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トランプ氏暗殺未遂だけじゃない 専門家「むしろ欧州の方が懸念が高い」“政治家への暴力”が増加した背景【風をよむ】サンデーモーニング

TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年7月21日 13時38分

TBS NEWS DIG

今後のアメリカ大統領選挙の行方を、左右するかもしれない、トランプ前大統領を狙った銃撃事件。こうした暴力はいま、広がりをみせています

トランプ氏銃撃事件

トランプ氏の支持者「事件があって、トランプ氏がいかに強い男か分かった。決して降伏せず、国のために戦い続けてくれる」

トランプ氏の支持者「銃撃事件が、我々を再び団結させてくれることを期待している」

7月13日、選挙集会で銃撃されながら、無事を力強くアピールしたトランプ前大統領。銃撃以降、支持者の結束は高まったように見えます。

一方、反トランプ派の人たちからは…

反トランプ派の女性「政治的な暴力には賛成しないが、耳を傷つけられたからと言ってファシスト(全体主義者)でなくなるわけではない」

反トランプ派の男性「日頃から暴力を擁護している政党や人物に、なぜ同情しなければいけないのか」

分断広がる

今回の事件、犯人の動機や政治的信条は明らかとなっていません。にもかかわらず、両陣営の対立があおられる事態となりました。

共和党のマイク・コリンズ下院議員は、自身のSNSに、「バイデン大統領が命令した」と投稿。

トランプ氏の副大統領候補であるバンス上院議員も、「バイデン陣営がトランプ氏をファシストだと位置づけたことが、暗殺未遂につながった」とSNSで非難。トランプ支持者からも…

トランプ氏の支持者「バイデン氏を非難する。彼の手は血塗られている。彼らのトランプ批判の主張が銃撃事件を招いたんだ」

片や、反トランプ派とみられる人たちからは、銃撃事件について、SNS上に、やらせを意味する「Staged(ステージド)」という言葉が飛び交う事態に。
 

事態のエスカレートを懸念したバイデン陣営は、トランプ氏を批判するテレビCMを一時とりやめ。バイデン大統領自ら、国民に冷静さを呼びかけました。
 

バイデン大統領の演説(7月14日)「忘れてはならない。我々は意見が違っても敵同士ではない」

暴力を肯定?

こうした中、今アメリカでは、政治家への暴力に関して、心配なデータがあります。

今年3月、アメリカの公共放送PBSなどが行った世論調査で、「国を立て直すためなら、暴力に訴えざるをえないか?」との問いに、「そう思う」と答えた人がおよそ2割にのぼったのです。

こうしたアメリカの状況について、国際政治学者の藤原帰一さんは…

藤原帰一・順天堂大学特任教授「暴力による威迫はかなり増えていると言っていい。何よりも(前回の)大統領選挙の後、群衆がまさに力を使って議事堂に乱入し、さらに大きな暴力に発展する可能性がある事件だった。また、ペロシ元下院議長の夫がハンマーで襲われた。様々な暴力の行使が続けられた。他方では、政治における暴力は、むしろヨーロッパの方が懸念が高い」

欧州で相次ぐ政治家への暴力

今年5月、スロバキアでは、白昼の街中でロシア寄りとされるフィツォ首相が銃撃され、一時命に関わる事態に。

容疑者はその場で取り押さえられましたが、政府は「ウクライナへの軍事支援停止などに反対する政治的動機だった」と発表しています。

さらに今年5月、ドイツで中道左派の与党に属するエッケ欧州議会議員が黒ずくめの集団に襲われ、顔などに大けがを。

またその4日後には、同じ政党に所属する、ギファイ前ベルリン市長も…

ギファイ連邦参院議員(前ベルリン市長・5月)「会話に夢中になっていたとき、全く前触れもなく、背後から襲われた。男が固いものが入ったバッグで、私の後頭部を殴って立ち去った」

一方で、6月、開かれた極右政党の党大会では、2万人が抗議に押し寄せ、一部が暴徒化し、警察に拘束される事態に。

政治家に対する言葉や身体への攻撃も増えており、ドイツ議会によると、2019年と比べ、去年はおよそ2倍に増加。中道左派SPDへの攻撃が420件にのぼる一方で、極右AfDへの攻撃も478件を数えました。

こうした状況に、閣僚からは…

リザ・パウス家族・高齢者・女性・青少年大臣(5月16日)「この国では何かが間違っている。暴力が政治的議論の一部になりつつある」

暴力が蔓延する社会の危うさについて、藤原さんは…

藤原帰一・順天堂大学特任教授「ヨーロッパでもアメリカでも政治、社会の分断が極端に広がっている。社会の分断が政治の暴力化につながる現象を見ることができる。暴力によって、自己実現をすれば、それを支持する人も増えていく。力によって政治を変えようとする人の数が決して多くないとしても、その活動によって政治、社会が変わってしまう可能性は常にある」

許されないはずの暴力が、なぜ今、広がりを見せているのでしょうか…

(「サンデーモーニング」2024年7月21日放送より)

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