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「トランプ・トレード」が活発化【Bizスクエア】

TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年7月24日 6時30分

TBS NEWS DIG

共和党大会でトランプ前大統領が大統領候補の指名を受諾し、演説を行った。トランプ氏の勝利を見込んだ市場では早くも先取りの動き「トランプ・トレード」が活発化している。

トランプ氏銃撃後初の演説 インフレ対策・減税…

トランプ前大統領:
今日から4か月後、我々は素晴らしい勝利を得る。

指名受諾演説でトランプ氏がまず述べたのは、大統領に就任したら、インフレ対策として、すぐに経済支援を始めることだった。

トランプ前大統領:
最初に国民に経済支援策をしなければならない。就任初日から物価を下げて、物価を手頃なものにしなければならない。製造業や日用品もエネルギーコストを下げることで大幅に下げられる。我々の地下には大量のエネルギーが眠っており、それで大金をつくることができる。

また、減税によって経済成長を後押しするという。

トランプ前大統領:
みんな税金を払いすぎている。我々は国民の税金をさらに下げる。これまでで最大規模の減税を行う。それが経済成長につながる。我々は自動車製造業を国内にいち早く戻す。世界の工場をアメリカに戻す。我が国の国民がそこで働くのだ。就任初日にこの2つを実行する。「(化石燃料を)掘って掘って掘りまくれ」と、「国境の封鎖」だ。一刻も早くアメリカを再び偉大に。

「トランプ・トレード」活発化 急速な円買い・ドル売りも…

衝撃的な銃撃事件からわずか2日で共和党大会に登場したトランプ氏。暴力に屈しない強さをアピールした。これを受け、市場ではトランプ氏の返り咲きを見込んだ「トランプ・トレード」が広がった。

今週7月17日、ニューヨーク市場ではダウ平均株価が連日史上最高値を更新、暗号資産のビットコインの価格も急上昇した。さらに今週は為替も大きく変動。そのきっかけとなったのが米ブルームバーグ通信のトランプ氏のインタビューだった。

「ドルと円、ドルと人民元の乖離は信じられないほどだ。私たちは大きな通貨の問題を抱えている。ドル高 円安・人民元安の問題は非常に重い問題だ」。

トランプ氏は、円安ドル高への強い懸念を表明。このことで急速な円買いドル売りが進み、一時155円台前半まで円高に振れた。こうしたトランプ氏を巡る動きに、日本の経済界からは…

早くも「トランプ・トレード」 日本の経済界からは警戒の声

経済同友会 新浪剛史代表理事:
大変、日本にとっても憂慮すべきことなのだと。“もしトラ”がもうトランプ氏になるという前提でものを考えていかないといけない。

丸紅 柿木真澄社長:
日本の製品をアメリカに輸出している産業とかは、かなり厳しくなる可能性もある。

さらに、アメリカのUSスチールの買収を計画している日本製鉄の橋本会長は…

日本製鉄 橋本英二会長:
政争の具といえばそうだ。大統領選がなければ多分こういう議論になっていない。(最後には買収は成立するか?)もちろん。

トランプ氏が返り咲いた場合、世界経済はどう変わるのか。

ニューヨーク市場関係者に聞く「トランプ・トレード」

大統領選挙で勢いを増しているトランプ前大統領。市場はどのように受け止めているのか。ニューヨークに拠点を置くヘッジファンド、ホリコ・キャピタル・マネジメントの堀古英司さんに話を聞いた。

――トランプ大統領誕生の確率を市場はどう見ているか?そしてどんなトランプ・トレードがあったか。

ホリコ・キャピタル・マネジメント 堀古英司氏:
私は2024年初めからトランプ氏でほぼ確実だろうと見ていた。テレビ討論会でバイデン大統領の衰えが顕在化したこと、そして決定的だったのは先週の暗殺未遂事件。これで今週市場は、一貫してトランプ大統領返り咲きを見込んだ取引となった。具体的にはトランプ氏は減税を主張しているので、財政赤字が減りにくくなり、長期金利は下がりにくくなると。
一方でインフレが収まってくるので、短期金利はトランプ氏でなくても下がっていくと。

ホリコ・キャピタル・マネジメント 堀古英司氏:
そうするとここ2年ぐらい続いた長短金利の逆転が解消して、銀行にとっては非常に収益的に有利になるので、今週銀行のセクターが一番上がっている。あと(トランプ氏の)コメントにあったエネルギーセクターも上がった。それからヘルスケア関係。民主党政権の中では比較的不利といわれているので、トランプ氏だったら有利だろうということで、この辺のセクターが買われてるという状況だ。

――トランプ氏は大減税をやると言ってる。そうなるとインフレが再燃しないか?

ホリコ・キャピタル・マネジメント 堀古英司氏:
インフレはそもそもコロナ禍がもたらしたもので、コロナが去った今は、品目別にみれば明らかだが、例えば住宅の建設が追いつかなくて上がったり、自動車の生産が追いつかなくて中古車が上がったり、その副作用として自動車保険の保険料も上がった。明らかにコロナ禍がもたらしたものだったので、今全部落ち着きつつある。なのでトランプ氏が減税をやろうがやらまいがインフレも収まると思う。

――通商面では一律関税を課すとか、対中貿易のデカップリングを図るなど、かなり強硬な姿勢が目立つが、懸念は?

ホリコ・キャピタル・マネジメント 堀古英司氏:

ここが懸念しているところだ。今週、半導体やハイテクが売られているが、今先端半導体の9割以上が台湾で生産されている。なぜ台湾かというと製造コストが安い。トランプ氏がいう通り、台湾でなくてアメリカに持ってくるとなると相当コスト上がる。いまAI産業はものすごく期待されていて、その中でも半導体が一番需要があり、株式市場を支える要因だが、このコストが大幅に上がると、今週マーケットが反応したように、ハイテクや半導体には不利になる。ただトランプ氏は先端半導体の重要性を知っているのか分からないので、時間が経ってみないと分からない気がする。

――2016年、前回大統領に当選したときは、当選直後から「トランプ・ラリー」ということで株価が猛烈に上がり、今回もそれを夢見ている人が多いと思うが、どういう展開になるか。

ホリコ・キャピタル・マネジメント 堀古英司氏:
前回はまさしく「もしトラ」が現実になったサプライズ。トランプ・ラリーといわれた上昇だったが、市場関係者は今回、比較的早くからトランプ氏の可能性を見込んでいて、今はもうほぼ確実だと思っている。とはいえ大統領選なので、結果は開けてみないと分からないが前回よりは不透明要因は少なく、選挙までに織り込み分の方が多いと思う。

トランプ氏が掲げる政策 金融市場・経済への影響は

指名受諾演説でトランプ氏は、「インフレを終わらせる」「最大規模の減税を行う」「EVへの“強制移行”を終わらせる」「世界の工場をアメリカに戻す」などと発言した。

――最後の発言など、トランプ氏の頭の中は1980年代で止まってるような感じがする。

早稲田大学ビジネススクール教授 入山章栄:
私もほぼ確実だと思うが、もし大統領になったらトランプ氏は2期目。大統領1期目の時は2期目の再選を意識するので、国全体を見たらマイルドな政策をやっていくと思うが、2期目だと次がないので、本当に自分がやりたいことをやる可能性がある。

――トランプ氏は、インフレを終わらせると言いながら、望んでることは、株高であり、金利安であり、ドル安。これは本当に実現するのか。

早稲田大学ビジネススクール教授 入山章栄:
前回と今回では、全く置かれている状況が違う。前回は今のようなインフレではなかった。アメリカの経済の実態は、長い間のインフレとそれによる高金利、そして消費も含めて少し弱含み。だから前回と同じようなことをやることによる副作用、マイナス効果というリスクも結構あると思う。それが怖いところ。

――長期金利が上がってくると、円高ドル安と逆の方向だ。

さらに、共和党が何を言っているのか改めて見てみると…

――トランプ氏の政策を反映した政策綱領になっているが、外国からの輸入品に一律10%の関税や半導体でいえばアメリカ独自でやるとか、産業構造にどんな影響を与えてくるか?

早稲田大学ビジネススクール教授 入山章栄:
トランプ氏は、とりあえずバーンと打ち上げる交渉術。相手を驚かせて、そこからいろいろ譲歩を引き出して落としどころを見つけるというやり方。本当に一律10%関税というとんでもないことをやるかどうかは分からない。交渉術の一環だと見ることもできる。ただ2期目なので本当にやってしまう可能性もあり、本当に読めない。もちろんこれが起きるのであれば当然ものすごい影響だ。アメリカ国内にもまたインフレ懸念を呼ぶ可能性もある。

――再エネ、GXなどもなかなか厳しくなるか。

早稲田大学ビジネススクール教授 入山章栄:
この辺りは当面遠のくという印象はあるので、もし当選した場合、4年間は世界中かなり我慢というか、苦難の時代になると思う。

またトランプ氏がEV政策を全面的に見直すと言っている中、トランプ・トレードに走った人がいる。起業家のイーロン・マスク氏だ。トランプ氏を全面的に支持するとXに投稿し、トランプ氏について「アメリカでこのように屈強な候補者は、セオドア・ルーズベルト以来だ」とも書き込んだ。またトランプ氏を支持する政治団体に毎月4500万ドル、約71億円の献金を計画していると、ウォール・ストリート・ジャーナルが報じている。

――政治的なタイミングで打ち出したということか。

早稲田大学ビジネススクール教授 入山章栄:
間違いないと思う。最近テスラの本社を全部テキサスの方に移管するような話もある。非常に保守層の強いところに移すみたいな。そういうところも含めてイーロン・マスク氏自体は元々かなりトランプ氏を支持しているところがあるが、よりそれを表面に出すようになった。一方でトランプ氏はEV促進策を止める見直しを掲げている。かなり駆け引きに入っていき、おそらく海外からのEVの輸入に大きな関税をかけるみたいな落としどころになるのでは。

――バッテリーの生産など、いろんな意味でEVの生産には影響が出てくるか。

早稲田大学ビジネススクール教授 入山章栄:
間違いなく出てくると思う。

(BS-TBS『Bizスクエア』 7月20日放送より)

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