ノーベル平和賞に「日本被団協」 世界が評価した「核のタブー」とは?【サンデーモーニング】
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年10月13日 16時24分
10月11日、今年のノーベル平和賞が発表され、68年にわたり、核兵器の廃絶を訴えてきた、「日本被団協」が選ばれました。世界が評価した、その活動とは。
「ノーモア・ヒバクシャ」 核保有国に直接語りかけ
ノーベル委員会 ヨルゲン委員長
「2024年のノーベル平和賞は、日本のニホンヒダンキョウ」
日本被団協 代表委員 箕牧智之さん
「日本被団協?電話せないけんわ」
今年のノーベル平和賞に選ばれたのは、日本被団協=日本原水爆被害者団体協議会です。広島や長崎の被爆者らでつくる全国組織です。
核廃絶に向けた長年の、草の根運動が評価されました。
ノーベル委員会 ヨルゲン委員長
「核兵器は80年近く戦争で使用されていません。日本被団協と被爆者団体による並々ならぬ努力は『核のタブー』確立に大いに貢献してきました」
核兵器の使用は道徳的に受け入れられない、という「核のタブー」。原爆投下から79年。日本被団協の歴史は、この「核のタブー」を世界に知らしめる歩みでした。
東西冷戦のさなかには、1982年の国連の軍縮総会で…
日本被団協 代表委員(当時) 山口仙二さん
「ノーモア・ヒロシマ。ノーモア・ナガサキ。ノーモア・ウォー。ノーモア・ヒバクシャ」
『ヒバクシャ』という日本語を、世界に定着させ、また度々、核保有国に、直接語りかけてきました。
「ネバーギブアップ!」 その思いとは別の方向へ
日本被団協 代表委員(2005年当時) 坪井直さん
「原爆の最大の被害は、例え生き残っても精神的・身体的な人間破壊は生涯続くのです」
そして、その活動は、世界の首脳の気持ちを突き動かし、2016年、アメリカの現職大統領が、初めて広島を訪れることになります。
20歳で被爆し、代表委員を務めた坪井直さん(当時91歳)は、「核なき世界」を訴え、平和賞を受賞したオバマ大統領に「一緒に頑張りましょう」と声をかけたそうです。
日本被団協 代表委員(当時) 坪井直さん
「あきらめるなよ、ネバーギブアップ!」
しかし、その思いとは別の方向へ、世界、そして日本も進んでいきます。
2017年、122か国の賛成で「核兵器禁止条約」が採択されましたが、その場に核保有国の姿も、唯一の被爆国・日本の姿もなかったのです。
そして今、世界は再び「核の脅威」に迫られています。ウクライナへの軍事侵攻を続けるプーチン大統領は「核の威嚇」を続け、北朝鮮もまた、核兵器の使用をためらわないと脅しをかけています。
さらに中東では、核保有国のイスラエルが戦線を拡大。中でもガザでは、子どもを巻き込む攻撃が長期化しています。
日本被団協の箕牧智之さんは、3歳の時、広島で被爆しました。
日本被団協 代表委員 箕牧智之さん
「ガザの子どもが血いっぱい出して抱かれとる。80年前の日本と同じよ。重なりますよ」
坪井さんの思いを引き継ぐ24歳
日本被団協がノーベル平和賞を受賞する理由のひとつが、「新たな世代への継承」がなされていることでした。
その一人が、広島出身の高橋悠太さんです。
一般社団法人「かたわら」代表理事 高橋悠太さん(24)
「私が中学校3年生の時に被爆者の坪井直さんから聞き取りをして、まとめた冊子です」
中学生の時に坪井直さんと出会い、直接話を聞いたことをきっかけに、核廃絶に向けた活動を始めました。
高橋悠太さん(NPT会議・2022年)
「核兵器がある限り、すべての戦争は核戦争に発展する危険があるのです」
ニューヨークで行われるNPT会議や核禁条約にも出席。坪井さんの思いを引き継いでいます。
一般社団法人「かたわら」代表理事 高橋悠太さん(24)
「これから、あなたたちの時代なんだと託されました。被爆者と出会えた最後の世代になる、私たち若い世代の責任ではないかと思います。坪井さんもネバーギブアップという言葉をずっと使っていて、たとえ過酷な状況でも、諦めることなく核兵器廃絶という目標を実現していきたい」
原爆投下から来年で80年。平和賞の受賞決定は、変化へのスタートラインとなるのでしょうか。
(「サンデーモーニング」2024年10月13日放送より)
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