「エリート、来たな」灘高・ハーバード卒の最年少市長が「恵まれた教育」へのステレオタイプに出した答え
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年7月21日 7時0分
「まさにまさにまさに」「そうそうそう」兵庫県芦屋市長・髙島崚輔さんは激しいあいづちで人の懐に入る。超高学歴の史上最年少市長が見つけた対話の神髄と、色眼鏡への向き合い方とは?同級生だったTBS篠原梨菜アナウンサーと「タメ口」の対談で語った。
鳴らなかった防災無線と「アリバイ作り」を避けるコミュニケーション
篠原アナから「髙島君といえばSNSの使い方が上手いけど、発信は大事?」と水を向けられると、「めっちゃ大事」と昨年就任した27歳の市長は目を見開いてうなずく。2人は髙島さんがハーバード大学に進学する前の一時期、東京大学で同級生だった。
「税金をいただいて仕事をしているので、それをどういうふうに使っているか伝えるってめちゃくちゃ大事で。というか伝えないと、サブスクのサービスだったら解約されてる(笑)。
伝えて、届いて、初めて我々の仕事って一段階終わる」と髙島さんは力説する。伝える際に気を付けるのは「主語」が市役所にならないことだという。
「役所としてはこうやってます、以上!」ではなく、市民が何を知りたいかを一番に考える。そのため、就任前から続ける市民との車座の対話集会に寄せられた声などから、発信すべき内容を練っている、と髙島さん。
SNS上の声も丁寧に拾う。例えば、深夜の大雨で本来なら避難を促すべきはずの防災行政無線が鳴らなかったと指摘する投稿。
「担当の人としゃべったら、真っ暗な夜に全員避難する方が危ないとのこと。本当に危ない地域は別やけど、安全が確保されている場所は鳴らさないと判断することもある」という経緯をSNSで公表し、きめ細やかな反応を心掛ける。
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「一番良くないのは発信したやん、ってこっちが思い込んでるパターン。(発信したという)アリバイ作りにならないようするのはすごい大事かな」
「実は届いていない」ことのギャップを埋める髙島流の発信術は市職員にも好影響を与えている。
「市民と職員がお話するときって、どうしてもお叱りの電話などが多い。市長は外に出て市民と直接対話ができるポジションで、(市のサービスで)“これ、よかったよ”って話をめっちゃもらう。だからそれは役所に持って帰って、伝えてる」
そうしたコミュニケーションは職員からはとてもありがたがられるという。「市民は喜んでるのに、現場は全然反応がわからなくて、がんばったけどよかったんかな…って思ってるのはもったいない。そこをつなぐのは大事な仕事」
「起きていい対立」と「起こらなくていい対立」の違いは?
街中で声を掛けられるなど、特に年下世代の市民との距離も近い。
「小中高校生たちは、別に市政なんて関係ないやろ、と思うかもしれない。でも実は学校って、まさに市の仕事。そこを徐々にわかってくれる子たちが増えてるのは、すごく嬉しい」
市長として高い認知度があるなか、意識していることは?という篠原アナの質問に対して髙島さんはこう応じる。
「自分の考えが、あくまで自分の目線で見た話だと意識して行動する。ちょっとあかんな、と思うことも別の視点では正しいよね、って話ってままあるやん?そこは気をつけてる」
こうした考えに至ったのは海外で過ごした経験が大きいという。「自分が常識だと思ったことが全然違うってことばかり起きていたから、常に一歩引いてみるのは大事かなと」
また、不慣れな海外生活で「誰かに助けを求めるのはすごく大事」と思えるようになり、灘高校や東京大学など国内のエリートコミュニティーで過ごしたときの常識から脱出できた思いだった、と髙島さんは振り返る。
相手の視点に立つことを強調しつつ、髙島さんは対立を避けているわけではない。「起こって良い対立と起こらない方が良い対立があると思ってて。意見が違えば議論して掘り下げた方がいい。
だけど、いつの間にか全然違う方向に進んだり、お互いが嫌いになって終わったりする方向に進む対立ってある」その原因はだいたいプライドで、それは「いらない」と投げ捨てるジェスチャーをして笑う。
「エリートの人来たな」というステレオタイプ的な見方に対してはどう向き合ってきたの?という問いには「自分が今から何をするかが大事で、過度にプラスにもマイナスにも捉えない」と淡々と答える。
「過去は過去というか…。あえて言うと、教育分野に熱意を持ってきたから、恵まれた教育を受けてきたなかで、活かせるものがあったら活かしたい。それは1つの大事な責任かな」
腰は低く目を見て話し、あいづちは激しく。対談で見せたそのままの姿勢で周囲に芦屋のふるさと納税を宣伝する小さなカードを配りつつ、髙島さんは去っていった。
(TBS NEWS DIGオリジナルコンテンツ「シノキャリ」より)
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