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滑走路の先に“壁” 航空評論家「固い構造物の設置ありえない」 韓国・旅客機事故【サンデーモーニング】

TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2025年1月5日 13時5分

TBS NEWS DIG

韓国で旅客機が着陸に失敗して炎上する事故があり、179人が死亡する大惨事となりました。被害を拡大させた、その理由とは?

管制塔から旅客機に「鳥の群れがいる」と注意を出すも…

12月29日、タイ・バンコク発の韓国・チェジュ航空の旅客機が、南部のムアン空港に着陸する際に起きた事故。

乗客乗員181人のうち、179人が死亡しました。

旅客機は激しい音を立てながら滑走路を滑り、車輪は出ず、スピードをほとんど落とせないまま壁に衝突。

機体は炎と煙に包まれました。

事故直前の機体を捉えたとされる写真をみると、車輪は出ていて、通常の着陸態勢だったことが伺えます。

それがなぜ、胴体着陸になったのでしょうか。

原因として、韓国当局は次のように指摘しています。

韓国の国交省担当者
「(着陸前に)管制塔から旅客機に『鳥の群れがいる』と注意を出した」

滑走路付近に鳥の大群が発生

着陸をやり直すため、一度出した車輪を格納し、再び上昇していたのです。

着陸をやり直すため上昇している場面とみられる映像では、右側のエンジンから突然、炎が吹き出したように見えます。

専門家は…

エンジンにトラブルが発生か

航空評論家・小林宏之さん
「鳥を吸い込んでしまった可能性がある。エンジンが破壊された状況ではないか。(この時点まで)少なくとも一つのエンジンは正常に近い状態で作動していたのではないか。そうでないと(着陸やり直しで)上昇できない」

着陸をやり直そうとした直後に鳥を吸い込み、エンジンにトラブルが発生したとの見方です。

ただ、片方のエンジンが止まったとしても、もう一方が機能していれば、ほぼ通常通りに着陸できるといいます。

ところが旅客機は180度方向転換すると、滑走路の逆方向から、車輪が出ないまま胴体着陸を試みたのです。

通常、着陸をやり直す場合は、360度旋回して同じ方向から滑走路に進入します。

車輪が出ない場合にも、胴体着陸の前にやるべきことがあるといいますが、なぜ今回は、すぐさま危険な胴体着陸に踏み切ったのでしょうか。

「非常に差し迫った緊急事態」 胴体着陸の背景には何が?

航空評論家・小林宏之さん
「着陸をやり直した直後に、2つのエンジンがほぼ停止状態になったと考えられる。着陸装置(車輪など)が出ない場合は、上空で旋回しながら車輪を下ろすことを試したり、胴体着陸のときは燃料が少ない方がいいので、旋回しながら燃料を消費することを通常は行うが、それもしないで即着陸したということは、非常に差し迫った緊急事態」

両方のエンジンが鳥を吸い込み停止した可能性があるというのです。

エンジンが全て停止すると、油圧システムで動かす装置も使えません。

自動で車輪が出せないうえ、着陸前に減速して飛び続けるための「フラップ」や「スラット」などの装置も操作できないといいます。

航空評論家・小林宏之さん
「フラップとスラットが出てないのが分かる。出てないので、接地した速度が300キロぐらいだと思う。操縦系統あるいは着陸(の装置)については、油圧がないと何も(操作)できない」

通常は時速約200キロで着陸するところ、今回は約300キロで着陸したとみられる旅客機。

減速機能が正常に作動しないまま、滑走路を滑り続けたのです。

2009年には、ニューヨークで「ハドソン川の奇跡」と呼ばれる事故が起きました。

このときも、鳥の群れとの衝突でエンジンが両方とも停止しましたが、川に不時着したことによって乗客乗員の全員が助かっています。

しかし今回、必死の胴体着陸を試みた先にあったのは、コンクリートの壁

旅客機の誘導装置の土台として設置されていたもので、被害を拡大する要因となりました。

リスクを減らす対策を取ることはできなかったのでしょうか。

滑走路に置く構造物は「壊れやすくするのが普通」

膳場貴子キャスター:
旅客機に何があったのか、現時点で考えられることを整理していきます。

中西悠理アナウンサー:
大惨事となった今回の事故の原因について、元パイロットで航空評論家の小林宏之さんは「エンジンが左右両方停止した可能性」を指摘します。

全てのエンジンが止まると、油圧システムも機能しなくなります。

油圧システムとは、エンジンの力を利用して、パワーが必要な機械をコントロールするシステムです。

これが使えなくなると、車輪の出し入れや、着陸のときに使う翼の装置も操作できません。

今回は翼の上にあるスポイラーも起動できず、ほとんど減速できないまま滑走路を突き抜けたとみられます。

また、エンジンの停止の原因は、鳥の群れを吸い込んだ「バードストライク」だとみられています。

事故の前日には、現場となったムアン空港の近くで、鳥の群れの写真が撮影されていました。

韓国メディアによると、ムアン空港は近くに渡り鳥の飛来地があるため、韓国の14の地方空港の中で最もバードストライクの発生確率が高かったのですが、対策は不十分だったといいます。

そして、被害拡大の最大の要因とされているのが“壁”の存在です。

滑走路の端には、電波を出して飛行機を誘導する「着陸誘導装置」が設置されています。

韓国メディアによると、ムアン空港ではこの装置が盛り土の上に設置されていて、さらにコンクリートで補強されていました。

航空評論家の小林さんは「滑走路の先に固い構造物の設置はありえない。たとえ飛行機が衝突しても、機体が大きく損傷しないよう、壊れやすくするのが普通だ」と指摘しています。

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