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能登半島地震から1年 元日だけは自宅で…つかの間の「日常」過ごす被災者「チャンスに変える一年に」“人口流出”被災地の奮闘【news23】

TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2025年1月7日 12時10分

TBS NEWS DIG

能登半島地震から1年。被災地が抱える課題の1つが「人口流出」です。今年を、賑わいを取り戻すための「前向きな年にしたい」と奮闘する新たな取り組みを取材しました。

「元日だけは自宅で…」能登半島地震から1年

輪島市の山崎さん一家。地震から1年を自宅で迎えました。

山崎進さん(75)
「家族みんな元気だったのは本当にありがたい。ただその一言」

ただ、自宅は壊れたまま。壁のあちこちにひびが入り、柱も一時的に補強しただけの状態です。普段は仮設住宅に暮らしていますが、元日だけは家で過ごしたいと集まりました。

山崎恵美さん(43)長男の妻
「当たり前の日常ってこうだったのかなって。子どもらも家に帰ってきて顔の表情も違いますし、これが当たり前の日常として、これからそのままいけばいいんですけど」

生活を一変させた能登半島地震。死者は災害関連死を含めて504人、住宅の被害は約15万棟に上ります。中規模半壊となった山崎さんの自宅。修復して年内には戻ろうとしていた矢先…

9月に起きた記録的な大雨。地震の爪痕が残る能登を濁流が襲いました。

喜入友浩キャスター(去年9月)
「川のすぐ近くに仮設住宅があるんですが、大雨の影響で大木が土砂が流れ込みました」

山崎さんが暮らす仮設住宅は浸水し、自宅に繋がる道路も塞がれました。

山崎恵美さん(去年9月)
「(Q.今後の見通しは)何も期待しない、いつどうなるかわからないし。もう笑うしかないですよ。なぜ能登にこんな1年も経たず」

この2か月後…

喜入友浩キャスター(去年11月)
「清掃のために立ち退かないといけないということで、仮設も閑散としています」

山崎さん一家は引越し作業に追われていました。浸水した仮設住宅を業者が消毒するため、一時退去することになったのです。

家財道具をのせて向かったのは自宅。本格的に家に戻るのは、地震以来です。

山崎進さん(去年11月)
「(Q.久しぶりのご自宅は)なんか懐かしいというか言葉で表せません。慣れ親しんだ家やし、執着があります」

“震災前の日常”を楽しみました。

山崎進さん(去年11月)
「もう最高。生き返った」

元日に集まった山崎さん一家。

山崎結生さん(13)
「楽しいです、たくさん」

山崎恵美さん
「やっぱこれが普通ですよね。こういうのが続けばいいんです」

“自宅で暮らしたい”。被災者は同じ思いを抱えています。

「誰もいない」進む人口流出、能登で6000人減少

仮設住宅の整備と入居は進み、公費解体も4割が終わりましたが、多くの人が自宅の再建に踏み出せずにいます。

輪島市東部、南志見地区の浜田栄八さん。

南志見地区は7割の建物が半壊以上となり、地震と大雨の際は一時孤立しました。    

9月の大雨直後、ようやく入れた現地は…

浜田栄八さん(70)
「これはもっと上流にあった家。(Q.家の屋根ですよね?)もっと上から流れてきた」
「(Q.ここに家はなかった?)ここ川や」
「うちらの集落は破壊的で終わりや」

年が明け、がれきは大半が撤去され、塞がれていた川も見えるようになりましたが…

浜田きくゑさん(72)
「(Q.人はどうですか)誰もいない」

浜田栄八さん
「普段はうちら1軒だけでここにおる。みんな戻りたいという気持ちは持っとるやろうけど、もはやここを諦めて金沢とか行った人もいる、現実に」

復旧の遅れや経済的な理由から住まいの再建は進まず、住民の流出が加速。能登の人口は1年で6千人以上減りました。

浜田栄八さん
「南志見地区全体で運動会なり祭りなり、みんなで集まってわいわいと、田舎なりに結構にぎやかだった」

浜田きくゑさん
「寂しい、寂しいね、父ちゃん」

消えた“人の賑わい”。それを取り戻そうと奮闘する人がいます。この地区に暮らす奥田和也さん。ある“試み”を始めました。

経営者ら招きバスツアー「チャンスに変える一年に」

経営者らに来てもらい、地域の復興を考えてもらうバスツアーです。

奥田和也さん(53)
「9月に1回、(大雨による)土砂があったでしょ。この辺も水が来とって」

参加者のほとんどが、南志見地区に来るのは初めてでした。

石川県内で自営業している方
「話に聞いていた以上にひどい状態で、今までこんな所を見たことがなかったので衝撃的でした。建築関係をやっていますので、住宅の修繕で手伝うことができれば」

石川県内の大学生
「自分たちの問題としてとらえるべきなのかなと。(Q.きょう来てよかった)もちろん、来てよかったです」

奥田さんを突き動かすものとは…

奥田和也さん
「能登がこのまま人がおらんくなるとか、衰退していくのが自分で心苦しくて、だから地震のことで絶対諦めたくない。いま全国もしくは世界の人が能登という言葉を知っとるくらい。それをチャンスに変えて、前向きに動き出すという1年にしないとなと思う。能登の人はもともと強いから。すごい優しいけどみんな強いから、また戻りますよ」

未来に続く復興へ。大切な1年となります。

「正月だけは実家に」目指す復旧の姿

喜入友浩キャスター:
山崎さん一家のようにお正月だけは自宅に戻った方は能登半島に他にもいらっしゃったようなんですね。やはり自宅、ふるさとで暮らしたいという強い思いを感じました。

そのために何が必要か、これまで進められてきた自宅の再建やライフラインの復旧だけではなく、なりわいをどう取り戻すのか、なりわいをどう作り出していくのかが鍵になってくると、ツアーを開催した奥田さんは話していました。

星浩 さん:
元々過疎が進んでいた地域なので、災害の前に100%戻れるとは思ってないという感じなんです。国は予算を出すだけではなくアドバイスをしたり、民間の力も取り入れたりすることが非常に大事になってくると思います。今年は「協力の形をどのように作れるか」が勝負どころになると思います。

==========
<プロフィール>
星浩 さん
TBSスペシャルコメンテーター
1955年生まれ 福島県出身
政治記者歴30年

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