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「家ではこんなに食べさせてあげられない」給食なくなる夏休み…“困窮”ひとり親家庭の子どもたち 3人に1人が「1日2食」、「体験格差」問題も【Nスタ解説】

TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年8月16日 20時43分

TBS NEWS DIG

夏休みも中盤、楽しい思い出を作る子どもたちがいる一方で、経済的に困窮している子もいます。そんな子どもたちが夏休みに直面する課題とは?

「1日2食」「遊びの予定なし」ひとり親家庭の夏休み

東京・江戸川区にある「365日子ども食堂『NUKUNUKU』」。無料で食事の支援をしています。

中学3年生(15)
「レタス好きです。サラダ好きなので」

毎日、夕食などを食べにこの場所を訪れる子どもたち。その半数は、ひとり親家庭です。

中3の息子と中1の娘を育てるシングルマザー(36)
「家ではこんなに食べさせてあげられないですね」

中学3年生(14)
「(母と妹と)3人で食べるから、みんなも食べないといけないから、平等に」

給食がなくなる夏休み。ひとり親家庭では、約3人に1人の子どもが「1日2食」しか食べられていないとの調査結果が8月に発表されました。

中3と高3の娘を育てるシングルマザー(54)
「夏休みは給食がない分、子どもたちの食費がかかるので」

さらに、夏休みの予定を聞くと…

中学3年生(14)
「家族3人で(旅行に)行きたいなと思うけど」

中3の息子と中1の娘を育てるシングルマザー(36)
「旅行は行けないです。相当かなりお金かかるので」

いま、子どもたちの間に「体験格差」が生じています。

NPOが“体験”を企画 「何かしたと言える経験ができてありがたい」

この日、羽田にある日本最大級の物流ターミナルを訪れたのは6組の親子。大量の荷物が次々と仕分けられる様子に興味津々です。

これはNPOが企画した体験プログラム「こども冒険バンク」。

経済的に困窮している子どもたちなどを対象に、「遊び」や「学び」の機会を提供しようと8月から始まりました。

参加した男の子(6)
「これが一番楽しかった、探すの」
「(Q.どうだった?)楽しかった」

6歳の息子を育てるシングルマザー(40)
「最近も仲いい子が海外に行ったとかいう話をしていて、子どもにも体験の差が出てきて、(今回)何かしたと言える経験ができてありがたい」

NPOの担当者は、幼少期の体験の重要性をこう指摘します。

「こども冒険バンク」プロジェクトマネージャー
「大きくなってからの非認知能力や自尊感情、『自分は何でも挑戦したらできる』とか、そういった項目も体験があった子の方が良くなっているというデータがある。幼少期の体験というのは非常に重要なもの」

子どもたちのこころを育む体験。その格差を埋める支援が期待されます。

「朝昼兼用で食べさせる」「子どもには食べさせるが…」ひとり親家庭 厳しい夏休み

日比麻音子キャスター:
世帯別の平均所得をみてみると、▼母子世帯(シングルマザー世帯)は年間272万円、▼全世帯の平均は年間約524万円ということです。母子世帯の所得は全世帯の半分ほどだということがわかります。

ひとり親世帯の貧困率は44.5%というデータがあります。
(※厚労省「令和4年 国民生活基礎調査の概況」より)

母子世帯は38.8%が非正規雇用であるということも分かってきました。
(※厚労省「令和3年度全国ひとり親世帯等調査」より)

NPO法人「ひとり親家庭サポート団体全国協議会」の調べによると、夏休みの食事は、3人に1人が「1日2食」にしているという現実がみえてきました。1日1食という家庭もあるようです。

アンケートでは…

40代 月収11万円
朝昼兼用でまとめて食べさせる」

50代 月収13万円
「夏休み縮小して1日も早く給食を食べさせたい

20代 月収14万円
「子どもには食べさせるが私は2日に1食。1年で10キロ痩せた」

という声が上がっています。

懸命に働いていても、親も食事を満足に取ることができない状況が続いているようです。

東京大学准教授 斎藤幸平さん:
「子どもの貧困」の本質は「大人の貧困」問題だといえそうです。特に女性は非正規が多く、(非正規雇用では)賃金が低いわけです。

生活保護を受けるべき家庭も多いと思いますが、なかなか(生活保護を)受けられない実態もあるようです。

「子どもの貧困」が取り上げられると、世間の同情を生みやすいです。しかし、「大人の貧困」は自己責任としてみなされがちで、非正規やジェンダー格差の問題がみえなくなってしまうことが問題だと感じています。

約8割「エアコンの使用を控えたい」 ひとり親家庭への「支援を知らない」状況も

日比キャスター:
厳しい暑さの中で「エアコンの使用を控えたいか」とアンケートをすると、「とてもそう思う」「思う」と答えた人は約79%でした。
(※NPO法人「ひとり親家庭サポート団体全国協議会」調べ)

40代 月収18万円
「基本的に我慢して、限界になったら水を浴びる

40代 就労収入なし
「首に保冷剤をまく」
「図書館で涼む」

40代 月収20万円
エアコンは未設置。引っ越したいが費用がない」

夏休みの「遊び」についても、約半数が予定がないということです。

50代 月収19万円
「友達の家族旅行の話を聞いて羨ましがっているので悲しい」

30代 就労収入なし
絵日記がかけないと言われてへこむ」

40代 月収14万円
「周りと同じようなことをさせてあげたいが、出来ない自分が情けない

という声もありました。

TBS社会部・辻萌絵子記者によると、「日々の生活に追われ、身近に利用できる支援があってもそれに気づいていない」という状況もあるということです。

「子ども貧困」問題は「大人の労働問題、社会の問題」

山内あゆキャスター:
子どもにとっては食べ物も大事ですが、遊びもすごく重要です。

学童クラブや放課後クラブで遊び、さらに昼食代を無料にすることはできると思います。

高学年になると行きたくなくなる子もいると思いますが、中高生が宿題やゲームをしてくれるなど、一緒に楽しめる空間が必要だと思います。

日比キャスター:
誰かひとり、何かひとつと抱え込むのではなくて、輪を広げていくことが大切だと感じます。何か解決策はあるのでしょうか。

東京大学 准教授 斎藤さん:
支援を知らない人もいるということですが、知っていても、周囲から貧困家庭とみられることをおそれて、支援を申請できない人もいると思います。

貧困家庭だけではなく、あらゆる子どもがいる家庭、子どもに対する支援を拡充していく必要があるのではないでしょうか。

東京だと住居費が高すぎますし、日本は教育費もすごくかかる国なので、そういうものを是正していく、支援を拡充していくというのも、社会からの理解を得やすい一つの方法かなと思います。

日比キャスター:
社会部・辻記者も「貧困を知られたくない。支援の利用を後ろめたく感じてしまう家庭も少なくない」としています。

夏休み期間に限らず、継続して議論を続ける必要がありますね。

東京大学 准教授 斎藤さん:
子どもだけの問題ではなく、大人の労働の問題でもあり、そういう意味では社会の問題です。

日本は「子どもの権利条約」にも批准しているので、政府には子どもの貧困対策する責任があるので、どうやって解決していくか、社会レベルでの議論が必要だと考えています。

==========
<プロフィール>
斎藤幸平さん
東京大学 准教授 専門は経済思想・社会思想
著書『人新世の「資本論」』50万部突破

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