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「鳥貴族」国内外で“出店攻勢”のワケ 大倉社長「“焼き鳥”という言語を世界に広める」【Bizスクエア】

TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年10月16日 7時0分

TBS NEWS DIG

居酒屋チェーンで店舗数1位の「鳥貴族」がコロナ禍を経て、国内外で出店攻勢をかけている。社名を鳥貴族から「エターナルホスピタリティグループ」に変更し、第2の創業と語る大倉忠司社長に、さらなる成長戦略について聞いた。

「鳥貴族」大倉忠司社長に聞く 新型コロナ乗り越え出店攻勢

東北エリアにこれまで出店していなかった「鳥貴族」。2023年12月、宮城県仙台市に東北エリア1号店がオープンした。来店客は「みんな370円。いっぱい頼めるし、お腹もいっぱいになる」「用事があったので、青森の弘前から来た。(地元に)早くできないかな」という。

鳥貴族は、現在、国内643店舗。居酒屋チェーンとしては1位を誇る。運営するのはエターナルホスピタリティグループ。

2030年までに国内1000店舗という目標を掲げ、グループを率いるのは、大倉忠司社長。
2017年の対談で「焼き鳥で世の中を明るくしたい」と語っていた大倉社長。この7年間で社会は大きく変化した。

――7年前に「低価格路線で急成長して、株式も上場」というタイミングでインタビューをした。その後、コロナ禍など大変ではなかったか?

エターナルホスピタリティグループ 大倉忠司社長:
コロナみたいなものは、想定もしていなかった。創業1年目以来の、ちょっと倒産がちらついたこともあった。居酒屋というのは400年ぐらいの歴史がある。社会がいずれまた必要としてくれると、自信を持ってアフターコロナの戦略を考えていた。

――この間にインフレも進んだ。7年前に取材したときは、均一価格280円(税抜)ぐらいだった。何回か値上げしてインフレの影響はどうか。

エターナルホスピタリティグループ 大倉忠司社長:
現在は、税込で370円均一。3年連続上げていて、客数を含めてお客様には受け入れてもらったという感じ。価格を上げても認めてもらえるという支持を得ているブランドになってきている。

業績V字回復・そして国内の出店エリア拡大の理由

エターナルホスピタリティグループの2024年7月の通期決算では、売上高が419億円、営業利益が32億円とともに過去最高を記録している。

これまで鳥貴族の出店がなかった地方都市への進出を進め、東北エリアの拠点となる仙台は1号店のオープンから1年以内に4店舗を集中させ売り上げを伸ばしている。

――いま出店を強化しているのは、なぜか?

エターナルホスピタリティグループ 大倉忠司社長:
今までは東名阪をドミナント(集中して)出店していたが、飽和状態というか、出店余地も少なくなってきていた。直営では、福岡・仙台、フランチャイズ企業にはそれ以外に出てもらう。地方の進出店が想定以上にみんな好調。

エターナルホスピタリティグループは「鳥貴族」のほかに、2023年1月にサントリーホールディングスから買収した「やきとり大吉」も491店舗展開している。

――多チャンネルでいろんなアクセスを顧客にしていきたいということか。

エターナルホスピタリティグループ 大倉忠司社長:
「鳥貴族」だけでは全てのお客様に対応できない。鳥貴族は20代・30代の客が8割以上。「やきとり大吉」は逆に40代以上が強い。出店エリアも「鳥貴族」は、繁華街や駅近だが、「やきとり大吉」はどちらかというと住宅街。その辺ですごく住み分けできている。地域も、客層も全てに対応していける。やきとり大吉も含めて、焼き鳥屋グループとしてのもう一つ大きなブランドにしたい。日本において、客に(焼き鳥グループ)として絶対的な信頼・認知度を作りたい。

「鳥貴族」大倉忠司社長に聞く 焼き鳥で世界市場に挑戦

鳥貴族の出店攻勢は国内だけにとどまらない。9月28日に韓国・ソウル。韓国の若者が集まる弘大 (ホンデ) 地区に鳥貴族・韓国1号店がオープン。開店から多くの客でにぎわった。来店客は「値段が安くておいしい」「日本に行った時によく行っていた。コストパフォーマンスを考えるとかなり良い」という。年内にソウル市内に3店舗、2029年までには、韓国国内で300店舗と強気の出店計画を立てている。

――台湾には9月20日に「鳥貴族」1号店をオープン。韓国・台湾の反応はどうか。均一料金も同じか。

エターナルホスピタリティグループ 大倉忠司社長:
想定以上の大反響。(看板なども)ほぼ鳥貴族のまま。ただ価格は日本の370円均一ではなく、市場に合わせて400円後半~500円均一になっている。

――焼き鳥は、元々台湾の人も韓国の人も食べているものなのか?

エターナルホスピタリティグループ 大倉忠司社長:
インバウンドの影響が大きいと思っている。鳥貴族のことを日本に訪れて知ってもらった。だから思っていた以上に鳥貴族というブランド、そして焼き鳥の支持が大きかった。

さらに2024年12月にはアメリカのロサンゼルスに「TORIKIZOKU」を出店予定。看板は若干変えるが、「鳥貴族」という屋号、そして均一価格は維持するという。

――アメリカでの価格の想定は?

エターナルホスピタリティグループ 大倉忠司社長:
まだ確定ではないが、8ドル均一ぐらいを考えている。為替でいうと、約1200円になる。

――日本で370円のものが1200円。海外なら日本と比較できないほど儲けが出るか。

エターナルホスピタリティグループ 大倉忠司社長:
本当に上手くいけば売上利益は日本より上がる。米国や色々な国に視察行けば行くほど、やはりいろんな焼き鳥屋のニーズがあるとわかった。それは価格帯で、鳥貴族みたいに大衆的な市場、これもちろん一番大きいが、例えばミシュランの星を取るようなハイエンドのニーズもすごい。鳥貴族だと大衆的なところしかお客様のニーズに応えていけない。

こうした高価格帯のニーズに応えるため、2024年5月、福岡県を中心に「焼とりの八兵衛」を展開する「hachibei crew(ハチベイクルー)」と協業に向けて基本合意した。
「焼とりの八兵衛」は、客単価5000円前後でベトナムやフィリピンなど海外にも出店しており、今後、海外での高価格帯店舗の開発などで協力していくという。

hachibei crew 八島 且典 社長:
ベトナムとか(海外の)色々な都市で感じるのはやっぱり焼き鳥はまだマイナーなワードで、通じない。まだ誰も世界の人が「焼き鳥はこれだ」という答えがない中で(提携して)答えを作りに行くという目的もある。

エターナルホスピタリティグループ 大倉忠司社長:
「寿司」「ラーメン」というのはもう結構、世界的に広まっている。でもまだ「焼き鳥」という言葉・言語はそれほど広まっていない。「焼き鳥」という言語を世界に広める。いろんな焼き鳥屋とともに広げていきたい。

――日本の外食産業の強みは?

エターナルホスピタリティグループ 大倉忠司社長:
まず日本の客はいい意味で非常に厳しい。そして(コストダウンと価格維持の面で)デフレで鍛えられた。それと日本の強みである、おもてなしや接客、ホスピタリティ、その辺が強いのではないか。

――飲食産業は「国内産業」だというふうに思われてたが、「輸出産業」になり得るのか。

エターナルホスピタリティグループ 大倉忠司社長:
かつて日本の家電メーカーブランドが輝いている時代があった。これに成り代わる業界として外食はトップランナーだと思っている。

「たかが焼鳥屋で世の中を変えたいのです」。鳥貴族の各店舗には今でも、創業時からの変わらぬ理念がかかげられている。

――焼き鳥にこだわり続ける理由は?

エターナルホスピタリティグループ 大倉忠司社長:
長期的目線で見ると事業領域を定めた方が、効率が良いブランディングがしやすい。いろんな食材を使って、いろんな業態をするよりも、焼き鳥・チキンなら「エターナルホスピタリティグループ」だというブランディングは決めた方がいい。もっと言うと「世界一のチキングループ」にしたい。

――商売をやっている感覚として、もうデフレの時代には戻らないと思うか? 

エターナルホスピタリティグループ 大倉忠司社長:
戻らないと信じたい。でないと本当に日本はどんどん取り残される。とはいえ、一番大きい市場は大衆市場。そこに支持を得られなければ駄目だと思っている。今でも価格改定しながら、チェーン居酒屋の一番ボトムの客単価を抑えている。それも多くの客に(明るくなってもらうため)それはすごく大事にしたい。

「鳥貴族」大倉社長の挑戦 世界一の“チキングループ”へ

鳥貴族の業績。売上高と営業利益はコロナの影響で2021年、2022年と2年連続で営業赤字となったが、その後回復。2024年は売上高・営業利益ともにコロナ前を上回り、過去最高となった。

ニッセイ基礎研究所チーフエコノミスト 矢嶋康次氏:
地方出張行くと、駅前などで(鳥貴族の)黄色い看板見るとほっとする。すごいブランド力が強くなったという印象だ。

エターナルホスピタリティグループでは、店舗の急拡大を行っており、国内の「鳥貴族」643店舗、「やきとり大吉」491店舗、「TORIKI BUGER」2店舗となっている。そして鳥貴族に関しては2030年までに1000店舗まで拡大する方針だ。

海外出店は2024年9月に1号店をオープンした韓国は、2029年までに300店舗まで拡大する予定。そして台湾も毎年4、5店舗をオープン予定。そしてアメリカのロサンゼルスにも12月に鳥貴族がオープン予定で、2030年までに国内外合わせて2000店舗を目指すとしている。

――大倉社長は海外に出ないと成長はないとして、2024年を「海外元年」にしたいと言っており、もうデフレには戻らないことも確信しているようだった。

ニッセイ基礎研究所チーフエコノミスト 矢嶋康次氏:
完全にインフレ向けの「拡大の経営」をしている印象を強く受けた。

――今後の店舗展開が楽しみだ。

(BS-TBS『Bizスクエア』 10月12日放送より)

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