人気スーパー「オーケー」二宮涼太郎社長に聞く 顧客満足度14年連続1位“躍進”と“強さ”の理由とは【Bizスクエア】
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年8月14日 7時0分
物価高の中でも低価格路線で売り上げを伸ばしているのが、首都圏で155店舗を展開しているスーパーマーケットのオーケー。とことん低価格にこだわる理由と、これからの戦略をオーケーの二宮社長に聞いた。
人気スーパー「オーケー」 二宮社長が語る経営戦略
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スーパーマーケットのオーケー。低価格の商品を買い求めるお客さんで賑わっている。
来店客は「地域的に便利になのと、比較的安い」「食品以外のものも、歯磨き粉とか洗剤も安かった」。「低価格、あと品数。ここで大体全部揃う」という。
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オーケーは「高品質Everyday Low Price(毎日低価格)」を経営方針に掲げていて、日本生産性本部が発表するスーパーマーケットの顧客満足度の調査では、14年連続1位を獲得している。躍進を続けるオーケーの二宮涼太郎社長に強さの秘密を聞いた。
――「14年連続、顧客満足度1位」最大の要因は?
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オーケー 二宮涼太郎社長:
経営方針「高品質Everyday Low Price」を日々徹底することに尽きると思う。例えば特売するというと、特売の前日に同じ商品を買ったり、特売の後に同じ商品を買った人が「特売の日に買えばよかった」」と損した気持ちになってしまう。お客様に「損したな」と思ってもらいたくないのがオーケーの方針の底流ある。それなら「毎日同じ価格」で「いつ来ても安い」を目指そうというのが「Everyday Low Price」の根底の方針。
オーケーの大きな魅力、ロープライス。価格の安さを徹底するために行っていることが…
オーケーみなとみらい店 スタッフ:
今は近隣の競合店舗の折込チラシを確認して時点より金額が安いものを確認しているところ。
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オーケーは、競合店より値段が高ければ、1円でも安くする「競合店対抗値下げ」を徹底している。チラシのチェック後、すぐに新しい値札を作成し、値段を差し替える。
――他店よりも安くこそが、オーケーのレゾンデートル(存在価値)?
オーケー 二宮涼太郎社長:
当然他のお店よりも一番安くしたいとは目指しているが、それ以上にオーケーに来てくれた客に「損をした」という体験をしてもらいたくない。「オーケーに来れば損をしない」という安心感で買い物してもらいたいと考えて対応している。
――「オーケーに来れば損をしない」という安心感こそが、一番のブランドか?
オーケー 二宮涼太郎社長:
はい。そこを一番重視している。
――オーケー、安さの秘密は?
オーケー 二宮涼太郎社長:
基本は、たくさんの客に来てもらって、たくさん買ってもらうことで、経費を圧縮できる。そこが一番のポイントだと思う。
――成長してお客さんが増えて売り上げが増えていくこと自体が、ビジネスモデルの前提にあるということか。
オーケー 二宮涼太郎社長:
はい。その通りです。
――それは大変ではないか?
オーケー 二宮涼太郎社長:
まだまだ、成長余地があると思っている。それに向けて頑張っている。
――そこでコストを少しでも下げていくという努力が続くからこそ、初めて計画が実現する。二宮社長からみて、このインフレで消費者の行動の変化はどうか?
オーケー 二宮涼太郎社長:
我々販売してるのは生活必需品なので、皆さん値上がっても買ってはいるが、やはり点数で少し調整はされていて、点数は減って、トータルでの客単価が若干上がっている。そこには節約志向が見え隠れしているとは思う。
――節約志向が強まってるからこそ、ディスカウントスーパーというオーケーのような業態が注目されている理由だと思うが、逆にアドバンテージがあると思うか。
オーケー 二宮涼太郎社長:
足元で感じてるのは「消費者はいいものを安く買いたい」。これは普遍的なことだと思う。
――だからそこを追求していけば、間違いはない?
オーケー 二宮涼太郎社長:
デフレでもインフレでも、しっかり支持してもらえると思う。
人気スーパー「オーケー」強さの秘密 人気の「惣菜」なぜこの安さで!?
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オーケーの、広い惣菜売り場。
――社長、一押しの惣菜は?
オーケー 二宮涼太郎社長:
少し値上げしましたが、こちらの「ロースかつ重」。
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社長一押しの「ロースかつ重」は値段が税別で307円。年間で640万食を売り上げている人気惣菜だという。
――この先、惣菜はもっと伸びる?
オーケー 二宮涼太郎社長:
もっと伸びていくと思う。やはり負けられないです。
その素材を開発している本社のテストキッチンでは、秋に発売予定の商品の打ち合わせが行われていた。
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オーケー 惣菜・ベーカリー本部 櫻井尚史氏:
秋の味覚で、牡蠣飯の試作を行いたいので、各種メーカーさまにご協力いただければと思う。
目指せ!価格は全体で499円。
食材メーカーや問屋の担当者も参加して、カキの産地やサイズ・海苔やゴマの量など測りに乗せながら、グラム単位での価格調整を行う。
メーカーとのやり取り:
(カキを)4粒もしくは5粒できたら、6粒入れたい。1回盛り付けしてみて、それで試算してみましょうか?(ゴマの量)1gで1回みていいですか?0.5gでもいいかな。そっちの方が少しでも価格を抑えられるかな。
とことん突き詰めて、低価格を実現していく。
オーケー 惣菜・ベーカリー本部 櫻井尚史氏:
原料不足と原料高騰がずっと続いている中で、どれだけ低価格で提供できるか。もう1円以下でもどんどん抑えられるところを抑えている。
「オーケー」社長が語る出店戦略 都心の一等地…関西に進出も
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オーケーは新たな出店戦略として、2023年、都心の銀座や日本橋、さらに郊外にある百貨店高島屋のショッピングセンターなどに出店した。
オーケー 店舗開発部立地開発 西田康二郎マネージャー:
銀座は特徴のある街として、外国人の観光客や周辺で働いている方々、はたまた銀座で商売をしている人の量販向けの商品などが売れるのではないかと。
他のエリアと同じく低価格を徹底する一方で、銀座エリアならではの商品も人気だという。
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オーケー 銀座店 小林陽介センター長:
こちらが高額酒を販売してるコーナー。インバウンド客、あとは飲食店の客が買っていく。すごくよく売れていく。
東京立川市の高島屋ショッピングセンターへの出店は、駅近くのターミナル立地の良さに加え、既存の建物への出店による資材費などのコストカットにも繋がっているという。
――「デパ地下」と競合するような場所だが、うまくいっているか?
