気象衛星「ひまわり」 もし故障したら天気予報は?気象予報士森朗氏が解説【ひるおび】
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年11月13日 17時59分
天気予報には欠かせない気象衛星ひまわりが11日に一時不具合を起こしました。
ひまわりの天気予報における役目や故障の際の対応などを、気象予報士の森朗氏に聞きました。
「ひまわり」観測に一時障害
11月11日、気象庁は気象衛星「ひまわり9号」の観測に障害が発生したと発表。
赤外画像や水蒸気画像などが気象庁のホームページ上で正常に表示できなくなり、
台風の監視などに影響が出ました。
その後、原因は「可視赤外放射計」という観測機器の温度が上昇したためと判明。
温度を下げる対応を行い、約14時間後の午後6時ごろ復旧しました。
温度上昇の理由は調査中で、念のためバックアップ機として軌道に残っている「ひまわり8号」の立ち上げ作業も進めるということです。
恵俊彰:
これよって台風の強さの解析などにも影響が出たんですか?
気象予報士 森朗氏:
今、台風の観測は基本的には衛星画像で雲の形などを見て強さや進行方向を見ているので、これが一部でも見られなくなるということは、精度に影響が出たかもしれないということですね。
そもそも「ひまわり」の役割とは
ひまわりの初号機は1977年に打ち上げられました。
▼いつも地球を見つめている
▼天気に関係する衛星は太陽を連想させる
ということで、太陽に向かって咲く「ひまわり」の名前がつけられました。
現在使われているのは「ひまわり9号」で、2016年11月に打ち上げられ2022年12月から本格運用が始まっています。
地球から約3万6000km離れた場所から地球の自転に合わせて回りながら観測を行っており、様々なデータを地上に送信し続けています。
ひまわりは、具体的には3種類のセンサーでデータを集めています。
▼可視センサーで雲の形や明るさを観測
▼熱赤外センサーで雲や海・陸の温度を観測
▼中間赤外センサーで大気中の水蒸気の分布を観測
地球全体については10分ごと、日本付近については2分半ごとに観測をしています。
天気予報にはどのように役立てている?
◆衛星画像
◆天気図
◆推計気象分布図
◆台風の進路・勢力
気象予報士 森朗氏:
よくご覧いただいている「衛星画像」は、実は1種類だけじゃなくて可視画像とか赤外画像とか、今のひまわり9号では全部で16種類もあるんです。
それをスーパーコンピュータに入れて、天気予報に用いたりしています。
「天気図」の前線を書くときにも衛星画像を見ながら書いていますし、天気の分布を表す「推計気象分布図」というのがあるんですが、雨はレーダーやアメダスでわかるんですけども、晴れか曇りかは気象衛星の画像で判断しています。
また、台風の現在の位置がどこにあって、前の時間と比べてどれぐらい移動したかや進路を見るのにも使います。
また、ひまわりでは雲以外に▼火山灰▼黄砂▼霧なども観測できます。
コメンテーター 迫田さおり:
本当にすごいですね。ひまわりからの情報なんですね。天気は生活には欠かせないですからね。
森氏は「ひまわりに不具合があると予測のための材料が足らなくなり予測精度が落ちるおそれもある」と話します。
気象予報士 森朗氏:
例えば昨日(11月11日)は、途中で赤外画像が見えなくなったんですよね。
夜は可視画像が真っ暗になってしまうので、赤外画像が大事なんです。
夕方に幸い回復したのでそれで判断できたんです。続いていたら分からないです。
もし故障したら?
今回は観測障害でしたが、もしひまわりが故障したらどう対応するのでしょうか?
今使われている「ひまわり9号」が故障した場合、待機運用となっている「ひまわり8号」に切り替え運用となります。
「ひまわり8号」は2014年に打ち上げられ、翌年から2022年12月まで使用されていました。今回のトラブルで、念のためのバックアップ機として立ち上げ作業が今回進められています。
また、海外の気象衛星の助けも得ることができます。
宇宙には各国の気象衛星が打ち上げられていて、相互に協力関係があります。
実際2003年にはアメリカの気象衛星を日本がレンタルしたことも。
「ゴーズ9号」を日本の衛星軌道上に移動して、2005年6月まで2年間レンタル運用しました。
江藤愛アナウンサー:
レンタル費用はかかったんですか?
若林有子アナウンサー:
正確な額はちょっと今言えないんですけれども、かなりお高かったと。
江藤愛アナウンサー:
でも感謝ですよね。貸してくれるだけ。
恵俊彰:
そりゃだってすごい情報だから、同盟国だから貸してくれるんでしょうね。
やっぱり自前でやんなきゃいけないっていうことなんでしょうね。
このときをきっかけに日本は打ち上げの間隔を短くして、本格運用と待機運用の2基体制での運用が始まったということです。
恵俊彰:
バックアップは本当に必要ですもんね。今度10号の打ち上げはいつなんですか?
気象予報士 森朗氏:
2028年ぐらいと言われてますからまだ期間があるんですけど、こちらが2基体制になるのかどうかはまだ決まっていないようです。
(ひるおび 2024年11月12日放送より)
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