsdig.ismcdn.jp/mwimgs/3/4/-/img_3489dbe3932dfcaa6c6c240e3ef48fd52125880.png)
千葉市若葉区にある生活介護事業所「ITSUMO」の駄菓子屋にカフェに御用聞き。
障害のある人達が地域に溶け込んで働く場を作る一つの試みとして、注目されているということです。
(TBSラジオ「人権TODAY」担当・TBSラジオ記者 崎山敏也)
この記事に関連するニュース
-
人材不足なのに報酬減額 訪問介護現場で悲鳴「実態見ていない」「もう限界」
産経ニュース / 2024年7月17日 11時0分
-
「カフェふくろう」がお手本、認知症の人の働き方 「社会参加型の介護施設」目指す新たな取り組み
東洋経済オンライン / 2024年7月10日 14時0分
-
人材不足の介護現場…外国人は「救世主」となるか、2028年までに13.5万人受け入れ目標、現状と課題に迫る
まいどなニュース / 2024年7月8日 19時0分
-
貝塚のまちで縄文グルメ、巻き貝イボキサゴのうま味濃縮した「日本最古の調味料」活用 深層リポート
産経ニュース / 2024年7月6日 8時0分
-
若葉竜也「アンメット」クランクアップで涙 サプライズに驚き「この景色は、ずっと忘れないと思います」
モデルプレス / 2024年6月23日 12時0分
ランキング
-
1鍵握る維新対応、狭まる「斎藤知事降ろし」包囲網 第三者機関の結論焦点に
産経ニュース / 2024年7月16日 20時24分
-
2高齢親の死体遺棄事件、全国で相次ぐ 背景に8050、9060問題か
毎日新聞 / 2024年7月16日 6時0分
-
3高速バスが国道の左カーブで道路逸脱 病院搬送された乗客5人は全員意識あり 北海道滝上町
HTB北海道ニュース / 2024年7月16日 23時42分
-
4知ってる人だけ得をする。「楽天ポイント」の“お得すぎる利用方法”
日刊SPA! / 2024年7月15日 15時52分
-
5「石丸伸二を支持する人」の熱が冷めてきた事情 小泉純・橋下両氏に並ぶ「SNS時代」のトリックスター
東洋経済オンライン / 2024年7月17日 8時40分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/point-loading.png)
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)