小部屋に入れられ無理やり手術を…旧優生保護法訴訟の原告らに総理が謝罪 面会を終えた原告「同じこと起こさないで」【news23】
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年7月18日 11時46分
岸田総理が初めて、旧優生保護法のもとで不妊手術を強制された被害者らと面会し、謝罪しました。面会を終えた被害者からは「やっと今からが差別がなくなる第一歩」との声も聞かれました。
「『障害者に対しての差別』がなくなる第一歩かな」旧優生保護法 岸田総理が謝罪
人生は取り戻せないけれど、せめて区切りだけはつけたい。
北三郎さん(仮名・81)
「折り返し地点はどこなのかなと。それを考えているうちに、折り返し地点はどこにも見えませんでした。苦しみだけが私に襲いかかってきて」
北三郎さん(仮名・81)が、旧優生保護法による不妊手術を受けたのは14歳のときでした。
家族と折り合いが悪く、生活が荒れていた北さんは児童福祉施設に入れられます。
施設の職員に連れられて行った病院で、何の説明もないまま手術を強制されたのです。
北三郎さん(仮名・81)
「万感の怒りですよ。学園(施設)を早く卒業したかった」
不妊手術が優性保護法に基づいたものだったと知ったのは60年ほど経ってからでした。
「優生上の見地から不良な子孫の出生を防止する」。1948年に施行された優生保護法は、障害などを理由に本人の同意がないまま、強制的に不妊手術を行うことを認めていました。
北三郎さん(仮名・81)
「私の人生はこんな風じゃなかった。国からこんな風にやられると思っていなかった」
1996年まで48年にわたり続いた優生保護法。手術を受けた人は全国で約2万5000人に上るとされています。
北さんら被害者たちは、国に賠償を求める裁判を起こしました。
しかし、国は“除斥期間”を適用するよう主張。不法行為から20年たつと賠償を求める権利がなくなるというものです。
7月3日、最高裁判所は、旧優生保護法は違憲だとした上で、除斥期間の適用を認めず、国に賠償を命じる判決を言い渡しました。
判決を受け、17日に原告ら約130人が岸田総理と面会し、一人一人の苦しい経験が語られました。
小島喜久夫さん
「私は19歳のとき、病院に入れられて、精神分裂症というあだ名をつけられて、そして優生手術をされました。小部屋に入れられて無理やり(手術を)されて、そのことは一生忘れません」
聴覚障害がある妻・野村花子さん(仮名)
「帝王切開をしたと同時に、不妊手術も知らない間に受けさせられた。私の産まれた子どもは翌日亡くなってしまったが、あの子が元気だったらどんな子どもになっていただろう」
聴覚障害がある夫・野村太朗さん(仮名)
「妻は自分が出産した赤ちゃんを一目も見ていないんです。先生も看護師さんも赤ちゃんが亡くなった理由を誰も私たちに教えてくれません。なぜ私たちは聞こえないことによってこれほどの差別を受けなければならなかったのか」
岸田総理は審理が続いている裁判で、「除斥期間」の適用を求める主張を取り下げると表明しました。
岸田総理
「政府の責任は極めて重大なものがあり、心から申し訳なく思っており、政府を代表して謝罪を申し上げます」
面会を終えて…
鈴木由美さん
「総理とお会いして、やっと今からが本当の『障害者に対しての差別』がなくなる第一歩かなと」
北三郎さん(仮名・81)
「『真摯に受け止めた』ということで(総理に)向き合ってもらったという気持ちがある。二度と私と同じような気持ちにしてほしくない」
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