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小中学校の夏休み“短縮” 福岡・古賀市は25日間 「6時間目の授業」削減が狙い 水泳授業委託など合わせ“教育の充実”と“教員の働き方改革”目指す【news23】

TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年8月21日 12時56分

TBS NEWS DIG

福岡県古賀市では、公立小中学校の夏休みを25日間に短縮する試みを行っています。主な狙いは、教員や児童に疲れが出始める「6時間目の授業」の削減。水泳授業の外部委託なども導入していて、“教育の充実”と“教員の働き方改革”を両面で進めています。

夏休みを短縮 そのワケは「6時間目授業の削減」

福岡市からほど近い福岡県古賀市の小学校。7月25日に夏休み前最後の登校の日を迎えました。

古賀市の夏休みは8月19日までの25日間。7月20日から8月26日までの38日間の福岡市と比べると13日間、短くなっています。子どもたちは…

6年生
「(夏休みは)長い方がいいと思う。夏休みはみんなが楽しみにしているから、長くして楽しい時間を作りたい。いろんな場所に行って、ゆっくり過ごしたい」

6年生
「友達と会えることが多くなるから(夏休み短縮が)いいと思います。友達といた方が楽しいから」

なぜ、夏休みを短くしたのでしょうか?

古賀市立千鳥小学校 松本剛 校長
「子どもたちが6時間目の授業というと、だんだん集中力を欠いていくので、1日の授業時間を短くすることで、子どもたちの集中力が高い間に授業をしていくことが大きな狙いになっています」

古賀市は教員や子どもに疲れが出始める6時間目を減らして、削った授業数を夏休みなどで補う試みをスタート。

9年前は、39日間あった夏休みを25日間まで短くするなどした結果、6時間目がある日は週4日から1日に減りました。

古賀市立千鳥小学校 松本剛 校長
「教員は子どもが帰る時間が早いので、そのあと次の授業の準備、あるいは気になるお子さんとか、生徒指導上、話がしたいというお子さんと話をする時間がとれます

「共働き、早く帰れてありがたい」6時間目を減らす“メリット”は教員にも

6時間目の削減は、教員の働き方にも良い影響を与えています。

渡辺理絵 主幹教諭
「しっかり授業準備ができるので、若い先生も分からないことを同学年の先生に聞いたりとか、そういった時間はかなりできているなと思っています」

長谷川拓也 教諭
「いま子どもが2人がいて、妻も共働きなので、早く帰れるようなったのですごくありがたい」

このほか古賀市は、水泳授業の外部委託なども行い、教育の充実と教員の働き方改革を両面で進めています。

“夏休み短縮”について古賀市内の保護者は…

中学生の保護者
「安心して働きに出られたりするので、(夏休み短縮は)親としては歓迎というか嬉しい。給食も早めに始まるので、いいなと思っています。エアコンとか電気代とかも節約になったりするし」

小学生の保護者
「やっぱり夏休みって長いお休みが子どもの楽しみかなと思うので、もうちょっと長くてもいいなって思います、正直。ただ親は仕事をしているので、助かる部分もあるかなと思います」

夏休み短縮で教員や保護者は…短縮取りやめの自治体も

藤森祥平キャスター:
環境や事情が違うので一概には言えませんが、夏休みを短くすることが、教員の負担軽減の問題や子どもたちの日頃の取り組みという面でも良いことに繋がるということです。どのように考えますか?

QuizKnock CEO 伊沢拓司さん:
古賀市の小学校の事例では、6時間目を削ることで良い効果があらわれたということですが、まず、そういう選択肢が行政側にもたらされたということはすごく画期的だと思います。

立場によってメリット・デメリットは様々あると思います。

最近は「体験格差」の問題がすごく課題になっています。余裕のある家庭であれば、夏休みは様々な体験をする場ですが、余裕のない家庭だと「食事をどうしよう」という課題など、子どもの行き場に追われ、“体験”どころではありません

しかし、夏休みはそうした社会課題を解決するためのツールではありません

暑すぎて授業ができないということや、校外学習のためなどが夏休みが設けられた理由ですから、夏休みを短縮することで社会課題を解決しようという方向に行ってしまうのは違うのかなと思います。「論点が多すぎる問題だな」というのが正直な感想です。

上村彩子キャスター:
夏休み期間の短縮の動きは、福岡県古賀市以外にも広がっています。

静岡県吉田町では30日以上あった小学校の夏休みを7年前に23日に短縮しました。しかし、現在は緩やかに約30日に戻したということです。

教員から「夏休み中に行われる公的な研修会に出られない」「長期休暇が取りにくくなる」といった懸念の声が上がったことが理由だということです。

藤森キャスター:
先生たちにも、長い夏休みならではの時間の使い方があるということですね。

伊沢拓司さん:
部活動などでみても、中学生は8月の後半に中体連がありますので、周りに合わせることになると思います。議論が膨らみ、様々な選択をする学校が増えれば、さらに良くなっていくのかもしれません。

夏休みだけの問題ではなく、仕組みなどとセットで考える問題だということが、この問題を見る視点になりそうです。

夏休み中、子どもの預け先は?学童保育の待機児童数は過去最多

藤森キャスター:
普段の授業を減らし、夏休み短縮をすることで教員に余裕が生まれるのではないかという考え、いかがですか?

伊沢拓司さん
余裕が生まれるのはいいことですが、そもそも教員の多忙化が叫ばれて久しいので、まずは休みが必要なのかと思います。

休みの中で、授業の準備や様々なものを吸収するというのが大事なことかなと思います。

藤森キャスター:
「家庭の負担が減る」という考えもあります。核家族化や共働き世帯の増加で、夏休み中の子どもの預け先などは難しい問題です。

伊沢拓司さん:
「学童に行く」という選択肢をとるにしても、学童の充実具合は自治体によって本当に違いますし、学童の待機児童数が過去最多というデータもあります。

学童以外に放課後の過ごす場所を用意しているところもありますが、NPO法人が運営したりして、差が大きく出てしまっています。

家庭にばら撒くより、自治体がそうしたことに投資する方が、いろいろなセクターに影響があるのではないでしょうか。

夏休みひとつ取っても、子どもを取り巻くこれだけ多くの課題があります。お金の使い方も含め、包括的に解決していくことが大事になると思います。

藤森キャスター:
家族環境や働き方、夏の暑さも変わってきていて、当たり前が当たり前ではなくなっています。スタンダードの見直しは大事な点かもしれません。

『夏休みの長さ』について「みんなの声」は

NEWS DIGアプリでは『夏休みの長さ』について「みんなの声」を募集しました。

Q.普段の授業を減らして夏休み短縮 影響は?

「生徒に余裕」…17.9%
「授業準備に余裕」…34.3%
「家庭の負担減」…27.1%
「長期旅行などの限定」…7.0%
「その他・わからない」…13.7%

※8月20日午後11時20分時点
※統計学的手法に基づく世論調査ではありません
※動画内で紹介したアンケートは21日午前8時で終了しました。

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<プロフィール>
伊沢拓司さん
株式会社Quiz Knock CEO
東京大学経済学部卒
クイズプレーヤーとして活躍中

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