ハワイ・マウイ島 山火事からあすで1年 「住む場所がない」人口流出に 観光業への影響も懸念
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年8月8日 20時40分
100人以上が犠牲になったハワイ・マウイ島の山火事から、あすで1年です。マウイ島では被災者のための住宅の不足が懸念されていて、アメリカ本土への人口流出も起きています。現地を取材しました。
かつてのハワイ王国の首都として知られるラハイナの町。美しい街並みは一夜で失われました。
去年8月に発生した山火事では102人が犠牲になり、およそ1万4000人が住まいを失いました。ハワイ州史上最悪の自然災害から、あすで1年となります。
記者
「この場所からはラハイナの町を見渡せますが、多くの場所が更地となっていて、全てが燃えてしまったということを改めて感じさせます」
現地では、住宅街の9割で、瓦礫などの撤去作業が終了しています。
「ここにガレージがあって、キッチンがここにあったんですね」
35年間住んでいた家を失った江木百合子さん。1年を前にようやく生活が落ち着いてきたといいます。
被災した江木百合子さん
「2週間ぐらい前に来た時、その時初めて涙がこみ上げてきました。景色が変わってしまって」
今後、復興作業が本格化することが期待されますが…
地元の保険業者 マヘアラニさん
「住宅危機は深刻な事態を招いています」
多くの観光客が訪れるハワイでは以前から民泊の運用などが盛んなため、投資目的の不動産購入により、住宅価格が高騰。地元住民が賄える価格の住宅が不足し、社会問題となっています。
そこに山火事が発生し、賃貸物件を含むおよそ2000軒の住宅が被災し追い打ちをかけたのです。
被災者
「住む場所がありません。このままではラハイナの人々は島外に行ってしまいます」
地元自治体の主導で低価格住宅の整備が進んでいますが、すでに少なくとも1000世帯が島を離れたといいます。
人口流出が懸念される中、地元マウイ郡の打開策が注目を集めています。
マウイ郡 リチャード・ビッセン郡長
「民泊を住宅に戻します。(地域によっては)住宅よりも、民泊が多い地域があるんです」
これまで住民向けの区画で例外的に認められていた民泊を住宅に転用する法案を発表。その数は7000にものぼり、島全体の半数に相当します。
ただ、観光業への影響が心配されているほか、民泊の清掃業者らが職を失う可能性も指摘されています。
地元の保険業者 マヘアラニさん
「性急です。住宅を増やしても家賃を稼ぐための仕事がないようなものです」
マウイ郡 リチャード・ビッセン郡長
「うまくいく保証はありません。ただ、これが住宅を生み出すために我々が考えた戦略の一つです」
住宅の確保と観光業の再建をどう両立させるのか、難しい現実に直面しています。
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