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「虫が唯一のタンパク質だった」シリアで“死の収容所”の呼ばれるサイドナヤ刑務所の元収容者が証言 アサド政権下で行われていた過酷な拷問の実態とは【news23】

TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年12月17日 11時47分

TBS NEWS DIG

シリアで取材を続ける中で出会ったのは、サイドナヤ刑務所の元収容者。「光がないため何を食べているか見えない」と過酷な実態を証言しました。

生存者が証言 シリア「死の収容所」で一体何が?

私たちの取材に応じたのは、「政治犯」としてサイドナヤ刑務所に収容されていたエリアス・アブドラさん。

元収容者 エリアス・アブドラさん
「サイドナヤの中を歩いていることが信じられない。それも自由に」

アブドラさんは2008年、シリアに入国しようとした際に、アサド政権に反対する人物との関連を一方的に疑われ、3年4か月の間、この刑務所に投獄されていました。

シリアで「死の収容所」とも呼ばれるサイドナヤ刑務所。刑務所の中で、一体何が行われていたのか。

元収容者 エリアス・アブドラさん
「ここが…」

足を止めたのは、自身が投獄されていた場所です。

元収容者 エリアス・アブドラさん
「何もないだろ。寝るときにはこれ(布)を使っていました。ここは寒かった。洋服がない人もいた」

この部屋で、わずかな食料を25人ほどで分け合っていました。

元収容者 エリアス・アブドラさん 
「これ(容器)は食べるときに使っていた。看守はカートで食べ物を持ってくる。僕らがこれを渡すと、この中に食べ物を入れた」

「皮膚を焼いた後に、皮を剥がされた」数々の拷問

取材中に出会ったのは、4日前に開放されたばかりだという男性。

アブドラさん「私はここにいたエリアス・アブドラです」
カーリドさん「カーリドです」
アブドラさん「どのぐらいいたのですか?」
カーリドさん「7年です」

2人は、この刑務所で受けた拷問について証言しました。

アブドラさん「看守は水槽の中に頭を入れるように命じました」
カーリドさん「『魚を探せ!』と言って電気を流すんです」

人権団体が集めた証言によると、サイドナヤ刑務所で行われていた拷問はわかっているだけで72種類あったといいます。

報告書
「皮膚を焼いた後に、その皮を剥がされた」
「針やネジなどを鼻や唇・耳・背中・手や足の裏など、いたるところに刺された」

刑務所の地下に広がるのは真っ暗な独房。この部屋で、わずかな光を頼りに過ごしていました。

元収容者 エリアス・アブドラさん
「看守がドアを開く音がしたら、立ち上がってこんな体勢をとらなくてはいけないんだ。目を瞑っていなくてはならず、彼らは入ってくると、何度も殴ってくる。何度も、何度も。それでも、言葉を発してはいけない」

食事のときも…

元収容者 エリアス・アブドラさん
「これが私たちの食べ物です。ここには光がないため、何を食べているのか見えません。食べ物の中に虫がいると、虫も一緒に食べることになります。でも虫を食べていると分かった時は嬉しくなります。唯一のタンパク質だから」

アブドラさんが収容されていた数か月の間に、40人から50人が死んでいったといいます。

元収容者「魂を奪い取ってと祈った」 最上階には“処刑器具”も

刑務所の最上階にあったのは、処刑に使われていたとみられる器具でした。

元収容者 エリアス・アブドラさん
「看守は1週間に2回、朝の礼拝が終わるとやってきて、収容者を連れていった」

国際人権団体「アムネスティ・インターナショナル」は、2011年からの5年間だけで、実に1万3000人が処刑されたと報告。実際の死者はさらに多いとみられています。

元収容者 エリアス・アブドラさん
「魂を奪い取ってくれと神に祈った。これ以上、生きていたくなかった」

シリアでは、各地の刑務所に投獄されていた大勢の行方が、今も分かっていません。

アブドラさんは、「収容者にも家族がいて、帰りを待っている」とし、生きて見つかるよう祈ってます。

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