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埼玉・道路陥没事故 “穴”は拡大し救助活動難航…現場で何が? 住民の生活にも影響が…全国で増える“道路陥没” 専門家「近年の気象環境の変化」指摘【news23】

TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2025年1月30日 0時47分

TBS NEWS DIG

いつ穴が拡大するかわからない状況での救助作業。命綱をつけた2人の隊員。穴の中へと慎重にはしごを下ろします。

救助作業中に土砂が…

「はしごを使って穴の中に入っていく様子が見られます」

穴の底に到達した2人。地上からホースのようなものを下ろす様子も。ホースを持って作業を始めたそのとき、突然流れ込んだ大量の土砂。

大きな岩のようなものも見えます。隊員は急いではしごを上り、避難。その後、はしごは回収されました。

28日、埼玉県八潮市の道路が陥没。大きな穴にトラックが1台落下しました。

28日と29日の様子を見比べると、穴が二つになっています。29日未明、トラックの荷台部分が引き上げられていた次の瞬間、手前にあった電柱や、そば店の看板が地面に吸い込まれていきました。

引き上げられたのはトラックの荷台部分だけ。運転席部分は穴の底に取り残され、74歳の男性運転手の救助が難航しています。

陥没の規模が拡大 「非常に軟弱な地盤」専門家が指摘 

陥没した場所で、何が起きていたのか。

道路の下、およそ10メートルの深さの場所には下水道管が通っています。県によると、下水道管が腐食して穴が開き、その穴に土砂が流れ込むことで、地中に空洞ができていた可能性があるといいます。この上をトラックなどの車が通ることで重みに耐えきれず、アスファルトが陥没した可能性があるのです。

陥没の規模が拡大しているのには、周辺の地盤の特徴が影響していると専門家は指摘します。

芝浦工業大学 稲積真哉 教授
「非常に軟弱な地盤。湿地帯を埋めて盛り土をして、今の地盤が出来上がっている。陥没が起こった穴からその周辺エリアというのは、いつ陥没か沈下が起こってもおかしくない状態が続いている」

12市町に「洗濯・風呂控えて」 ネットに繋がらない…なぜ?

住民の生活にも影響が出ています。

埼玉県 大野元裕 知事
「住民や企業の皆様には引き続き、下水道の使用自粛、特に洗濯やお風呂の使用をお控えいただくよう」

埼玉県は、現場の八潮市を含む12の市と町で下水道の使用を控えるよう呼びかけ。実は、現場で破損した下水道管はこれらの地域と繋がっていて、逆流などのおそれがあるのだといいます。

現場近くの住人は、節水に励んでいました。

住民
「流さないでためてますね。きょう着た服を冬なので汗をあまりかかないので、2日3日着ようかな」

現場近くの工場では、こんな現象も。

笠原工業 笠原和紀 社長
「電源を入れても繋がらない、インターネットに。お得意先の納品書とかもメールでやったりするから。あと請求書を送るのに困っている」

停電しているわけでもないのに、インターネットに繋がらないといいます。埼玉県によると、光ファイバーの断線でインターネットや固定電話などおよそ1700回線が利用できなくなっていて、復旧のめどはたっていないということです。

陥没増…背景に「気象環境の変化」 全国に緊急点検要請も

実は、こうした道路の陥没はここ数年、全国で増えています。

2019年、千葉市で起きた陥没。道路の下を通っていた下水道管が破損していました。2022年に川崎市で起きた陥没でも水道管が老朽化で破裂し、漏れ出た水で地面がゆるんだところに、トラックの重みで陥没が起きたとみられています。

陥没が増えている背景として専門家が指摘するのは、近年の「気象環境の変化」です。

芝浦工業大学 稲積真哉 教授
「夏は暑いし冬は寒いし、非常に雨が多いという気象環境は、地盤の中に埋まっている水道管・下水道管の劣化自体も早めている」

喜入友浩キャスター
「陥没からまもなく35時間。現場にショベルカーが到着しました。穴の淵のアスファルトを剥がすような作業が始まっています」

八潮市の陥没現場付近の下水道管の利用が始まったのは、1983年から。点検は5年に1度行われていて、2021年に確認した際は異常はなかったといいます。

いつどこで起きるかわからない陥没事故。政府は、全国の下水道管理者に対して、今回の陥没場所と同じような箇所を緊急点検するよう要請しました。

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