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埼玉 男女別学から共学化へ、高校・中学生はどう考える? 半数以上「共学化望まない」【Nスタ解説】

TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年8月22日 21時16分

TBS NEWS DIG

埼玉の県立高校について男子校と女子校をなくし、共学にすべきかどうか。議論されていたこの問題について県の教育委員会は「主体的に共学化を推進していく」と方針を明らかにしました。

男女別学か?共学か? 埼玉県立高めぐる議論

埼玉県の男女別学の県立高校をめぐる問題。「男子校に女子が入学できないのは不適切だ」などと、県の第三者機関に苦情が届き、教育委員会が共学化の検討を進めていましたが、きょう、ついにその結論が…

埼玉県教育委員会 日吉亨 教育長
「今後の県立高校のあり方について総合的に検討するなかで、主体的に共学化を推進していく」

教育委員会は「主体的に共学化を推進していく」とする方針を報告書にまとめたことを発表しました。

埼玉県教育委員会 日吉亨 教育長
「少子化の時代などを迎えるなかで、誰もが等しく学校を選べるように考えていかなければいけないなかで、果たして別学校がその選択肢になりうるのかも考えていかなければいけない」

一方、具体的な時期や学校名は示しておらず、当面、県内にある12の「男女別学」の県立高校は存続するということです。

教育委員会の調査では、高校生の57.2%が「共学化しないほうがよい」と回答するなど、男女別学を支持する声は少なくありませんでした。

きょうの発表に、当事者である熊谷女子高校の生徒会長・岡田さんは。

熊谷女子高校 生徒会長 岡田莉奈さん
「私が在学中は(共学に)ならないというのはすごく安心だが、でもやっぱりなくなるのは寂しいので、答えが欲しい」

岡田さんは別学ならではの良さを訴えます。

熊谷女子高校 生徒会長 岡田莉奈さん
「私みたいに異性のことで悩んでいる人は、たくさんいると思う。女子校だとそういう問題もないし、自分の生きたいように、過ごしたいように過ごせるというのを私自身経験しているので」

今後、県に求めることは。

熊谷女子高校 生徒会長 岡田莉奈さん
「今回発表したからといってその議論をやめないで、全国の高校生、共学の人にもこういった問題を知ってもらって、少しでも考えて理解してもらうことが大事」

教育委員会は今後、県民の意見を丁寧に把握する必要があるとして、アンケートや意見交換などを実施していきたいとしています。

埼玉県「男女別学」から「共学化」を推進へ

小笠原亘キャスター:
連日、報道されている埼玉県の「男女別学」が「共学」になるのかの問題です。

そもそも、きっかけは埼玉県への1件の苦情からでした。

「埼玉県立の男子校が女子の入学を拒んでいるのは不適切だ。女子差別撤廃条約に違反するのではないか」

埼玉県の男女共同参画苦情処理委員にこのように連絡があったということです。

これを受けて、埼玉県の教育委員会に「共学化が早期に実現されるべきではないか」という勧告を行いました。

そして、22日午後2時から埼玉県の教育委員会が会見を行い、「男女における教育の機会均等を確保しながら、共学化について主体的に検討していく」と、共学化を推進していくということになりました。

では、全国で男女別学がどのくらいあり、どう変わってきているのか。また、埼玉県はいつから共学に踏み切っていくのかをみていきます。

男女共同参画が推し進められていく中で、男女別学はどんどんと減ってきています。都道府県を見ていくと、公立高校はほとんどの県で共学になっているというのが現状です。

その中で、関東を見ていくと、男女別学の学校は結構残っています。

今回、問題になっている埼玉県は16校の男女別学があったところから12校に減りましたが、減りは少ないです。

群馬県は23校から12校に減りましたが、来年度までに10校を目指すということです。

栃木県は19校から8校に。千葉県は13校から2校に減っています。

茨城県、東京都、神奈川県は0校なんです。

共学化について、現役の中学生・高校生はどう考える?

小笠原キャスター:
当事者たちはどう見ているかみていきます。

共学化に賛成の市民団体は、

「社会的なリーダーになるためには、高校生活の中で(男女が)対等な人間として経験を積むことが大事」
「履歴書に書いてある出身高校名で、性的マイノリティが意思に反して明かされてしまう懸念」

一方、共学化に反対している卒業生は、

「男女別学は多様な選択肢の一つである」
「女子校の方が女子のリーダーを育てやすく、理系進学者も多い」

ということで意見が分かれています。

さらに、現役の中高生はどう思っているのか。

中学生は、「共学化した方がよい」が18.7%、「共学化しない方がよい」が19.3%、「どちらでもよい」が56.2%。

「共学化した方がよい」と「共学化しない方がよい」がほぼ一緒なんですね。

高校生は、「共学化した方がよい」が7.8%、「共学化しない方がよい」が57.2%、「どちらでもよい」が33.2%。

“共学化反対”の理由として、

「共学校や男女別学校の両方を選べる方がいい」
「伝統の尊重や学校の雰囲気の維持ができなくなる」

このような意見を学生たちは持っているということです。

井上貴博キャスター:
個人的には、男子校・女子高という選択肢があったほうが多様性を尊重できると思うんですが、議論の出発点としてわからないのが、「一つの学校単体で多様性を求めている」のか、「地域全体で多様性を求めている」のかです。

一つの学校で多様性を求めるんだったら共学化しかないと思うんです。でも、地域全体で多様性を求める議論だとすると、男子校・女子高があった方が多様性があるんじゃないかなと思うんですが。

歴史・時代小説家 今村翔吾さん:
僕はこのアンケートが全ての答えな気がします。

「未成年だから判断ができていない」というような意見もあるかもしれないですが、実際、現役の中高生が「共学化しない方がよい」と言っているのだから、そっちの意見を優先すべきな気もします。

ホラン千秋キャスター:
あとは、普通科ではなく、特別な学科が男子校・女子高にあるということで、本当はそのスキルを高校生のときから学びたいのに、性別で排除されてしまうというようなことがあるのであれば、確かに、そこは共学化していってもいいのかなと思います。

ですが、埼玉県で共学の公立高校が150校ぐらいある中の12校だとしたら、10%弱なわけじゃないですか。そうなると、「やっぱり同性の方が安心する」という子もいると思うんです。そういう子どもたちの居場所の選択肢として、少しは残してもいいんじゃないかなという気持ちもある。

小笠原キャスター:
中高生からなぜ“共学化反対”の意見があるのか。

中学生
「共学化により志望倍率があがってしまうから」

高校生
「異性に対して苦手・恐怖心を持っている生徒が、安心して学校生活を送ることができる」

女子高に通う高校生
「共学だと異性の目が気になったり、自分の素が出せないところがある。女子校だと自分の素が出せる」

本当に学生らしい意見だと思います。

埼玉県の共学化はいつから始まる?

小笠原キャスター:
実は、男女別学をめぐり、埼玉県では2002年度にも勧告がありましたが、県の報告で、「当面は“別学”を現状維持。共学化の場合、積極的に支援」というところ止まりでした。

それが今回は、「共学化について主体的に検討していく」というものに変わったということなんです。

共学化への対応については、県民の意識を把握するために、▼アンケートや地域別の意見交換、▼有識者からの意見を聞いていくということです。

共学はいつからなのかという質問も出ましたが、「ゴールを設定して決めているわけではない」ということで、どのように進んでいくのかはまだ不透明です。

今村さん:
選択肢はあった方がいいと思います。

「法的な問題があって」というのであれば、埼玉県の12校でパートナーシップを結んで、男子校舎・女子校舎のようにして同じ学校になってもいいと思います。

反対意見がある以上は、選ばせてあげたいなと僕は思います。

井上キャスター:
現状の起点としては、偏差値の良い進学校が男子校で、「そこに女子が入れないのは差別じゃないか」ということの起点だったと思うんですが、今は女子高でも同じくらいの進学校が埼玉県にはあって、共学の進学校もあって、偏差値がほぼ変わらなくなってきていると考えると、(男女別学を残す)選択肢はあるんじゃないかなとも思ってしまいますね。

==========
<プロフィール>
今村翔吾 さん
「塞王の楯」で第166回直木賞受賞
歴史・時代小説家
30歳までダンス講師

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