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「メキシコ湾を『アメリカ湾』に」トランプ氏“野心むき出し”会見、各国へ圧力 日本には?【Nスタ解説】

TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2025年1月8日 20時42分

TBS NEWS DIG

アメリカのトランプ次期大統領が記者会見を開きました。軍事力と経済力による「脅し」ともとれる発言で、「領土拡大」への野心をむき出しにしています。

トランプ氏 領土拡大へ“野心むき出し”

熊崎風斗キャスター:
就任まであと12日となったトランプ次期大統領について詳しくお伝えします。

トランプ氏は日本時間の8日朝に記者会見を行いましたが、野心むき出しの内容でした。

会見では、「デンマーク自治領グリーンランドの領有や、中米・パナマ運河の返還に関して、軍事的・経済的圧力をかけないとは確約できない。経済・安全保障のために必要だと言うことはできる」と話し、軍事力の行使も排除しない、非常に強い姿勢を示しました。

早稲田大学の中林美恵子教授は「グリーンランドの領有は“アメリカファースト”や経済拡大以外にも、資源の調達や北極圏のルートの確保を狙う一面もあるのではないか。さらに中国やロシアへの牽制など、様々な意味が込められているのではないか」と話しています。

アメリカの隣国のメキシコについて、トランプ氏は、巨額な貿易赤字をもたらすと指摘をした上で、「メキシコ湾からアメリカ湾に名前を変える」と非常に強い言葉を話しました。そして、カナダに対しては「アメリカの51番目の州となるべきだ」と、関税など経済的な圧力の姿勢も示しました。ですから、隣国にも非常に強い圧力を示しました。中林教授は「まずはメキシコ・カナダの移民問題など、国内支持者の関心が高い事から着手していくのではないか」と話しています。

ホラン千秋キャスター:
就任を前にして刺激的で挑発的な発言が相次いでいますが、実際に実行するのかは、世の中の反応を見てからなのか、実際にやりたいと思っているのか、どう見ていますか。

早稲田大学教授 中林美恵子さん:
これがトランプ氏の最も難しいところです。トランプ研究者だったとしても、強がりで、冗談で言ってることなのか、本気でそれをやろうとしているのかがどうしても読めないというのが特徴です。

ただ、彼が言い出すことによってスポットライトが当たるという効果は確実にあります。例えば、グリーンランドやパナマ運河の話など、今までそれほど大きなスポットライトが当たらなかった部分が、戦略的に重要なところだったりするんです。

トランプ氏は全てがテーブルの上にオプションとしてあると考えるタイプで、状況対応型の方なので、その時々の様々な条件をきちんと計算しようという気持ちではいるんだろうと思います。

井上貴博キャスター:
既存の政治家ができなかったことをしようとしてるのかなと感じます。今、世界の首脳は「トランプ氏詣で」というように、いち早く会いに行っています。安倍元総理は第一次政権のときに早めに会って、それが功を奏したことがありました。しかし、会うことで逆に問題が発生しているケースが出てきているのを見ると、上手く距離感を保った方がトランプ氏にとって不気味な存在になれるようにも感じていて、無理して早く会わないのも戦略の一つなのかなという気もするんですが…

早稲田大学教授 中林さん:
いろんな見方ができますよね。トランプ氏ならではの、周りが「ああでもないこうでもない」と試行錯誤する時代に入ったのかなと思います。トルドー氏のように、会っても結局いろいろなことがネガティブに展開し、その後首相としての辞任を表明する人や、イタリアの首相のように、早々に会いに行き、G7の中で安倍氏のような存在になるかもしれないという噂さえ出てくる人もいます。

何がそれを分けるのかというと、就任前か後かに関わらず、あった時にトランプ氏とどこまで話ができる関係を作れるかというところです。それができなければ会わない方がいい場合もあるし、それができるのであれば、個人的関係を作っておくことで、難しい案件が出てきたときに直接電話して訴えることができるというような違いが出てくる可能性があります。

各国へ圧力 日本には?

「食べチョク」代表 秋元里奈さん:
関税などは企業にも大きな影響があるので、どういう動きになるかがすごく気になっています。世界の今年のリスクの中でも、良いところもあれば悪いところもあるということで、トランプ氏が大統領になることで起きる変化を気にされてるなと思ってます。

農作物の輸出も去年はアメリカが一番の取引先になっているので、関税が変わることで一気に日本経済に影響するのではないかという部分も気になるのですが、いつごろ、具体的にどう動くのかは見えてくるものなのでしょうか。

早稲田大学教授 中林さん:
今回のスピーチはまだ大統領になる前なので、特に日本をターゲットにしたものはなかったのですが、いずれ日本と何かをディール(取引)したいときに関税という話題を持ち込む可能性はあります。トランプ氏が多く使う「関税」には2つの意味があるんです。

1つは、本当に「貿易の不均衡を直そう」という気持ちで貿易に直接関わるもの。もう1つは、関税という言葉を脅しやフックとして使って、自分の思いを実現するために関税でプレッシャーをかけていくという意味もあるので、一体どっちなのかというのを素早く察知する必要があります。

熊崎風斗キャスター:

今回の会見は1時間12分ほどありましたが、日本への発言はゼロでした。これにどういう意味があるのか、中林さんも「発言が読めない中で『触れられないのが得』と考える国もあったのでは。でなかったから損というわけではないのではないか」と話すように、日本は懸念を抱く国ではないという認識でもいいのではという見方もされています。

しかし今後は、トランプ氏は“アメリカファースト”にむかって、インフレ解消のため国内の利益を増やすことを目指しているわけです。ですから日本に対して、関税も10~20%、安全保障でも兵器の購入など防衛費の増額を求めるのではないかと。

トランプ氏側は過剰なドル高への懸念があり、対中政策が非常に大事なので、対日本に対してはwin-winの姿勢もあるのかもしれません。

対して日本は、そうなった場合に改善を目指すフックとして関係を築いていけるのかが今後の鍵になるだろうということでした。

井上貴博キャスター:
多分アメリカ国民としてはこの不確実性を前向きに捉えて今回選出されたと思うんですけど、海外からすると、その不確実性がリスクというか怖いですね。

早稲田大学教授 中林さん:
ですから、なるべくトップ同士の個人的関係を作ってもらって、何か起こったときにはそこで保険にしようっていう国もあれば、逆にそれがマイナスになる可能性も、トップリーダーの性格によりけりですけれども、心配する国もあるということです。でもアジェンダはwin-winになるものを探すチャンスはありますので、しっかり日本もそこをつかんでいければと思いますよね。

==========
<プロフィール>
中林美恵子さん
早稲田大学教授 元アメリカ議会上院補佐官(共和党)
専門は国際公共政策

秋元里奈さん
オンライン直売所「食べチョク」代表 33歳
神奈川の農家に生まれる

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