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新しい世界遺産が続々と誕生!インド・ニューデリー世界遺産委員会リポート 第一回

TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年7月27日 14時37分

TBS NEWS DIG

新しい世界遺産を決める国際会議=世界遺産委員会が、インドのニューデリーで7月21日から開催されています。これは年に一回、世界各地の世界遺産のある都市(つまり固定されておらず、毎年、違う都市で開催)で夏に開かれる国際会議で、ユネスコ世界遺産センターとパートナーシップを結んでいる番組「世界遺産」は、この世界遺産委員会にオブザーバーとして毎回スタッフが参加しています。そのスタッフが見た「新しい世界遺産が生まれる現場」のリポート第一回です。

パレスチナ自治政府が緊急提案した修道院 世界遺産登録と同時に「危機遺産」に

デリーでの会議場となったのが、バーラット・マンダパムという昨年完成したばかりの巨大なコンベンション・センター。広大な敷地にいくつもの展示場やホールが点在し、G20サミットも開かれたところです。世界遺産委員会も世界各国から1000人以上が参加する大きな国際会議で、会場の規模や同時通訳などの設備が必要なのですが、その点、このバーラット・マンダパムは十分すぎるほどの施設です。

世界遺産委員会ではすでに世界遺産になっているものの保全状況などのチェックも行い、その価値が危うくなっているときには「危機遺産」に指定して改善を促すこともします。会期の前半は、こうした危機遺産関係の審議が行われ、26日からいよいよ新しい世界遺産の審議が始まりました。

まず審議されたのが、今年の世界遺産委員会の開催国インドが推薦した「モイダム アーホーム王朝の墳墓システム」。13世紀から19世紀にかけて東インド・アッサム地方で栄えたアーホーム王国の、モイダムと呼ばれる古墳群で、90基も残っています。自然の地形を生かした独自の建築様式と、王国が存在した証として、世界遺産への登録が決まりました。

次に審議されたのが、パレスチナ自治政府が緊急提案した「聖ヒラリオン修道院/テル・ウム・アメール」。この修道院はイスラエルが侵攻を続けるガザにある古代の都市遺跡群テル・ウム・アメールのひとつで、世界遺産に登録されるのと同時に保全が危機的状況にある危機遺産に指定されました。

議事進行の早い議長 次々と新しい世界遺産が誕生

その後も、怒濤の勢いで、4つの新しい世界遺産が決まりました。

ヨルダンの文化遺産「ウンム・アル・ジマール」。ヨルダン北部、5世紀から8世紀にあった農村集落の遺跡で、玄武岩を使った当時の建築様式の建造物がよく保存されています。

中国の自然遺産「バダインジャラン砂漠 - 砂の塔と湖群」。モンゴル自治区から甘粛省にかけて広がる、中国で三番目に大きな砂漠で、特に高さ460メートルもある巨大な砂丘が特徴です。

ボスニア・ヘルツェゴビナの自然遺産「ラブノのヴィエトレニツァ洞窟」。ラブノという地域にある巨大な洞窟で、地下に住む絶滅危惧種の生物の価値が認められて世界遺産になりました。

フランスの複合遺産「テ・ヘヌア・エナタ マルキーズ諸島」。南太平洋のフランス領の島々で、「テ・ヘヌア・エナタ」とは先住民の言葉でマルキーズ諸島のことを指します。自然の美しさと、ポリネシア文化の象徴としての価値も認められて、自然と文化の両方の複合遺産となりました。

今年の議長は開催国インドの人なのですが、議事進行がとても早く、どんどん審議が進んでいきます。26日に審議を予定していたのはこのフランスのマルキーズ諸島までだったのですが、18時の終了時間まで2時間も残っており、翌日27日に予定していたものの審議に突入して、次々と新しい世界遺産が誕生していきます。

イギリスの自然遺産「フローカントリー」。スコットランドのハイランド地方にある泥炭地の湿原で、貴重な鳥類の生態系が評価されて世界遺産になりました。

ブラジルの自然遺産「レンソイス・マラニャンセス国立公園」。絶景の白い海岸砂丘地帯で、映像向きの美しい世界遺産です。

エチオピアの文化遺産「メルカ・クンツレとバルヒト:エチオピアの高地地域の考古学的および古生物学的遺跡」。人類の足跡などの先史時代の遺跡群で、200万年前から人類の集団がこの地に居住していたことを証明するものとして登録されました。

「予定より早く佐渡島が世界遺産に?」記者の緊迫をよそに…議長は日本など数か国を飛ばして進行

実は事前に発表されていた27日の審議スケジュールでは、このエチオピアの後に日本の「佐渡島の金山」の審議が予定されていました。

「もしかしたら、予定よりも早く佐渡島が世界遺産になるかもしれない」
…速報などの対応も必要なので、ちょっと緊迫した感じになったのですが、インドの議長は日本とその後に予定していた数か国の審議を飛ばして、さらに進行していきます。

南アフリカの文化遺産「現生人類の出現:南アフリカの更新世の居住遺跡群」。南アフリカの西ケープ州とクワズールーナタール州の3つの考古遺跡から構成され、16万2千年前にまで遡る現生人類に関する、最も多様で最も保存状態の良い記録を残しているとされ、世界遺産になりました。

ブルキナファッソの文化遺産「ティエベレ王宮」。16世紀に建てられた土造りの建築物群で、当時の社会組織と文化的価値観を反映しているとされ、世界遺産に登録。

…ここまでで26日の審議は終了。全部で11の世界遺産が新たに誕生しました。

そしてインドの議長は「明日は日本の佐渡島の審議から始めます」とアナウンス。
注目の佐渡島の審議、その様子は、次回のリポートでお伝えします。

執筆者:TBSテレビ「世界遺産」プロデューサー 堤 慶太

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