暗躍する工作員ら…北朝鮮の “制裁違反”東南アジアで活発化の懸念 国連機関が東南アジア諸国と初めて実践対応を協議
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年11月19日 12時47分
シリーズ「現場から、」。ロシアとの軍事協力を加速させる北朝鮮ですが、東南アジアで制裁逃れの動きが活発化する懸念が高まっています。外貨稼ぎなどで工作員らが暗躍する実態を取材しました。
北朝鮮の友好国であるラオス。ここに、北朝鮮の外貨稼ぎの拠点とされる場所があります。
記者
「こちらが北朝鮮レストランだということなんですが、店の看板は特に何も書いていないですね」
ラオスでは、複数の“北朝鮮レストラン”が営業しているとみられ、国連安全保障理事会の北朝鮮専門家パネルは今年3月、制裁違反だと指摘しました。ただ、その2か月後には新たに別のレストランが開店していました。
北朝鮮出身とみられる従業員
「(Q.注文いいですか?)承ります。(Q.ラオス語は話せますか?)少しだけです」
国連は、加盟国に北朝鮮の出稼ぎ労働者を本国に送還するよう義務付けていますが、この店では北朝鮮から来たと話す複数の女性従業員がラオス語で接客。北朝鮮で製造されたビールなども提供されていました。
北朝鮮の制裁逃れが疑われる闇のビジネスはタイでも。
記者
「ありましたね。このホテルですね」
今年3月の国連の報告書によると、ホテルの経営を手がけていたのは北朝鮮の「ナム」という人物です。
ホテルの従業員
「(Q.現在のホテルのオーナーは?)韓国人です。(Q.北朝鮮の人から買い取った?)そうだと思います。以前は北朝鮮の人が所有していたと聞いていますが、誰なのかは分かりません」
タイやラオスで複数のフロント企業を持っているとみられる「ナム」。国連はその正体について、北朝鮮の武器取引を担い、ハッカー部隊なども率いる軍傘下の情報・工作機関「偵察総局」の工作員だとしています。
去年は、北朝鮮の軍需関連企業向けの潤滑油などをタイの港を通じて北朝鮮に不正に輸入していたということです。
北朝鮮の偵察総局の工作員などは東南アジア各地で暗躍しているとみられ、外交筋はJNNの取材に対し、「北朝鮮の核・ミサイル開発の部品なども東南アジア周辺海域で海上取引によって運ばれている」と話しています。
一方、対北朝鮮の制裁をめぐっては、北朝鮮への監視の目が弱まる危機感が広がっています。国連安保理の専門家パネルが今年、ロシアの反発によって活動停止に追い込まれたのです。
こうしたなか、国連機関はきのうときょう、東南アジア諸国の海上保安機関などを集めた会合を開催。日本も支援する形で、今回初めて制裁違反を取り締まる実践的な対応策を協議しています。
出席した専門家は。
北朝鮮制裁に関する専門家 ヒュー・グリフィス氏
「ドローンや潜水機、衛星画像といった最新の技術を使って制裁違反を監視し続けることができる。(東南アジア諸国との)協調は非常に重要であり、それは実現しつつある」
東南アジアで活発化する懸念のある北朝鮮の活動を食い止めるため、各国の連携の強化が大きな課題となっています。
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