受験目前に予備校“閉鎖” 生徒が感じた異変、ニチガク生徒に“支援の輪” 自習室を無料開放【Nスタ解説】
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2025年1月8日 20時57分
受験シーズン真っ只中のタイミングで、突然、予備校が閉鎖を発表。破産申し立てを行うことを明らかにしました。受験生たちに動揺と怒りが広がっています。
「共通テスト」目前 受験生にとって大切な時期に…なぜ“閉鎖”?
良原安美キャスター:
「ニチガク」は、2024年12月30日まで冬期講習を行っていて、12月31日~1月3日が冬休み、4日から再開という中で突然の“閉鎖”となりました。
大学入学共通テストも来週に控えている中で、教育アドバイザーの清水章弘さんは、「各大学への出願期間でもある大切な時期」としています。
ホラン千秋キャスター:
受験生のみなさん、困惑や戸惑いなど気持ちへの影響もありますよね。
教育アドバイザー 清水章弘さん:
ちょうど今週は多くの私大の出願時期ということもあり、本当に受験生にとってものすごく大切な時期です。
入試のシステムもいろいろと変わってきていて、共通テストを使うのか、どの教科を使うのか…配点にも影響しますので、仕上がり状況によってどのように出願するかなど、相談しながら真剣に考えている一番デリケートな時期です。
良原キャスター:
なぜこのタイミングで“閉鎖”ということになってしまったのでしょうか。
ニチガクのHPによると、「ニチガク(日本学力振興会)」は1983年に創設され、「合格の鍵は絶対的な質と量」とうたっています。
2023年の実績は、合格率は93.9%(第二志望まで)、東大合格も12人中9人と掲載され、卒業生や保護者からは「隠れた名門」といわれていたということです。
なぜ倒産にいたったのでしょうか。代理人弁護士によると、▼生徒数が200人から130人に減少、また、▼自習室の設置や、パソコンの用意など設備に投資をしている中、2024年から資金難に陥っていたといいます。東京商工リサーチによると、負債額は1億円に上るとみられています。
近年、予備校や学習塾の倒産が増えていて、東京商工リサーチの調査によると、2024年は53件(速報値)と過去最多となっています。
教育アドバイザーの清水さんは、こうした背景に、▼少子化、▼学習塾の多様化があるとみています。コロナ禍を経て、無料のオンライン学習も増えていて、競争が一層激化しているということです。
井上貴博キャスター:
生徒の奪い合いというのは想像がつきますが、今回のケースのような、パソコンの導入や自習室の整備に投資をしたため行き詰まるということは考えられますか。
教育アドバイザー 清水さん:
理屈としては通ると思います。授業をたくさんすると人件費がかかってしまうので、動画を導入して、広い自習室で動画を視聴して、わからない点を質問するというシステムが今の学習塾のトレンドとなりつつあります。(ニチガクも)そういったシステムへの変更を目指したのかなと想像できます。
井上キャスター:
オンラインでの無料サービスが増えていて、学習塾としての戦い方も変わり、厳しさはあるのだろうと思います。
「食べチョク」代表 秋元里奈さん:
資金調達を含めて、経営力がなかったということに尽きるのかなと感じます。ただ、生徒側から学習塾の経営状況は見えませんし、これだけ長い歴史と実績があるところだと安心して、前払いで払う人も多いと思います。見極めは難しいでしょうね。
「お金がないのかな」利用者が感じた“予兆” 弁護士に相談後も「生徒募集」か
良原キャスター:
破産の予兆はなかったのでしょうか。
ニチガクの代理人弁護士によると、「資金繰りの悪化に逆らえず、去年10月頃に、我々に連絡が来た」ということです。
一方、ニチガクは10月、ホームページで新たに生徒を募集、12月に「250万円を一括で払った」という高校2年生の生徒もいます。
一方で、異変を感じていた生徒もいるということで
高校2年生の利用者
「エアコンの効きが悪くて、何回も直してくれませんかと言っても直していなかったので、お金がないのかなって思っていた」
高校3年生の利用者
「入ったときと比べて1週間の授業のコマ数が半分ぐらいなっているんじゃないかな」
専門家「一つのソースからの判断避けて」 見極めどうすれば?
