1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 社会
  4. 社会

「精肉売り場が荒らされていた」スーパーに“約50時間居座り”のクマ捕獲 “猟友会まかせ”の駆除に課題も【Nスタ解説】

TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年12月2日 20時30分

TBS NEWS DIG

秋田市内のスーパーで開店準備中の従業員を襲い50時間ほど居座っていたクマが、ようやく捕獲されました。周辺では複数の目撃情報や車との衝突事故もあったようです。

秋田市内のスーパーにクマが50時間以上 市街地になぜ?

南波雅俊キャスター:
現場になったスーパーは秋田市内にあります。山までは約4kmほど離れており、中心である秋田駅からも直線距離で7kmほど離れているので、住宅街が広がっている場所だということです。

秋田県公式HP「クマダス」によると、周辺ではスーパーにクマがこもる前日の11月29日には目撃情報が5件あり、様々な情報がありました。

・午後3時ごろ…クマ(体長1m)立ち去る姿を目撃
・午後9時前…クマがのしのしと歩いていた


・午後9時ごろ…クマが自動車と衝突

秋田県は2023年度のクマの捕獲数が2183頭と、全国で一番多くなっています。さらに年々生息域は拡大しており、2003年と比較すると2018年には市街地方向に広がってきています。

そして、今回捕獲されたクマは体長1mほどで、だいたい今は2歳。人間でいうと10代の中盤から後半ぐらいの子どものクマとみられています。

専門家でもある日本ツキノワグマ研究所の米田一彦理事長によると、「去年エサが歴史的凶作だったことが影響し、多くのクマがエサを求め市街地にきた」と話しています。その中で母グマが捕獲され、残された子グマが山奥に帰れずに市街地近くに生息していたのではないかという見立てもあります。

さらに、スーパーの関係者によると「精肉売り場が荒らされていた」ということでした。その背景には「今年は暖かく、まだ冬眠していないクマもいますし、冬眠をしていたとしても眠りが浅く、エサを探し活動することもある」とのことです。

井上貴博キャスター:
現場の皆さんも逡巡されたんだろうと思うのが、市街地であること。しかもお店の中だと猟銃は基本的に使えないと思う。そうすると罠にかかってくれるのを待つしかない。しかし、時間がかかりスーパーの中は壊滅的なダメージを受ける。仕方がないことですが、スーパーの再開に向けて地元が協力し、営業がちゃんとできるような状態に持ってきていただきたいと思います。

ホラン千秋キャスター:
秋田のクマの捕獲数が全国で最多とはいえ、クマに慣れることは一切ないと思います。地元の皆さんも心配でしょうし、どうしても市街地にクマの存在が近寄ってきていると言われている中で、この先も不安や危険と隣り合わせだと思うと、地元の皆さんの大変さが身にしみて伝わる感じがします。

井上キャスター:
「クマダス」はすごくいいシステムだと思うのですが、自治体が運営するものなんですか。

南波キャスター:
自治体のホームページに出ているものを逐一住民の方はチェックしながら、危険を回避していくようなシステムになっています。

クマの出没相次ぐも、駆除の課題は“猟友会まかせ”

南波キャスター:
危険回避やクマが出た場合にどうするのかというところにも、実は大きな課題があります。

例えば「クマが目撃された」情報が入ると、自治体から猟友会に依頼をします。今回のパターンも同じですが、猟友会がワナの設置やパトロールなどを行い、捕獲・駆除をしていきます。

警察も出動することはありますが、周囲の安全の確保を行うだけです。もし市街地でどうしても発砲しなくてはいけない場合には、警察が判断をした上で撃つことはパターンとしてはあるそうです。

ただこれには、大きな課題もあります。

昔から言われていますが▼猟友会のメンバーの高齢化、▼出動報酬が3000~4000円ぐらいになります。日本ツキノワグマ研究所の米田理事長によると、「猟友会が要請に応じるのはあくまでもボランティア。命をはって作業をするのに報酬が50年前と変わっておらず、安すぎる」という状況になっています。

クマの駆除で自治体と猟友会でトラブルも

そして、2018年北海道・砂川市では自治体と猟友会でトラブルも起きています。

猟友会が市からクマの駆除要請を受け、市の職員・警察同行で猟友会のメンバーが駆除の際に発砲したという事案です。

このとき、「弾が住宅に届くおそれがあった」危険な発砲だったということで、猟銃所持の許可を取り消されました。

今年10月、猟友会メンバーも処分の取り消しを求めて提訴しましたが棄却されました。北海道の猟友会も「いまの状況ではハンターがすべての責任を負うことになる」と、警察との連携などが整備されていない自治体からの駆除要請の拒否ということも検討するということも話に上がったそうです。

井上キャスター:
自治体の財源がない中、何でもかんでも民間団体に丸投げされ、報酬が少ないから出動するほど赤字になっていく。根本的に見直す時期なのかもしれません。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください