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待望の新米に行列も…「5キロ3000円は高い」 精米店ではコメ不足に「泣きながら買いに来る」 価格高騰の要因は“競争力”【news23】

TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年9月4日 13時0分

TBS NEWS DIG

深刻なコメ不足は、新米が入荷し始め順次解消されていく見通しですが、心配なのが価格です。千葉県産のコシヒカリ5キロで、去年は2646円でしたが、今年の新米は810円高い3456円で販売していました。こうした価格の高騰はいつまで続くのでしょうか?

■新米に行列「泣きながら買いに来る」

開店10分前にも関わらず、お店には20人以上のお客さんがお米を求めて並び、販売分60袋がわずか20分で完売しました。

新米を購入した客
「念願でしたね。5キロ3000円は高いなと思うけど、あるに越したことはないです」

都内のスーパーでも、待望の新米入荷にさっそく多くの人が買い求めていました。

農林水産省によると、7月末時点のコメの民間在庫量は82万トンで、2023年の同じ時期を40万トン下回る水準となっていましたが、坂本哲志農林水産大臣は3日、「米の品薄は順次回復していく見込みだ」と話しました。一方で…

坂本哲志 農林水産大臣
「新米の価格については、この品薄状態でありますので、平年よりも多少の割高感はあるというふうに思っております」

江東区にある、みなと精米店では8月30日に新米が入荷しましたが2023年に比べて3割ほど価格が上がっているといいます。去年のお米は既にほとんどなく、新米を入荷し始めたものの、まだ量が少ないと話します。

――いま、お店として在庫はまだ足りてないっていう状態ですか?

みなと精米店 湊時雄 店主
「スレスレ。みんな泣きながら(買いに)来るんだから、売らないわけにはいかないじゃない」

今年初めて入荷した千葉県産コシヒカリは、販売価格で5キロ3456円。去年に比べて810円値上がりしました。

――これだけ新米が去年に比べて(価格が)上がるってことはこれまでありましたか?

みなと精米店 湊時雄 店主
「ないね。だけどお客さんは『高くても良いから新米くれ』という人もいるよね」

店主の湊さんは、2週間ほどで在庫は落ち着く見通しだと話す一方で、一度上がった価格が下がることは考えづらいと話しました。

なぜ、ここまで新米の価格が高騰しているのでしょうか?要因の1つがやはり今のコメ不足にあると専門家は言います。

■新米価格なぜ高騰?「数週間ではおさまらない」

日本国際学園大学 荒幡克己 教授
「業者の方で『何としても早く棚に並べたい』というスーパーの声を受けて、卸売業者が産地と交渉して、少しでも早く、少しでも多めに確保しようという競争が生じてるわけです」

米の流通ルートは主に2つ。大半はJAなどを通じて消費者のもとに届けられますが、JA以外の業者が「高い価格でも新米を早く手に入れたい」と仕入れ値を引き上げているといいます。

日本国際学園大学 荒幡克己教授
「そうすると、農協(JA)からそうでない方に(米の流通)ルートが逃げるわけですから、農協としても、何としても集荷率を確保しようということで、概算金を高めに提示せざるを得ない

「概算金」とは、JAグループが米を収穫する際に農家に支払う、いわば仕入れ値のようなもの。つまり、高値で仕入れる一部の業者に新米が集中しないようにするため、業界全体として仕入れ値が上がっているのです。

概算金は、主要な産地で去年より2割〜4割引き上がっているため、それに伴って販売価格も高騰しているのだと言います。

日本国際学園大学 荒幡克己教授
概算金が高めに設定される傾向があるので、それを仕入れて店頭に並べるスーパーも高い価格をつけざるを得ないわけです。数週間では収まらないと思います。もう少し先まで高めの価格は続く可能性はあると思います」

■新米価格の高騰いつまで? “コメ不足”の余波

小川彩佳キャスター
農水大臣は「このコメ不足は近いうちに解消する」と言っていましたが、価格が高まってくると、また不安感が広がっていきそうですね。

小説家 真山仁さん
経済の発想から言えば、足りないから値上がりしてしまうわけですよね。ところが、9月3日に農水省が2024年度の1月〜7月の米の輸出高は過去最高だと言っています。

輸出してるお米は今まで一番多いのに、なぜ国内でコメの高騰が起きるかというと、輸出のコメは絶対に国内に還流できないんです。10年ほど前に農業で輸出している方ばかり取材したことがありました。「ここは国内用として使ってはいけない田んぼ」といったルールがあるので、どれだけ足りなくなってもその米は輸出用にしか使えないのです。

小川彩佳キャスター
それは臨機応変にはできないのですか?

小説家 真山仁さん
制度もあるし、法律もあるのでできないんです。

なので今回見てわかるのは、なぜもっと普通の経済の流れのようにできないのかなと。「輸出してるものをとめて、国内のお米に回せばいい」という単純なことなんですよ。

農水大臣が言う「割高感」、何を言ってるんだと思います。そもそも、もう少し農業のことを勉強して、もっと自由な制度を作って、足りないときは輸出用のコメを回せば、こんなこと起きないんですよ。

小川彩佳キャスター
制度自体の仕組みの見直しというのが必要になってくる?

小説家 真山仁さん
まだ昭和の時代で止まっている印象がありますね。

==========
<プロフィール>
真山仁さん
小説家
「ハゲタカ」「ロッキード」など
最新著書に「疑う力」

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