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「学校に行かなくても人生が終わるわけではない」不登校に苦しんだ若き僧侶が伝えたい言葉【news23】

TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年9月6日 16時25分

TBS NEWS DIG

夏休みが明け、子どもたちの気持ちが不安定になりやすいこの時期。自らも不登校に苦しんだ過去を持つ若き僧侶が、今だからこそ、子どもたちとその周りの大人に伝えたいメッセージです。

仏の教えを多くの人たちへ

「子どもの頃からずっと好きなのが白子のみそ汁…笑」

片岡妙晶(みょうしょう)さん、29歳。そんな彼女の「ライフワーク」は…

片岡妙晶さん
「『一蓮托生』という言葉があって、これは生きている人みんなお浄土に行ったら、同じ蓮の花から生まれてくるよ、同じ場所に行けるよという意味なんです」

仏の教えを一般の人たちに伝える「法話」です。

片岡妙晶さん
「仏様も同じ、みんなのことを可愛く思っている」

得意のイラストでビジュアル化したり…時に、髪を緑色に染めたり…

僧侶として語り伝えるだけでなく、ひたすら耳を傾けることも。

片岡妙晶さん
「自分の声も他者の声も、とりあえずはひとまず聞く、受け入れる」
「ひたすら聞いて、飲み込んで、味わって、腑に落としていく。それが私たちの仕事」

室町時代から500年続く、慈泉寺。

片岡妙晶さん
「お線香を一本上げて、それがなくなるまでお経を唱える。お経の意味どうこうより、トレーニング的にこの時間はちゃんとやる。別に仏さん怒らんやろと」
「途中が猫が来てましたね」

この寺の長女として生まれた妙晶さん。仏の教えを、様々な場所に出向いて広める「布教使」として活動しています。

多くの人の前で教えを説く日々。そのきっかけとなったひとつが、子どものころのエピソードにありました。

不登校に苦しんだ過去 救った「一言」

片岡妙晶さん
「学校あれです。なつかしい。ぷつっと完全に行かなくなったのは小学校5年生ぐらい。何で行かなきゃ行けないのかわからないし、その環境が別に快適なわけでもなかったから、耐えなきゃいけない理由もわからない」

小学校からはじまった不登校。学校へ行く意味を見いだせず、周囲の理解も得られない中、ある日、声をかけてくれたのが、祖父・正和さんでした。

片岡妙晶さん
「祖父だけは違っていて、学校休んでお昼ごろ、部屋に籠もっていた時にがらっと部屋に来て、『せっかく学校休んどんのに、なんで遊びにいかんのや』って。学校に行かない云々とか全く気にしていなかった。学校に行かないことではなくて、せっかく得た自由な時間を無駄にしていると言うことを叱ってくれた」

「これはなんか、本当に私のことを考えてくれてるなと、そこに割と感銘を受けたというか、私もそういうモノの見方、『常識にとらわれて物事をはかって、その上で人に何かを言うのではなく、ちゃんとその人自身と向き合って、その人に何を言うべきか』。そういった向き合い方ができる僧侶になりたいなというのは、ずっと胸には思っている」

常に気にかけてくれているわけではなかった。けれど、見捨てることもなかった。
先代の住職でもあった祖父との何気ないやりとりが、少しだけ妙晶さんの心を軽くしたといいます。

その後、祖父の背中を追うようにして、妙晶さんは仏教の専門学校へ進学。
布教使となった今では、全国各地のお寺だけでなく、声がかかれば、カフェや居酒屋でも法話を行います。そこには、多くの若者の姿もありました。

「学校行かなくても人生は終わらない」

こうした活動が広がり、フリースクールなどの職員として、子どもたちのサポートにあたったことも。

生徒
「楽しい仕事して稼いでる人すごい」

片岡妙晶さん
「まじでそう思う」

生徒
「それができたら一番うれしいけど、世の中そんな甘くないらしい。大変そう。だから大人になりたくない」

片岡妙晶さん
「多分不安になっているのも、本当に学校に行けないとか、それに対して悩んでいるというよりも、やばいと思っている大人に影響されてそうなんだと思い込んでる部分が多い。『そんなことはない』と、実際に何とかなっている私自身を見て安心してもらえたらいいな。(学校に)行かないという選択肢をとったとしても、別に人生が終わるわけではないことを子どもはもちろん、大人にこそ知ってほしい」

夏休み明けの今 伝えたいメッセージ

夏休み。香川県内のお寺に集まった小学生たち。

片岡妙晶さん
「みなさん、こんにちは」

妙晶さんは、子どもたちに向けた法話を行いました。

片岡妙晶さん
「合掌はどういう意味か知っていますか?右手が仏様、左手は私たち。仏さんと私たちが一緒になって、生きている命をいただいて、私だけの身体ではない。仏さんが宿っとるというのをこの合掌のポーズが表している」

法話の内容は、季節や参加者の年齢に合わせ、毎回イチから作り上げます。

片岡妙晶さん
「子どもは楽しむことが仕事なんです」

「何かひとつでも心に残ってほしい」と、わかりやすい言葉を心がけます。

子どもたち
「手を合わせていただきますという意味がよくわかりました」
「食べるものに関する感謝の大切さを知りました」

長い夏休みが明け、子どもたちの気持ちが不安定になりやすいこの時期。だからこそ伝えたい、妙晶さんの法話です。

片岡妙晶さん
「仏教には『無碍の一道』という教えがあります。無碍とは、障りがないという意味です。障りがないとは『教えに出会った人は何ものにも妨げられることのない、まっすぐな道を歩んでいくことができる』という意味の教えです」

「しかし、ここで言う“障り”“妨げ”とは、『私を邪魔する誰か』という意味ではありません。これは己の疑う心を意味します。
例えるなら、自分が今向き合っている出来事や、自分自身の人生を『このままでいいのだろうか』『私なんていない方がいいんじゃないか』と疑い不安になる心を、“障り”“妨げ”というのです。
私たち人間は、誰もが自分ひとりの命、また力だけでは生きていくことができません。私が今生きられているということは、『私を生かしたい』『ここにいてほしい』と願う誰かの思いの証なのです」

「皆さまもこれからたくさん不安になったり、苦しんだり、悩んだりすることがあると思いますけれども、『疑うことなく願いを信じて』苦難を乗り越えていきましょう。本日はようこそのお参りでございました」

小川彩佳キャスター:
「今生きられているということは、ここにいてほしいと願う誰かの思いの証」
優しく心に染み渡るような言葉でしたね。

藤森祥平キャスター:
大切な言葉にしたいですね。

田中ウルヴェ京さん:
妙晶さんの語りの間が絶妙で、言葉の重みとか深みをすごく知ってる方なんだろうなと思いました。おじいさまからの救われた一言もあると思いますし、やはり印象的だったのは、「聞いて飲み込んで味わって腑に落としていく」。人の言葉をそのように聞ける方がいるだけで、人は本当に安心できるのだとすごく思いました。

小川彩佳キャスター:
居場所がないという悩みを抱える方も多いと思いますが、こうした場所が開かれていて、こうして言葉を語りかけてくださる方がいると知るだけで、心の荷が少し軽くなるようにも感じます。

==========
<プロフィール>
田中ウルヴェ京さん
スポーツ心理学者(博士)
五輪メダリスト
慶應義塾大学特任准教授
こころの学びコミュニティ「iMiA(イミア)」主宰

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