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多様化する職場で「カルチャーフィット」が重要な理由

TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年9月7日 9時0分

TBS NEWS DIG

働き方、働く意義が多様化していく中、職場での「カルチャーフィット」の重要性が高まっている。株式会社リトプラの代表取締役、後藤貴史氏が学生たちから「逆面接」を受ける形での対談から、その意義と具体的な取り組みについて深く掘り下げる。

株式会社リトプラは、最新のデジタル技術を活用した子ども向け屋内型テーマパーク「リトルプラネット」を全国に展開するスタートアップだ。

かつて学生時代に起業し、ゲーム開発会社を経営していた後藤氏は、経験を活かして、屋内で楽しめる様々なエンターテインメントコンテンツを提供する施設を展開しているが、その背景には、子どもたちの遊ぶ場所の少なさや公園の遊具の少なさに課題を感じ、子どもも大人も一緒に遊べる施設を作りたいという思いがあったという。

創業から8年、コロナ禍を乗り越えながら、現在直営パークやライセンスパーク合わせて国内外に14の施設を展開しているが、その拡大の原動力となったのは、社員の事業に対する熱意とモチベーションの高さだという。

採用で大事にしていること

「私の場合は、自分だけじゃなくて、それまでに面接した人がどれだけ強く推薦してくるかを見ています。」

後藤氏は採用面接の際、メンバーたちが対象者とどれくらい一緒に働きたいと思うか、現場にフィットするかに着目し、前段階で面談したメンバーの感覚を重要視しているという。

「もちろん技術も大事ですけど、カルチャーフィット、つまり会社の文化や雰囲気、これから作っていきたいカルチャーに対してどういうマッチをしてくれそうか、というのを現場の人たちも私も含めて見ているので、そこにフィットしそうな人っていうのはやっぱり推薦の度合いも高くなってきます。」

そのため、後藤氏が面接する際には、メンバーの推薦してきたポイントに着目しつつ、相手の趣味や休日にしていることなど、仕事と関係ない部分を聞き、興味やモチベーションの源泉を探っていくという。

過去の失敗から学んだ教訓

カルチャーフィットを重要視するようになった背景には、過去に経営していた会社で経験したある失敗があると後藤氏は語る。

「1社目の時はまだ20代で経営者としても未熟でした。人を増やさないと会社が回らないからと、採用の大切さも意識しないまま、1年間で100人くらい採用したことがあったんですけど、その採用した人が半年で半分になっちゃったことがある。毎日毎日朝起きるとチャットが入っていて、そのほとんどが退職したいという話で、1日の8割は採用面接か退職面談かという状態になったんです。」

そうした時間的にもメンタル的にも追い込まれた苦い経験を教訓に、後藤氏はその後の採用では一人一人に向き合い、「本当に長く、一緒に働ける人か、本人も長く働いた方が幸せになるか」ということを大事にみるようになったという。

コロナ禍での決断とモチベーション

実店舗展開を主軸としていたリトプラはコロナ禍による来場者の激減で、店舗事業を売却するか閉じるかの選択に迫られるほどの打撃を受けたが、後藤氏は事業を続ける決断をした。

「1番辛いタイミングでしたね。けど、やはり祖業だったので、仮にこの事業を切り離して会社が生き残ったとしても、何のために皆が集まってやっているのか、ということをまた1から考えなきゃいけなくなるし、それは一緒にやってくれている人たちからするとモチベーションの源泉がなくなってしまうことなので、なんとか店舗事業を残す形を選びました。」

そんなコロナ禍という苦境を乗り越える支えになったのも社員たちの存在だったという。

「社員たちもあの時やめようと思えば、いつでも転職できたはずなんです。けど、そうじゃなく、結局多くの方が残ってくれました。事業が好き、とか自分のモチベーションがそこにあると思ってくれていた方が一定いてくれたのかな、と思っています。」

カルチャーフィットを意識した採用で、コロナ禍でも多くの社員が残り、結果的にV字回復に至る原動力となった。その礎にある企業カルチャーを築いていく中にも後藤氏の意識していることがあるという。

「1社目のゲーム会社はバイアウトしましたが、今回、もう一度自分の会社をつくる中では、『長く続く会社』ということをすごく大事にしています。仮に自分以外の人が経営したとしても続いていける会社であるべき、と考えたときに、私の個性を強く出しすぎてしまうと、引き継いでいけなくなってしまう、という考えがわりと最初からあったので、会社としてのスタンスはあるけど、『自分としてはこうなんだ』というのはなるべく隠していたりします。」

同業者は「競合」ではなく「仲間」

年間出生数約70万人という少子化が進む中、子どもを対象とする業界を切り拓く経営者として、後藤氏が考える「業界の未来地図」を聞いた。

「少子化というのが日本の特徴になっていますけど、ただマーケットサイズで見ると、レジャー・エンターテインメントと保育、この2つはずっと右肩上がりになっているんですね。お子さんが生まれてくる数は少ないんですけれど、1人当たりにかける金額は、教育やエンターテインメントは年々上がっているというところが背景にあります。

つまりひとりひとりの子どもたちがすごく大事になってきますし、その子どもたちがしっかりと自分たちの未来を描いていけるような事業を提供していきたいと思っています。

少子化だからマーケットがシュリンクしていくよね、という目線ではなく、そこで一緒に頑張ってる同じ事業者たちも、競合というよりは仲間という意識で一緒に業界を盛り上げていきたいなと思っています。」

◆株式会社リトプラ 代表取締役 後藤貴史

1985年静岡県生まれ。
日本大学芸術学部在学中の2007年に株式会社ポケラボを創業。
ゲーム事業を中心に事業拡大し、2012年グリー株式会社と戦略的業務提携、グリーグループとなる。
2016年ポケラボ/グリーを退職後、株式会社リトプラを創業。
2018年に屋内型テーマパーク「リトルプラネット」の常設第一号店をオープン。

以来、リトルプラネットのほか「TOYLO PARK powered by リトルプラネット」「Muchu Planet」など複数ブランドを国内/海外に展開。XRやAIテクノロジーとゲーミフィケーションを融合した独自のアトラクション・コンテンツ開発からパーク運営までを行う。

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