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コーヒー、紅茶、プーアル茶・・・飲んでも見ても楽しい世界遺産

TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年9月1日 10時0分

TBS NEWS DIG

アンデス山脈に広がるコーヒー畑「コロンビアのコーヒーの文化的景観」

世界遺産というと遺跡や宮殿といった建造物、もしくは巨大な滝や氷河などの大自然というイメージですが、コーヒーやお茶といった飲み物に関わるものも結構あります。

そのひとつが、コロンビアの文化遺産「コロンビアのコーヒーの文化的景観」。アンデス山脈の高地に広がるコーヒー畑や農園が作り出す景観が世界遺産になっています。

斜度40度にもなる急斜面のため機械を導入できず、さらにコーヒーの実はひとつひとつ熟すタイミングが違うため、手摘みで選別しながら収穫していくという全くの手作業です。農園のほとんどが家族経営で、100年間、代々コーヒーを育ててきました。

コーヒーの実からはふたつの種が採れ、それを発酵・乾燥させます。農家はそれを「コーヒー・ハイウェイ」と呼ばれる道路で街へ出荷。

番組「世界遺産」ではコーヒーが集積されるマニサレスという街も撮影したのですが、コーヒーが生み、コーヒーによって栄えている街です。

コロンビアの人たちはコーヒー好きで、街の各所にカフェがあり、四駆を改造した移動カフェも街角に現れます。さらに国民みんなが知っているコロンビア・コーヒーのイメージキャラクター(ソンブレロみたいなつば広の帽子をかぶった髭のおじさん。常にラバと一緒にいる)までいて、独特のコーヒー文化があります。

こうしたコロンビアのコーヒー文化の象徴としての価値も認められて、アンデスのコーヒー畑と農園は世界遺産になったわけです。

1000年以上にわたり少数民族が栽培「普洱の景邁山古茶林の文化的景観」

コーヒーと並ぶ嗜好品飲料のお茶。その発祥は中国ですが、世界遺産になっているのが「普洱(プーアル)の景邁山古茶林の文化的景観」。

景邁山は雲南省普洱市にあり、1000年以上にわたって少数民族がプーアル茶を栽培してきました。そのため茶の古木が残っているのが特徴です。

2023年、サウジアラビアのリヤドで開かれた世界遺産委員会(年に一回開催される国際会議で、新しい世界遺産を決めるなど、世界遺産に関する最高議決機関)で世界遺産に登録されたのですが、参加者へのPRのため鮮やかな民族衣装の女性たちが、プーアル茶を振る舞っていたのが印象的でした。

ワインのような長期熟成が特徴で、年を経るにつれて味も変化し、数十年を超えるビンテージものもあります。ネットで調べると「30年物」は1グラムで数千円もする高価さなので、こうした点もビンテージワインと似ています。

もうひとつの特徴が「茶餅」という茶を固めたタイプがあること。円盤状なのは保存と持ち運びのしやすさからで、古くから交易品だった中国茶ならではの形です。

世界最古の山岳鉄道「ダージリン・ヒマラヤ鉄道」

この中国のお茶に魅せられたのがイギリス人。19世紀、植民地だったインドのダージリンに、中国から持ってきた木を植えて紅茶の栽培を始めました。

生産した紅茶の運搬のために生まれたのが、世界遺産「ダージリン・ヒマラヤ鉄道」。世界最古の山岳鉄道で、今でも一部で蒸気機関車が走っています。

番組でも撮影したのですが、「トイトレイン」と呼ばれる小さな機関車が狭い街の中を縫うようにして走り、まるで日本の路面電車のようでした。のちにニルギリ山岳鉄道とカールカー=シムラー鉄道という他の山岳鉄道が2つ追加されて、「インドの山岳鉄道」という世界遺産になっています。

コロンビアのコーヒーと雲南省のプーアル茶の世界遺産名には、共に「文化的景観」と付いています。これは英語のCultural landscapeを直訳したものですが、自然の中での人間の営みが生んだ景観のことで「人と自然の共同作品」とも言われます。

コロンビアの場合は、アンデス山脈の急斜面でのコーヒー栽培という人の営みが生みだした景観。プーアル茶の場合は、雲南省の山で、少数民族が1000年以上も続けている茶の栽培が生み出した景観。

コーヒーとお茶という嗜好品に魅せられた人類。その嗜好品を得るための営みが生み出した景観が、世界遺産になったわけです。

執筆者:TBSテレビ「世界遺産」プロデューサー 堤 慶太

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