トランプ大統領 誕生へ「独裁者にはならない、初日を除いては」 支持者の優遇や官僚の解雇もできる?“大統領令”に次々と署名の見込み【Nスタ解説】
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2025年1月20日 20時59分
2期目のアメリカ大統領に就任する、ドナルド・トランプ氏。公約実現に向け、多くの「大統領令」に署名する意気込みを示しています。関税引き上げや、不法移民対策のみならず、支持者を優遇するようなものや、自身の気に入らない官僚などを解雇できる大統領令に署名する可能性も指摘されています。解説です。
寄付額は300億超?“異例”の大統領就任式
良原安美キャスター:
日本時間21日未明から始まる、アメリカ大統領就任式の主な行事を見てみましょう。
新旧大統領のバイデン氏とトランプ氏が議事堂へ向かい就任宣誓と就任演説が行われ、前大統領の送別が行われます。その後、昼食会があり、パレード、舞踏会という流れで行われます。
2017年の就任式の際の舞踏会では、トランプ氏は白いドレスを着たメラニア夫人とトランプ氏とともに登場し、ダンスを披露しました。今回も舞踏会は行われるそうですが、今年の就任式は少しイレギュラーな点もあります。
現在、ワシントンでは記録的な寒さのため、通常は屋外で行われる宣誓と演説は、40年ぶりの議事堂内での開催に変更。また、外を歩くパレードは中止となり、屋内のイベントが開催されます。
さらに今回、“異例”となっているのが、寄付額の大きさです。
大統領就任式の大半は寄付で運営されていますが、300億円を超える寄付が集まっているそうです。
2017年(前回トランプ氏の大統領就任式)に集まった寄付額は1億700万ドルでしたが、今回の大統領就任式では、GoogleやAmazon、Apple、トヨタ自動車などが寄付していて、合わせて2億ドル=日本円にして約310億円以上が集まっており、2017年と比べてもかなり大きな額が集まっていることがわかります。
なぜこんなにも寄付が寄せられたのでしょうか?早稲田大学の中林美恵子教授は「トランプ氏に対する恐れと期待がある。“政権支持”の既成事実を作りたいという狙いも垣間見える」と話しています。
ホラン千秋キャスター:
大企業は、トランプ氏がどのような政策を今後展開するのか、自分たちに不利にならないでほしいという思いはもちろんありますよね。
パナソニック社外取締役 ハロルド・ジョージ・メイさん:
トランプ氏は元々ビジネスマンですし、やはり何より彼が大事にしてるのは“忠誠心”です。なので寄付を始めたり、あるいはトランプ氏がやりたがってる政策を少しでも自社に導入しようとしたり、各社、尊敬・忠誠心の証明を早めに行っています。
井上貴博キャスター:
トランプ氏は、予測不能な部分が多く報じられる一方で、ビジネスマインドがとても強い。なので、判断基準がアメリカのためになるかを重視されます。例えば、日本製鉄によるUSスチール買収も、バイデン氏は「No」としましたが、アメリカの利益となることをしっかり伝えられればひっくり返るのではないでしょうか。
ハロルド・ジョージ・メイさん:
このプロセスの面もお金や、雇用を守るなどの様々な約束事をもう一回アピールできるかどうか、日本政府にかかってますよね。
注目は「大統領令」 「支持者を優遇」や「スケジュールF」100の政策転換を目指す?
良原安美キャスター:
就任式の大半は寄付で運営されますが、中林教授の注目ポイントは”大統領令の署名“です。
初日からアクセル全開と言われているトランプ氏は、現地メディアのインタビューに「独裁者にはならない。初日を除いては」と発言。そして、就任直後に約100本の大統領令に署名を表明しています。
この『大統領令』とは、大統領が政府機関や軍などに出す命令のことで、議会の承認が不要です。以前から公約に掲げていた関税の引き上げや、不法移民の強制送還などの実現に動く方針です。
これ以外にも中林教授は、2021年の議会襲撃で有罪となったトランプ支持者への恩赦に関する「支持者を優遇」や「スケジュールF」と呼ばれている気に入らない官僚にFランクをつけて大量解雇する大統領令に署名する可能性を指摘しています。
ホラン千秋キャスター:
どんなときも不確実性はありますが、トランプ大統領のときは不確実性がかなり高まるということもありますよね。
ハロルド・ジョージ・メイさん:
1期目の経験やこれだけの選挙での勝利など、やはり自信が違います。
いま100本の大統領令への署名の話が上がりましたが、海外の報道では200本という数まで膨れ上がっています。200本がどれぐらいすごいかというと、バイデン大統領が4年間で162本に署名をしました。また、オバマ氏が8年間で276本なので、200本というのはかなり大きな数です。なのでこれは、トランプ氏の自信の表れでもあると思います。
井上貴博キャスター:
アメリカ国民がトランプ氏に期待することはなんだと思いますか?
ハロルド・ジョージ・メイさん:
支持者に関しては、「何かを変えてくれる」ではなく「全て変えてくれる」っていう期待があると思います。
トランプ2.0で言われてるのは「どこが変わるんだろうか」ではなくて、「どこが変わらないんだろうか」という議論の方が進んでいます。トランプ氏は、掟破りのようなことをする、ニュース性・話題性のあることが大好きな人なので、どうなるのでしょうか。
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〈プロフィール〉
ハロルド・ジョージ・メイさん
日本コカ・コーラ副社長やタカラトミー社長など歴任
現在パナソニック社外取締役 アース製薬社外取締役など
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