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成立すれば“全国初” 東京都が「カスハラ防止条例案」を提出 正当なクレームの“線引き”は?【Nスタ解説】

TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年9月18日 20時41分

TBS NEWS DIG

「カスタマーハラスメント」、いわゆる“カスハラ”を防ぐ条例案が東京都議会に提出されました。成立すれば全国で初めてとなります。どのような行為が“カスハラ”にあたるのでしょうか。

 成立すれば“全国初” 東京都議会「カスハラ」防止条例案を提出

井上貴博キャスター:
18日、東京都は都議会にカスハラを防止する条例案を提出しました。成立すれば全国初めての条例となります。▼民間だけではなく公的機関も対象、▼違反者への罰則はありません。カスハラ禁止を明示し、抑止効果を期待するもので、今後、具体例を示した「ガイドライン」を作成していきます。

どのような行為が“カスハラ”にあたるのか

威圧的な言動


・従業員個人への攻撃・要求
土下座の要求
・拘束的な行動、居座り など

しかし、これらの例も抽象的なのでどう具体化していくのか、次のハードルかもしれません。

ホラン千秋キャスター:
なかなか数値化できないので、「どこからがカスハラになるのか」が難しい中、罰則はないが抑止力を期待する、あるいは条例ができることにより助けを求めやすいなど、好転する部分は何かあるのでしょうか。

弁護士 萩谷麻衣子さん:
もちろんあると思います。私が今まで相談を受けてきた企業の中でも、消費者からのクレームは、営業担当やクレーム係など、割と個人で担当していることが意外と多いです。

今回の条例では、企業が従業員を守るためにカスハラ防止対策を取らなければいけない。その責務が明らかになったことが重要だと思います。

そのため、クレームを従業員の個人に任せるのではなく、企業として指針を作り、クレームが来たらそれが不当なクレームなのか、きちんと対応して判断する。そういう体制を組まなければいけないということになったことが、非常に大きいと思います。

井上キャスター:
こういったニュースには「すぐに実効性はあるのか」といういぶかる声が出がちですが、東京都が一歩踏み出せば、神奈川や北海道など検討している自治体が続くかもしれない。

データが蓄積され、線引きがある程度見えてきたら、ゆくゆくは罰則を付けることも可能になってくるのでしょうか。

萩谷麻衣子さん:
可能性は十分あると思います。ただ、今のところカスハラの多い地域とあまりない地域では全国的に差があるので、まずはカスハラが多い東京都からだと思います。そのうち法律として罰則付きで抑止を働かせるという必要性が出てくる可能性もあると思います。

「正当なクレーム」と「カスハラ」線引きは?

井上キャスター:
「正当なクレーム」と「カスハラ」の線引きはどうするのか。関西大学社会学部の池内裕美教授に話を聞きました。

【注文した料理と違う料理が運ばれてきた場合】
▼正当なクレーム
「注文した料理と違うのですが…」と店員に言う。
▼“カスハラ”の可能性
「間違ったんだから、無料にして!」:過剰な要求は“カスハラ”の可能性
チッ!こんなの頼んでいない」:舌打ち・ため息で恐怖心
「お前じゃダメだ。責任者を連れてこい」:店員の人格を否定

池内教授は「正当なクレームであっても、店員が恐怖を感じたら“カスハラ”になる可能性がある。“お客様は神様”という考えを改めるべき」と話しています。

萩谷麻衣子さん:
池内教授は、「受け手次第で正当なクレームもカスハラになる可能性がある」といっているのではなく、威圧的に脅すような態度をするということは、客観的に見て恐怖を感じます。そういうのはカスハラになる、ということを言っているのだと思います。

ホランキャスター:
確かに、先ほどの例にあったように「注文した料理と違うのですが…」ということと、「チッ!こんなの頼んでいない」というのは、結局伝えている内容は一緒ですね。

萩谷麻衣子さん:
「こんなの頼んでないんです」と言うのと、「馬鹿野郎!頼んでねーよ!」と言うのは、同じことを言っていますが、威圧的になればそれはカスハラになる可能性はある。

ホランキャスター:
周りのお客さんが見ても「なんか不穏な空気になりつつあるな」という状況になると、それはカスハラになる可能性があるということですね。

“カスハラ”内容を即座にテキスト化 AIを使った対策も

井上キャスター:
企業側の“カスハラ”対策としてAIを使う取り組みが行われています。

損害保険大手「三井住友海上火災保険」では、顧客との通話内容から暴言などの“カスハラワード”をAIが検知。カスハラの内容をテキスト化し、管理する上司らへメールで通知を行うことができる。そうすることで、対応している従業員も、その場で何かできなくても証拠が残るので、自分を守ってもらえるんじゃないかと安心できる。こういう取り組みも広がっています。

ホランキャスター:
怒りを感じていても、それをどう伝えるかというのは消費者側としても常に意識しなければいけないと思います。

萩谷麻衣子さん:
今回の条例で罰則はないにしても「カスハラは駄目なんだ」ということを周知していくのであれば、それだけでも効果が大きいなと思います。

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<プロフィール>
萩谷麻衣子さん
弁護士
結婚・遺産相続などの一般民事や、企業法務を数多く担当

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