井上キャスター:
これまでも成人式のレンタル着物や美容サービスなどでも、「一括払い」を検討する場合は、倒産のリスクを踏まえないといけないといわれてきましたが、学習塾に関しては、利用者からすれば、どうしようもできないのではないでしょうか。
教育アドバイザー 清水さん:
さすがに保護者も想定していないでしょう。
一括払いという支払い方法は一般的ではありますが、背景には、講師と1年間で契約することが多いため、人件費の確保や講師の囲い込みという意味合いがあります。
それは講師を守るための仕組みなので、講師にも(閉鎖が)伝わっていない、(賃金が)未払いとなっていた場合は話が変わってくると思います。
井上キャスター:
利用者はどのように見極めれば良いのでしょうか。
教育アドバイザー 清水さん:
一つのソースから判断するのは避けた方がいいと思います。
例えば、ランキングサイトなどでもランキングをお金で買える場合もあったり、口コミサイトでも不安な点があったりします。
合格実績についても、ニチガクは東大合格が12人中9人と書いていますが、ニチガク内部の講師も「疑問を持っている」と話していました。内部の人であっても真偽が分からないようなので、合格実績だけで判断するのは難しいと思います。
「食べチョク」代表 秋元里奈さん:
新しいところであれば比較的分かりやすいかもしれませんが、歴史の長いところはより一層(判断が)難しいのかなと思います。
前社長が資金調達をしていたため、現社長も知らなかったという情報もあります。経営体制のガバナンスのようなところも問題点だったのかなと思います。
==========
<プロフィール>
教育アドバイザー 清水章弘さん
東大在学中に“勉強のやり方”を教える塾起業
学習法に関する著書多数 2児の父 36歳
秋元里奈さん
オンライン直売所「食べチョク」代表 33歳
神奈川の農家に生まれる
この記事に関連するニュース
-
日本で学習塾の閉鎖ラッシュ、必ずしも悪いことばかりではない―華字メディア
Record China / 2025年1月9日 10時0分
-
受験直前に予備校が閉鎖 別の予備校から受験生支援の動き…無償で自習室を
日テレNEWS NNN / 2025年1月7日 20時40分
-
〈ニチガク受験直前に破綻〉社長は9ヶ月で2度代わっていた…家賃6万円の家に住む就任したての中年男に近隣住民は「あの人が社長なの?」
集英社オンライン / 2025年1月7日 19時0分
-
予備校ニチガク突然閉鎖に受験生「許せない」250万円一括支払いの生徒も…宮根誠司「タイミング最悪」
スポニチアネックス / 2025年1月7日 16時23分
-
受験シーズン直前…予備校が突然の閉鎖 「ニチガク」生徒や講師に困惑広がる
日テレNEWS NNN / 2025年1月7日 5時51分
ランキング
-
1ヤマト運輸“サービス力低下”を招いた経営陣の誤算。現場&顧客を軽視、“120億円訴訟”日本郵便との関係は泥沼化へ
日刊SPA! / 2025年1月9日 8時53分
-
2キャベツの価格が高騰 トンカツ店の「おかわり」、どうなる?
毎日新聞 / 2025年1月9日 11時0分
-
3解体工事現場で天井崩落…作業員2人が下敷き 千葉
日テレNEWS NNN / 2025年1月9日 11時35分
-
4神戸市、タワマン空室に課税案 導入すれば全国の自治体で初
共同通信 / 2025年1月9日 10時48分
-
5【江別大学生暴行死】アルバイト従業員の男(18)を主犯格と認定 少年ら4人全員を検察官送致 札幌家裁
北海道放送 / 2025年1月9日 10時41分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください