1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 国際
  4. 国際総合

トランプ氏“暗殺未遂事件”で蔓延する“陰謀論”と“フェイク” 右派も左派も拡散の異常事態 深まる分断 米大統領選の行方は【報道特集】

TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年7月20日 21時30分

TBS NEWS DIG

11月に控えたアメリカ大統領選挙。トランプ前大統領が選挙集会で銃撃される波乱の展開になっています。SNS上には“陰謀論”や“偽情報”が溢れる事態に。深まる分断・・・選挙戦の行方はどうなるのでしょうか。

右派からも左派からも 「銃撃」めぐる陰謀論とフェイクニュース

トランプ前大統領が銃撃された暗殺未遂事件の波紋が広がっている。

懸念されているのは、行きかうSNS上の投稿が大統領選挙に及ぼす影響についてだ。フェイクニュースなどをチェックする調査会社の編集者ジャックさんは「これまでなかった事態が起きている」と話す。

NeWs Guard 編集者 ジャック ブリュースター氏
「銃撃事件はアメリカの歴史上、本当に大きな転機となるもので“陰謀論”を拡散させるユーザーが飛躍的に増えました」

歴史的な出来事や事件の背後に、何者かの計画があるとする陰謀論。これまで、拡散に熱心だったのは…

ジャック ブリュースター氏
「これまでの銃撃事件では例えば『サンディフック事件』の場合でも、陰謀論は右派によって拡散されました」

2012年、コネティカット州の小学校で男が銃を乱射し、児童ら26人が死亡したサンディフック事件。

ラジオ番組の司会者が「事件は実際には存在していない」「銃規制強化を狙った政府の“やらせ”だ」と発信し、右派によって陰謀論が広まったという。

しかし、今回の銃撃事件については、右派だけでなく、左派からも“陰謀論”が拡散されている異常な事態だという。

こちらはバイデン支持者とみられるSNSの投稿。

「事件はトランプによる自作自演だ」という内容の閲覧数は470万回。
「あれは銃の傷ではない。彼は血液のカプセルで偽装した」という投稿もあった。
調査会社によると、X上で「でっちあげ(Staged)」というフレーズが30万回以上使われ、トレンドに入ったという。

一方、トランプ支持者とみられる投稿も。

「シークレットサービスが犯人を見逃すはずがない」「事件はバイデン大統領が銃撃を命令した内部犯行だ」とする投稿の閲覧数は740万回を超えた。

ジャック ブリュースター氏
「銃撃事件の陰謀論が左派から出てくるのは新しい現象です」「誰もが記者として発信でき、偽情報でもおかまいなしに拡散させます。もし陰謀論を信じていれば、“自分が偽情報を広げている”と自覚さえしていない場合もあります」

他にもトランプ氏が黒人女性に囲まれるこの「フェイク画像」。

トランプ支持者が、黒人からの支持拡大を狙って、生成AIで作成したものだ。

有権者に投票をしないよう促すバイデン氏の「フェイク音声」も出回った。

バイデン氏のフェイク音声
「投票は(本選の)11月にしてこそ影響を与えられる。今週火曜日ではない」

蔓延する陰謀論によって、さらに分断が深まることをジャックさんは危惧している。

ジャック ブリュースター氏
「たいていの人は投票する前に、気候変動や移民問題について、じっくり考え決断しているわけではありません。政治を左右するのは浮動票です。そうした人々がどちらかの陰謀論を信じれば、考え方や投票行動に大きく影響するかもしれません」

「これから(偽情報を作る)AIが選挙をどう変えるのか…私たちが『何が現実で、何が現実ではないのか』よく分からなくなっていることに恐怖をおぼえます」

「とにかく“トランプ大統領”を見たくない」民主党支持者の声

各党の伝統的な支持層にも揺らぎが生まれている。

今月17日、バイデン大統領は、ヒスパニック系団体の集会で演説するため激戦州であるネバダ州を訪問。

しかし、検査で新型コロナ陽性が判明し、演説は急遽取りやめとなった。

民主党支持者
「わたしは民主党員ですがバイデンの他に候補者がいるなら安心できるし
そっちに投票すると思う」

81歳という年齢や健康状態への懸念は民主党支持者にも広がっている。それでもトランプ氏の再選への不安から、バイデン大統領を支持するという。

民主党支持者
「トランプはラテン系やアフリカ系を悪者扱いします。『やつらは肥溜めから来た』と言ったんです。もしトランプが再び選ばれれば、多くの人の命が危険に晒されるでしょう」

民主党支持者
「トランプはラテン系やアジア系を傷つける発言をしてきました。私たちは彼が分断を生むのを見てきたのです。病気になれば、選挙から撤退するべきかもしれないけどホワイトハウスには多くのスタッフがいるので(バイデンは)きっと支援を受けられるでしょう。とにかくトランプ大統領を見たくないのです」

そんな中、民主党幹部らが相次いでバイデン大統領に撤退を求めたと報道されている。

共和党内の“反トランプ”の訴え 「もはや健全な政党ではない」

共和党も一枚岩ではない。実は、党内にも“反トランプ”の動きがあるのだ。
今週、共和党大会の会場周辺を走っていた広告宣伝車。流していたCMは。

リンカーン・プロジェクトYouTubeより
「経済を一番よくした」「LIE(嘘)」
「ウイルスは4月になくなる」「LIE(嘘)」
「11月5日はこの国の歴史上、最も重要な日となるだろう」「TRUE(真実)」

トランプ氏の発言は「ウソだ」と批判するこのCM。共和党員、それも過去に政権中枢を支えた人々が立ち上げた「リンカーン・プロジェクト」によるものだ。

なぜ、身内であるはずのトランプ氏を批判するのか。プロジェクトの幹部はトランプ氏の手法は従来の共和党のやり方ではないと批判する。

リンカーンプロジェクト ライアン・ウギィンズさん
「従来の共和党は伝統的家族観や道徳的秩序を重んじる党でした。共和党と民主党がうまくいかなくても妥協点は見出せました。もはや健全な政党ではなく民主主義ではない専制政治に変わろうとしています」

共和党では銃撃事件を受け、団結する気運が高まっているというが…

リンカーンプロジェクト ライアン・ウギィンズさん
「トランプ氏は正真正銘の嘘つきです。事件後、団結へ動くわけがありません。アメリカの民主主義を分断に導く本当にひどい人です」

明海大学の小谷教授は、今後の共和党は「伝統的な考え方」から、さらに離れていくだろうと見ている。

明海大学 小谷哲男教授
「前回、トランプ氏はその副大統領のパートナーとしてマイク・ペンス氏を指名しました。これはペンス氏というのはもうまさに伝統的なレーガン、ブッシュの時代の共和党を代弁するような政治家なんですね。ペンス氏を指名することで伝統的な共和党員を安心させようとしたんですね。ところが今回はバンス氏を副大統領候補に指名しました。このバンス氏というのも伝統的な共和党員ではないです。今後共和党というのはやはりトランプ党にまさになっていくということだと思います」

トランプ氏とバンス氏の政権がもし誕生するとすれば、その後のアメリカはどうなるのだろうか。

明海大学 小谷教授
「トランプ氏は分断をうまく活用して1期目の大統領に2016年になった。敵を作ってその敵に対して攻撃することで自分の支持者を固められるということだった。分断をあおる政治スタイルを維持するのか、それともそれを改めていくのか。これを我々としても見極めていく必要があると思います」

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください