道路の陥没 1年で1万件超、下水管 一斉に耐用年数超え…気象変化も影響か、専門家「どこでも起こり得る」【Nスタ解説】
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2025年1月29日 19時50分
28日に埼玉県八潮市で発生した道路の陥没事故。転落したトラック運転手の救助は難航しています。実はいま、こうした陥没が全国で増加傾向にあり、専門家は「どこでも起こり得る」と指摘しています。
埼玉 交差点に10mの大穴 全国で陥没相次ぐ
小笠原亘キャスター:
28日、埼玉県八潮市で道路が陥没してできた幅約10m、深さ約10mの穴に74歳の男性が乗ったトラックが転落しました。
現在、排水作業のため中断していた救助作業が13時間ぶりに再開しているそうです。
埼玉県の大野元裕知事は29日の会見で、「下水道が腐食し穴ができ、土砂が押し流され、空洞ができた可能性がある」と話しました。
また、埼玉県12市町120万人以上を対象に、下水道管がふさがり汚水があふれる可能性があるとして、 風呂や洗濯など生活排水を控えるよう要請しています。
実は道路の陥没は各地で相次いでいるそうです。
芝浦工業大学の稲積真哉教授は「下水道管が通っている場所はどこでも陥没が起こりうる」といいます。
国交省のホームページ(2022年度)によりますと、道路の陥没発生件数は1万548件でそのうち下水道管などを起因としたものは約2600件だったということです。
今回の陥没の原因について芝浦工業大学 稲積真哉教授は「下水道管に溜まった生ごみなどから発生する硫化水素が老朽化した下水道管を腐食させた可能性」だといいます。
硫化水素によって下水道管が腐食し、その結果、下水道管に穴が開くと、周囲の土砂が吸い込まれ空洞ができ、車両の重みや何らかの衝撃で陥没してしまったとみられています。
ホラン千秋キャスター:
(下水道管の腐食は)見えるものではないですから、陥没が起こっている地元の皆さんは心配な気持ちでいっぱいだと思います。
萩谷麻衣子 弁護士:
まずは一刻も早く被害を受けた方の救出を祈ります。
現在、地元の方々に生活排水を控えるように要請をしていますが、これは水道法に基づく使用制限で、トイレや飲み水については制限されていません。洗濯やお風呂などを控えてくださいというものです。
ただ生活に影響があるものですから、それがいつまで続くのか心配になりますね。
下水管 一斉に耐用年数超え「破損点検も難しい」
小笠原キャスター:
国交省のホームページによりますと、全国の下水道管の総延長(2022年度末)は約49万㎞で、地球約11周分にもなるそうです。
下水道の標準耐用年数は約50年で、50年を経過した下水道管は▼2022年度末 約3万㎞ 約7% ▼2032年度 約9万㎞ 約19% ▼2042年度 約20万㎞ 約40%にもなるということです。
芝浦工業大学の稲積真哉教授は「下水道管の点検はマンホールに入って目視。破損などしていても見つけることが難しい」といいます。
私たちは道路の陥没に、どう身を守ればよいのでしょうか。
道路陥没の起因として▼大雨で地盤の土砂が一気に流入し、空洞化が加速 ▼暑さにより高温でアスファルトが柔らかくなるといったことがあるとみられています。
芝浦工業大学の稲積真哉教授は「“部分的な沈み”や“ひび割れ”は地盤が動いているサイン。陥没の予兆のひとつともとらえられている」といいます。
井上貴博キャスター:
様々なインフラが老朽化しているなか、自治体の工事費用の負担は相当なものになっていると思います。
しかし今回の事故をふまえると、調査・点検をこまめにやっていかなければならないと思いました。
萩谷麻衣子 弁護士:
専門家でも破損部分の発見は難しいといいますが、例えば幹線道路で交通量が多い場所などから優先的にしっかり点検してくといったことをしなければいけないと思います。
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<プロフィール>
萩谷麻衣子 弁護士
結婚・遺産相続などの一般民事や、企業法務を数多く担当
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