「攻撃にためらいはない」最前線のドローン部隊に潜入…兵士の言葉は【科学が変えた戦争】
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年8月11日 6時0分
ロシアによるウクライナ侵攻開始からまもなく2年半。
この戦争では、私たちの身近にある「ドローン」がなくてはならないものになっている。
「最先端の科学」がいま、戦争の姿を大きく変えている。
戦争の姿を一変させた「攻撃用ドローン」
7月、ウクライナ側が公開した映像が世界に衝撃を与えている。
上空から捉えられたのは1人のロシア兵。
そこに、爆弾を抱えたドローンが忍び寄る…。
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次の瞬間、ロシア兵に向かっていき、爆発。
ドローンが一変させた戦争の姿だ。
ロシアの中枢・クレムリンにも。モスクワの高層ビルにも。
そしてロシアの軍艦を破壊したのも…ドローンだった。
ウクライナのゼレンスキー大統領は
「無人システムは陸海空の戦闘で有効性を証明した」と強調する。
一方、ロシア側もドローン頼みだ。わずか数十センチほどの攻撃用ドローンを開発した。
プーチン大統領も「注目されるのは無人機だ」と、ドローンの重要性を強調する。
標的に爆弾を落としたり、爆弾を抱えたまま突っ込んだり…
こうしたドローンの機能を最大限活用し、両国の戦闘は続いている。
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操作する様子はまるでゲームのようだが、これで人の命が奪われているのだ。
ウクライナのドローン部隊に密着
ロシアによる侵攻が続くウクライナ北東部、ハルキウ州。
そこで、最前線で戦うウクライナのドローン部隊への同行取材が許された。
午後9時、現れたのは兵士たち約10人。
ウクライナ兵
「ドローンもっとあった?他に何か持っていく?」
「これで全部」
これから向かうのはロシアとの国境地帯。つまり戦場だ。
増尾聡記者
「今から出発していきます。ここから30分ほどの最前線に向かっています」
しかし、5分後、車は急停止する。
ウクライナ兵
「今、上空にロシア軍のドローンがいるので去るまで待つしかない」
上空にロシアのドローンが飛行しているのが確認され、待機命令が出たのだ。
ここは戦場、こうした事は日常茶飯事だ。
増尾聡記者
「ここにずっと滞在していることもリスクで、心が落ち着かない時間が続いています」
身を隠すこと約50分。
増尾聡記者
「今から出発ということです。許可が出たということです」
ドローンが去ったことを確認し、すぐに出発する。
そして到着したのは、ドローン部隊の拠点。ロシアとの国境からわずか5キロの地点だ。
増尾聡記者
「ここがウクライナ軍のドローン部隊が活動する拠点になります。
おそらく民家の貯蔵庫のような場所でしょうか。拠点に無事、着くことができました。」
案内された地下室は、10畳ほどの広さの場所だった。
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部屋の一角にあるモニターには、戦場を飛ぶ、ドローンからの映像が映し出されている。
この部屋から遠隔操作で攻撃を行っているのだ。
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作戦で使うのは暗視カメラ付きのドローンで、10kmまで飛ぶことができ、最大3kgの爆弾が搭載可能だという。
操縦するのは、コスタ伍長(30)。5か月前、この部隊に配属された。
私たちがコスタ伍長にインタビューをしていると、突然、司令部から連絡が入った。
司令部
「さっき“位置情報”を送った」
ウクライナ兵
「了解。ロシア兵は建物にいるのか?」
この瞬間から、自爆ドローンを使った作戦が開始される。
屋外では、爆弾を積んだドローンの設置作業が、あわただしく始まった。
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増尾聡記者
「いまドローンが設置されました。これが飛んで行き、ロシア軍の戦車や人に突っ込んでいくということです」
そしてドローンは飛び立った。
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地下室に戻ると、コスタ伍長はゴーグルを付け、ドローンからの映像を確認していた。
隣のナビゲーター役の指示を受けながら、コントローラーで操縦する。
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ドローンはロシア軍の拠点に向け、一気に飛んでいく。
コスタ伍長
「あの小屋を攻撃するか?」
ナビゲーター
「一軒目のだよね?」
コスタ伍長
「あの屋根のないところが地下室の入り口かも」
コスタ伍長らは狙いを定める。
コスタ伍長
「目標に入るぞ!」
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標的に突入。その瞬間、映像は途切れた。
ナビゲーター
「うまくいった」
コスタ伍長
「2キロの爆弾だから、激しく爆発したのは間違いない」
増尾聡記者
「中にロシア兵がいたとしたら?」
コスタ伍長
「不運だったね・・・とても」
増尾聡記者
「実際の人間に爆弾をヒットさせるのはどんな気持ち?」
コスタ伍長
「分からない…。嬉しいとか、悲しいとか、そういう感情ではない。強い感情はない。ドローンであれば、ほとんどの人は標的を攻撃することにためらいを感じないと思う」
ウクライナのドローンを支えているのは3Dプリンター
ウクライナでは今、ドローンの大量生産が始まっている。
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増尾聡記者
「ここがまさに、ドローンのパーツを作る工場ということになります」
部屋にあるのは15台ほどの3Dプリンターだ。
これで部品を簡単に作ることができるという。
スタッフ
「今日は発電機を使って3Dプリンターを7台稼働させます」
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製造されているのは、ドローンの発射台と、上空から爆弾を落とすための部品「ドロップ」だ。
ダミーの爆弾で試してみると…
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スタッフ
「こんな感じです」
製造にかかる費用は、1機あたりわずか7万円。
人を殺す兵器はいまや、安く簡単に作ることができる。
ドローン100万機の製造目指すも 司令官「まだ足りない」
ウクライナは2024年6月、「ドローン専門部隊」を設立。
100万機のドローンの製造を目指している。
それでも司令官は「まだ足りない」と話す。
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ウクライナのドローン部隊司令官
「30万機のドローンで足りるだろうか?いいえ。100万機のドローンで足りるだろうか?いいえ。200万機では?いいえ」
「戦場ではドローンの多い方が勝つ」「ドローンは革命をもたらしたんです」
(TBSテレビ「つなぐ、つながるSP 科学が変えた戦争 1945→2024」8月11日放送)
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