オーケー 二宮涼太郎社長:
「デパ地下」とオーケーで売っている商品は一緒ではない。日常使いのところでオーケーを利用してもらい、ハレの日需要などは「デパ地下」を考えてもらうということで客側も使い分けていると思う。
――銀座など、地代の高いところでスーパーを出してやっていけるのか?
オーケー 二宮涼太郎社長:
とにかく「売る」ということに徹して、これぐらいの売り上げだったらいけるという目算のもと出店しているから大丈夫。
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一方、オーケーは、2021年に関西スーパーを買収提案するも断念している。
――2024年の11月、いよいよ関西に初出店するとか。関西はどうしても行きたかった?
オーケー 二宮涼太郎社長:
関西スーパーの話の時に、関西の方からも「ぜひ出店して」とお声がけをたくさんもらった。自力で出店しようということで、ようやく叶うところ。
――現地のスーパーの争奪戦をやって、結局負けて、それでも自力で出店するだけの価値のあるエリアだと思ったのか?
オーケー 二宮涼太郎社長:
オーケーは、人口密集エリアに出店しようという方針があり、大阪や兵庫などは、かなり密集しているエリアがあり、そういうところをしっかり選びながら出店していきたい。
――関西は独特の文化、食文化もあるところ。消費者の目も、ひときわ厳しいエリア。自信はあるか?
オーケー 二宮涼太郎社長:
「良いものを安く」というのは、日本全国一緒だと思うので、その方針でまず出店してみる。品揃えは当然関西の食文化をよく勉強して、他のスーパーと品揃え、関東と違うところをよく分析しながら、しっかり関西に合わせた形で出店したい。
――直近の決算(24年3月期)は、売上が2桁の伸びで、利益も25%増と、なかなか好決算だった。売上高でいうと、今6228億円。1兆円というのは見えてきたか。
オーケー 二宮涼太郎社長:
大台は目指したいと思う。
――経営の大きな方針として、借金無しで年率20%成長の達成という目標があるとか。20%ずつ成長するとどれくらい達成するか?
オーケー 二宮涼太郎社長:
20%で成長できるかというところが毎年一番苦労するところなので、あまり「2割で何年」というのは計算していない。
――店舗数では、どうか。毎年2桁出店か?
オーケー 二宮涼太郎社長:
2桁。これから関西も加わるので、むしろ2桁出しやすい状況。「人」も同時にしっかり確保して教育をして、2桁の出店をして、売り上げを伸ばしていきたい。
人気スーパー「オーケー」 「躍進」と「強さ」の理由
一都三県に住んでいる人に馴染みのあるスーパー「オーケー」。経営方針「Everyday Low Price」つまり特売をしない。そして「競合店よりも1円でも安い値段をつけるから、あったら言ってください」というポスターが店内に貼ってある。その業績は大変好調だ。
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オーケーの2024年3月期の売上高は6228億円で前年比12.7%増となっている。また経常利益は379億円で前年比25.2%増。コロナ禍の巣ごもり需要のあと、若干リバウンドはあったが、今期またぐっと伸びてる。
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ニッセイ基礎研究所 チーフエコノミスト 矢嶋康次氏:
外食需要なども取り込んでしまったかもしれない。
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そして店舗数も大きく増えている。これまで毎年数店舗ずつ増加しており、2024年8月の時点で155店舗に達している。そして2024年11月に、一都三県以外では初めてとなる大阪での出店が予定されている。
――こういうビジネスモデルは成長して客数、点数が増えていくことが、バーゲニングパワー(交渉力)として、調達能力の拡大に繋がっていくということか。
ニッセイ基礎研究所 チーフエコノミスト 矢嶋康次氏:
低価格の元が大量に仕入れて、大量に販売というところにあると思う。そういう意味では、出店がこれから増えるという方向でもっと加速していくだろう。
――今までオーケーは、住宅地にファミリー層を対象にしたような店というイメージだが銀座や日本橋、あるいはその百貨店の隣、そして大阪といろんなところに出店していくのか。
ニッセイ基礎研究所 チーフエコノミスト 矢嶋康次氏:
客が想像してないところに、これから出店を加速していく。それがどういうところなのか想像つかないが、そういう戦略もあるだろう。
――インフレ時代を代表するような一つの事例か。
ニッセイ基礎研究所 チーフエコノミスト 矢嶋康次氏:
銀座の店舗で儲かるということが、本当びっくりした。
(BS-TBS『Bizスクエア』 8月10日放送より)
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<プロフィール>
矢嶋康次 氏
ニッセイ基礎研究所 チーフエコノミスト
金融・日本経済を中心に調査研究
近著「記憶の居場所 エコノミストがみた日常」
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